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激突のso-go

「おっかさん、私、空も飛べる気がするよ!だって明日は金曜日、吉日ってね!」


「ユノ、私はおっかさんではない、村長じゃ。尊重せい」


「はて?おっかさんはいずこ」


「お前のかあさんは憲法発布の翌年に死んだ」


「はてて~?娘の旅立ちの前にあの世に旅立っちまうなんて、私、一本取られたのであった!」


 しかし、ユノにとって死とは救済であった。母の死後、幾年かが経ち、かつて大地を統べたプラトニックLOVEでさえも今は土に還り、町は一面の緑へと移っていったのだった。


 そう、ユノは今日、村を出る。


「私は、村を出ない!」


 ユノがそう言った時、村に一輪のチューリップ咲いた。

 

 ラバーとラバーが愛し合うときに情けない顔をするなと、そういうことなのかもしれない


 ユノもまた、誰かにとってのラバーであったのだ。泣くな、アンサプサン。



 10年後、村は壊滅した。アトムス・ティア・エルゴゥ。(主はここに、道は長きに)





「ユノ!いい加減にしなさい!いつまで寝てるつもりなの!今日は入学式でしょ!」


 母の声に目を覚ます。いつもの声だ。せっかくいい夢を見ていた気がするのに。


「言われなくても起きてますう!!」


「全く、いつまでも子供のままなんだから!」


 あーあ、うるさいなあ。大人になってもゆっくり寝てたいっつーの。それにしても、なんだか今日は少し胸が騒ぐ。また奴らが来てるのか・・?


「って、いっけね!もうこんな時間!もうなんでもっと早く起こしてくれないの――!!」



(主題歌)



キーンコーンカーンコーン


「ふぅ~、なんとか間に合った!私の脚力に浮世の時間軸が追い付てないわね!」


「現実世界を時間と存在の相対とみなすとき、存在は時間の流れを追い越せず、時間もまた存在に縛られる。すなわち私たちが存在している限り、相対時間軸を追い越すことはできない。かの哲学者マリッシャ―の言葉よ」


「げ!その引用を持ち出す独特の語調野郎は…マキ!!!」


「ユノったらあと30秒も過ぎていたら入学早々遅刻していたわね。でも『30秒過ぎていたら』なんて仮定を持ち出しても意味はないわね。だって世界は均等時間平面上においてGurfiaですものね」


「こんにゃろ~~、その減らず口はここか!」


「ちょっと!ユノ!やめなさい!そこは違うお口なの~~~!」


勇敢なるサフィたちよ、いづれ来る未来は明るいか

聡明なるサフィたちよ、いつか来た過去は明るいか

しかし、我らはどうすることもできない

人は皆、今を生きているのだから  ――― D・Pabronias


 ストライク!バッターアウト!


「ここが、野球部か~、うちの高校は野球部が人気だから部員の数も多いな~」


「あらユノったら、もう好きな人でもできたの?」


「はあ?ちがうっつーの!ただ野球部の練習を見ていただけです~!」


「あらそう?でもあのピッチャーの男子、輝いてない?」


「ああ、たしかにあいつはHO☆SHIだ。ちげーねぇ」


「HO☆SHIか…」


「マキ、時間だ。行くぞ」


「はい、ユノ」


 私ったら、またユノに嫌なこと思い出させちゃったかな。ちょっと反省。もうあんなことごめんだよね。これからは普通の学生としてユノと二人で生きるって決めたんだもん。私がしっかりしなきゃ。



~薄暗い倉庫~

「赤に300万、右の奴にも300万。おれは今日、下がる気はない」


「馬鹿野郎!そんな賭け方で当たるわけねーだろ!!」


「うるせぇ!」


わかってる…、ここ三戦全くと言っていいほどツキが回ってこねえ。なんといっても対面の郷田って奴が厄介だ。当ててる回数は多くはないが、重要な場面で必ず勝ってくる。なんたる豪運。これが世界最強と噂される所以か。ちくしょう、どうする、もう、だめなのか…、またあの暮らしに戻るのか…


ガチャン(扉が開く音)


冷気とともに一人の女が入ってきた。天使か悪魔かそれとも鬼か。いやだれでもいい。俺には関係ない。


「おっさん、あきらめるのは早いぜ!その手札化けるよ、黄金に。」


え?


「だれだ!貴様は~!この郷田式ロシアンポーカーに口ごたえする奴は~!つまみだせ!!」


郷田の取り巻きが彼女に近づいていく。


「お、俺の女だ!名前はたか子、何かあった時のために外にいてもらってたんだ」


思わず口から出た嘘。もしかしたらこの勝負がなくなるかもしれない、いやこの一戦だけでもうやむやに出来たら、そう思って口を出した。


「そうなのか?なら先に言え。早く続きを始めるぞ」


郷田があっさりと承諾、これも彼女の力なのか?


「ありがとう、おっさん」


こいつ、最初からこうなることを分かって…?まあいい、結局、勝負も再開だ。


「あの郷田って奴、イカサマしてるよ」


後ろで女がささやいた。


「イカサマ?」


「曇りガラスに死角になるように配置された取り巻き、雨音が聞こえる部屋の作り、郷田の不自然な座り方、そしてロシアンポーカーというゲームそのもの、おっさん、あんたいいカモだね」


言ってることが分からない、勝負は始まってるので伏せているカードを互いに見せ合った。


「1だと…?」


雨はいつまでも降り続いた。


警察の調べによると廃倉庫で血まみれの郷田がうつぶせで倒れていたという




「ユノは泣く子も黙るビックフットてほんと?」


「私はビックフットの末裔か!」


「私も将来はユノみたいな人になりたい」


「なれるよ、マキなら」


「ユノ…。実は私ね、フランスに行こうと思ってるの。フランスでスキルを活かしたいんだ」


「そうなんだ、マキならすぐに活かせるよ」


「あんま驚かないんだね。それでね、ユノも一緒に来ない?」


「私?、私は行かない。」


「そっか、そうだよね。」


「うん、ステゴロで世界とるんだ」


「ユノにはかなわないな」


マキは多摩川に飛び込んだ。


「Cest dios elgo ju pest yumn 、また明日」











死ぬ前に書き上げたい

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