表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天 気 雨  作者:
6/6

〜1年前〜【奴隷ごっこ】


1年前、私は雷加と親友だった。



いや、私がただ、そう思っていただけだった。




〜1年前〜


中3の雨は卒業の準備でバタバタしていた。



「ちょっとー!!

皆、もっとしっかりしてよ!!

卒業式まで時間ないんだよ!?」



雨はすごく気が強くて皆から少し怖がられていた。



しかし、雨の運命が変わったのは、雷加が転校してきてからだった。



「どうも、初めまして、土田雷加です。よろしくね。」



雷加も、雨と同じような性格で、二人はすぐに仲良くなった。



しかし、ある時、雷加の一言で雨の運命が変わる事になった。



「ねぇ雨、つまんないからさ、私の考えた遊びやらない?」



「えっ?雷加が考えた遊び?

うん!いいよ。

やろやろ。」



すると雷加は不気味な笑みを浮かべた。



「その遊びの名前、聞きたい?」



「うん。教えてよ、雷加。」



「それはね・・・【奴隷ごっこ】」



「・・・はっ?」



「どしたのっ?雨、はやくやろっ。」



「どうやって遊ぶの?」



「このゲームは、クラス全員の協力が必要。クラスの全員に1番クラスでウザイ奴を紙にかいてもらって、投票してもらうの。

1番、投票されてた奴はクラス全員の【奴隷】になるの。

ねっ?簡単でしょ?」



「わかった。いいよ。はやくやろ。」



雨と雷加は教室に戻ってさっそくゲームを始めた。



雨は大声を出してクラス全員に言った。



「いい?皆、絶対書いてよ!

書かなかったら、そいつが奴隷だからね!?」



そして、皆紙に書き終わり、投票しはじめた。





誰が【奴隷】になるのか。

そのスリル感や、ワクワク感、不安感が雨の中でうずまいていた。



雨は待ちきれず、雷加に言った。



「ねぇ、雷加、誰!?誰が【奴隷】!?」



雷加は少し微笑みながら言った。



「【奴隷】は雨、[空内 雨]。

あんたよ!!」



雨は焦りと不安で体の中がいっぱいになった。



「う・・・そ、嘘でしょ!?

ねぇ!!冗談やめてよ!!

ねぇ雷加!!」



「嘘じゃないわ、雨。」



「いゃぁぁぁぁぁ!!」



頭を抱えて、うずくまりながら泣き叫んでいる雨に、雷加は言った。



「あんたは今日から、クラス全員の【奴隷】だから。毎日ね。

ゲームに終わりなんて来ないんだから。」



その日から、きつい毎日が雨を襲っていった。



そのせいで、雨は内気な性格に変わってしまった。



あげくのはてに、雨が入る高校まで雷加は追ってきた。

雨に自由を与えないために。



卒業式当日、雷加は雨に言った。



「ねぇ、なんであの時、雨が【奴隷】になったか教えてあげるよ。」



「え・・・?」



「私がクラス全員に言ったのよ。

雨に投票しろってね。あいつらもバカだからさ、簡単に私の言いなりになるの。

結果的にあんたも、あいつらも私の【奴隷】って事ね。」



「そう・・・なんだ。」



雨は悲しそうに下を向くと、どこかへ歩いていった。

そして、高校へ入って、すぐに同じクラスになってしまった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ