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天 気 雨  作者:
4/6

信じたい人




雨は次の日、学校で同じクラスの雨が苦手な女子3人に呼び出された。



「何・・・?」



「何?、じゃねぇだろ!?」



3人の中のリーダー的な女の子が雨をにらみつけながら怒鳴った。



「あんたさぁ、調子乗りすぎじゃない!?

太陽からも青からも気に入られてるからっていい気になってんじゃねぇよ!

きもいんだよ、テメェは!!」



雨は顔色ひとつ変えずに言い返した。



「別に調子に乗ってないし、いい気になってもないよ。

それに、自分がきもい事も知ってるから。」



「そこがうざいんだよ!!

チッ、男好き女めっ!」



その瞬間、リーダー的の女子が雨の頬をおもいきり叩いた。



『バチン!!』



その時、たまたま青が通りかかった。



「なにやってるんだよ!?

大丈夫かっ!?雨!!」



「あっ、青!!

くそっ!!逃げるよ!!」



その時、青はリーダー的な女子の腕をつかんだ。



「待てよ。

テメェ、雨を殴っただろ。

同じ事してやる。」




『バキィ!!』




青のこぶしが女子の頬にヒットした。



「青、やめて!!

本当は私、青が好きだったのよぉ!!

だから雨に手を出しちゃったの!!

お願いだからやめて!!」



雨も必死に止めた。



「青くんやめて!!」





青がはっとして腕をはなした瞬間、3人は走って逃げていった。



「あ・・・俺、なにしてんだろ。

つい、ムキになっちゃったよ・・・。」




雨はおどおどしながら下を向いていると、青は空を見て言った。



「雨、こんな俺、怖いだろ・・・?」



雨は本当は怖いと思ったが、嘘を言った。



「だ、大丈夫だよ。

青くんは、私を守ってくれたんだよね。」



「・・・そっか。」



しばらく二人の間には沈黙がながれたが、雨が話し始めた。



「青くん、青くんはどんな天気が好き?」



「俺は、天気は全部嫌い。

好きな天気なんて一つもない。」



「そう・・・なんだ。

じゃあ私、そろそろ戻るね。」



「う、うん。」



雨は心の中で考えた。



「太陽くんは天気全部が、好きだって言ってくれた。

でも青くんは天気全部が、嫌いだって言ってた。


私は、青くんと、あってないかもしれない・・・。」



雨が教室に帰ると、先生は怒っていた。


さっき、青に叩かれた女子が雨に叩かれたと嘘をついて先生に言いつけていた。



「空内、職員室にこい。」



「・・・はい。」



雨は、先生の後について職員室に行った。



職員室につくと、椅子に座らされ、先生が話しかけてきた。



「空内、なんで叩いたんだ?」



「私、やってません。」







「しかし、あいつらは殴られたって言ってるぞ。」



「先生は・・・私の事は信じてくれないんですね。」



「しかしなぁ・・・。」




「でも・・・いいです。

私が誰かを信じないかぎり誰も私を信じてくれないから。」




「・・・話が変わるが、空内には信じられる奴がいるのか?」



「いないかもしれません・・・。

青くんと一緒に居ても信じようとは思えないし、太陽くんは、私とは違う場所にいるんです。

私には絶対に届かないところに。」



「皆、一緒にいるじゃないか。

すぐ近くにいるのに、どうして手をのばそうとしない?」



「そんな勇気、私にはありません。」



そのまま雨は立ち上がり、職員室を出て教室に戻った。



教室では雨に殴られたと嘘をついた女子がクスクスしながら雨の方を見た。



「あんたを信じてくれる人なんかいないよ?あんたも誰も信じられないでしょ?

なら、あんた学校にくる意味ないから学校こなくていいんじゃない?」



雨は下を向いた。



「そう・・・そうかもしれない。

私の学校にくる意味はない。」



その時、太陽が出てきた!



「待ってよ!!

待ってよ雨ちゃん!!俺は信じるよ、雨ちゃんの事、ずっと信じる!

だから雨ちゃんも信じて!!

学校にも来てよ!

青は違うクラスだから今いないけど、今いたら、絶対、俺と一緒の事言ってたよ!!」



雨は、初めて太陽に笑ってみせた。



「ありがとう、太陽くん。

本当はね、太陽くんがいたから、学校にこれたんだ。

私の学校にいく理由は太陽くんだったよ。

でも、今は違う。

なくなっちゃったよ。学校にいく理由。

太陽くん、私は君を信じてたけど、もう信じなくていいよ。

これ以上、君に、そんな雨が降ったみたいな悲しい顔、させたくないから。

バイバイ。」



雨は急いで教室を出て家に帰った。

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