いまこそG7が立ち上がるとき:富裕層と多国籍企業の「ただ乗り」を許すな
はじめに:あなたは「ただ乗り」に気づいていますか?
あなたが毎日支払っている税金。それは、道路や病院、学校、警察、年金、気候変動対策といった“公共財”を支える大切な財源です。
では、その恩恵をもっとも多く受けているのは誰でしょうか?
実は、多くのインフラの恩恵を受けつつ、まともに税金を払っていない存在がいます。それが、富裕層と多国籍企業です。
彼らは、巧妙な手段で「税の抜け穴」を利用し、莫大な利益を得ながら、その維持コストは他の納税者(つまり、私たち中間層以下)が担っているのです。
「フリーライダー」とは何か?
経済学の用語で、「フリーライダー(ただ乗り)」とはこう定義されます:
「他人のコストで恩恵を享受する人や企業」
現代において、もっとも深刻な「フリーライダー」は、グローバル企業や超富裕層です。
彼らは、以下のような形で恩恵を受けながら、適正な負担をしていません:
法の支配、警察や司法制度 → 企業活動の安定
公共インフラ → 製品の輸送・販売に不可欠
教育制度 → 優秀な労働者を安く雇用できる
健康・医療 → 社員の健康管理が社会でなされている
環境保護 → 資源の持続性を保っている
にもかかわらず、多国籍企業の多くは、**タックスヘイブン(租税回避地)**を使って実効税率を1桁に抑えたり、税金をまったく払わないことさえあるのです。
15%の「最低法人税率」はなぜ不十分なのか?
2021年、G7は**「グローバル最低法人税率15%」**で合意しました。
これは、企業が税金の安い国に逃げて「どこでも税金を払わない」という状況を是正するための画期的な一歩でした。
しかし、問題は残っています:
15%は最低限すぎる(実際、多くの国の法人税は20〜30%)
抜け道(例外措置)が多い
国内法への反映がバラバラ
そもそも従っていない国もある
つまり、ルールができても、徹底されていないのです。
なぜ「今」G7が動くべきなのか?
1. G7の影響力が今まさにピークを迎えている
G7は世界GDPの約40%を占めているが、この割合は年々減少中。
アジア、アフリカ、中南米など新興国が台頭し、ルール形成の主導権がG7から離れつつある。
「今」しか、世界の基準を主導できない。
2. ルールの「先行者利益」がある
公平な国際課税ルールを先に整備すれば、それが「世界標準」となり、後から来る国も従うことになる。
逆に今サボれば、G7の望まないルールが別の国から押し付けられる未来が待っている。
3. 中産階級の消失が始まっている
税負担が軽い富裕層と、負担が重くなる庶民。
社会保障に必要な資金は足りず、サービスの質が下がる。
結果、教育や医療へのアクセスが悪化し、貧困の連鎖が拡大。
「努力しても報われない社会」が広がると、民主主義そのものが不安定になる。
G7が取るべき具体策はこれだ
1. 最低法人税率15%の確実な実施と将来的な引き上げ
抜け道を塞ぎ、「名目だけ15%」にならない仕組みを構築。
2. 多国籍企業の国別報告書の公開義務化
どの国でいくら利益を上げ、どこにいくら納税しているかを「見える化」する。
3. デジタル企業への公平な課税
GAFA(Google・Apple・Facebook・Amazon)など物理拠点のない企業への課税基準の早期整備。
4. 富裕層・企業の租税回避・脱税の取締り強化
タックスヘイブンへの送金監視、罰則強化、情報交換条約の徹底。
5. 環境・労働・人権規制の国際協調
コストを回避するために規制のゆるい国へ逃げる「Race to the Bottom(底辺への競争)」を止める。
まとめ:「富はある。正義が足りない」
世界は貧しいのではなく、富が偏っているだけです。
富裕層や多国籍企業に正当な負担を求めることは、弱者優遇ではなくルールの公平化です。
G7が「まだ力がある今」こそ、公平な世界経済秩序を築く責任があります。
それは、私たちの暮らしを守り、中産階級という民主主義の土台を再建するためでもあります。
最後に:市民の声が変化を後押しする
政治家やリーダーが動くには、市民の関心と後押しが必要です。
この記事を通じて、「なんとなくモヤモヤしていた問題」が言語化されたなら、ぜひこの話を周りの人と共有してください。
未来を守るのは、声を上げる市民と、行動する政府です。