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天 気 雨  作者:
3/6

後悔


太陽の笑顔を見ると、心が苦しくなりはじめてから、もう一週間が過ぎようとしていた。



雨は一人、日曜日の空をただながめていた。



「こんなに・・・こんなに青くて綺麗な空なのに、どうして私はこの空を受け入れられないんだろう・・・。」



雨は、いつも自分をせめるばかりだった。

何かあると、すぐに自分の中の弱さを出す。



「私は弱い・・・。

逃げてばかり。

最後の最後は、必ず私は太陽くんから逃げてるはず・・・。

太陽くんの笑顔さえ、もう見えないよ・・・。

痛いよ・・・苦しいよ・・・うらやま・・・しいよ・・・。」



すると突然下の部屋から大きな音と声が聞こえてきた。



「・・・まただ。」



雨がしたにおりていくと、父親が母親に何かを言ってる。



「俺は、自分の食いたい物も自分で買わなきゃいけないのか!?

チッ!俺には楽しみのひとつもねぇのかよ!?」



父親は、母親に怒鳴りつけていた。

それを母親は涙をこらえて聞いていた。

雨は、すぐに母親が泣きそうな事がわかった。



雨には、それがストレスになっていた事に気が付いた。

父親はパチンコにはまり、お金を全て使ってしまい、母親は自分を失ってしまったように前より食事も充分にとらなくなり、物静かになってしまった。



雨は、また自分の部屋に戻って行った。



雨は、自分の部屋で横になり、いつも泣きながら家族がばらばらになることを考えていた。



「お父さん、お母さん、お兄ちゃん・・・。いつ、バラバラになっちゃうのかな・・・?」



そんな時に、雨の頭の中には、太陽の笑顔が浮かんでくる。



「なんで?

なんで太陽くんは私の頭の中まで入ってくるの!?

どうして私を太陽みたいに笑わせたいの?君の考え、わかんないよ・・・。」



雨の頭に出てくるのはいつも太陽だけだった。いつもいつも、頭の中で太陽が雨に笑ってと言っている。



次の日、雨が学校に行くと、いつも近ずいてくる太陽は近ずいて来なかった。

その代わり、一人の黒髪でかっこいい系の男子が雨に近ずいてきた。



「そ、空内さん、おはよう。」



「おはよう・・・。

何・・・?」



「あっ、俺ね【天上 青】(てんじょう あお)って言うんだよ。それでさ、突然なんだけど・・・空内さんの事好きなんだよね。

んで、仲良くなったら付き合ってほしいんだけどさ・・・。」



雨は少し戸惑ったが、何故か太陽の方をみた。

すると太陽は少し寂しそうな顔をして下を向いていた。



「いいよ・・・。」



その瞬間、雨が出した答えに太陽は、はっとしたように雨の方を向いて、また寂しそうに下を向いた。



「まじで!?

やったー!!

じゃあ早速だけど、雨って呼び捨てにするね!」



青は嬉しそうに雨に話しかけるが、太陽は下を向いて、周りで見ている女子は雨をにらんでいた。



雨は、家に帰るまで、青と手をつないで帰った。



雨は家に帰ってきて思った。



「・・・何やってんだろ私。

好きでもないのに、いいよ、とか、なんであんなこと言ったんだろ。」



雨は急に自分に後悔してきた。






「あぁ、私、本当に何してんの?

私、本当は太陽くんが好・・・違う。

そんなんじゃない。」



雨はゴロンと横になって、そのままゆっくり目を閉じて、眠りに落ちた。



夢の中では、もう一人の雨がいた。



もう一人の雨はニヤニヤしながら話しかけてきた。



「ねぇ、なんであんたが天上くんにいいよって言ったか教えてあげようか?」



本物の雨は聞いた。



「えっ!?

教えて。」



もう一人の雨は答えた。



「あんたが太陽くんの事が好きだからだよ。」



「ち、違う・・・。

違うよ!

そんなんじゃない!」



「あんたは、太陽くんを好きすぎて、自分のどこかで、その事を隠して、嘘をついて、何度も自分をせめてその想いを忘れていた。」



「太陽くんはただの友達!!

それ以上の事は思ってないよ!

だから・・・絶対好きなんかじゃない。」



「あんたは太陽くんが好きなのに、それを忘れようと必死だった。だから、かわりなら誰でもいいと思ったんでしょ?

青くんは、あんたにとって、恋人でもなんでもない。

ただの太陽くんの【かわり 】でしょ?」



「違うよ!!

青くんは、かわりなんかじゃない!

青くんは、私の恋・・・人。」



「じゃあ、逆にあんたは何故青くんに、いいよって言ったの!?

好きでもないのになんでよ!?」



「うるさい!!」



大声を出した瞬間、雨は夢からさめた。

しかし、雨の頭には、もう一人の自分の言葉がしっかりと残っていた。


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