怪談1
私が子供の頃の話である。小さい頃なので記憶があいまいで、詳しい場所は覚えてない。ただ、覚えているのはおばあちゃんの家だってことぐらい。おばあちゃんは、私が話することが起きた数か月後になくなってしまい、家も売ってしまったため、どこにあったのか再び探す方法がない。
おばあちゃんの家は駅から歩いたら1時間、車で15分程度のところにある。こう書けば、すごく待ちかと思われるが、その駅は無人駅で活気がない。駅からおばあちゃんの家までは寂しい裸電球の街灯がぽつぽつと立ってるだけ。近くに商店はなく、1時間に一本走るか走らないかの汽車に乗り、町まで出る必要がある。
おばあちゃんの家を通り過ぎ、5㎞ほど歩くと、大きな鳥居が目立つ立派な神社がある。赤塗りの大鳥居は夜車のライトで照らすと、昼間より大きく不気味に映る。その神社には変な言い伝えがある。
夜歩くな
後ろ見るな
息するな
すれば会う
しなければ会わず
会えば死
会わずは生
子供の頃の私はそんな話知らないし、聞いたことないのも当たり前。仮に知っていても興味本位で行っていただろう。
あの夜は満月ですごく明るい夜だった。私はその夜は妙に寝付けず、こっそり懐中電灯片手に家を抜け出した。
夏の夜はとても涼しい。昼間の灼熱は鳴りをひそめ、静寂と冷たい風が夜の世界を支配する。子供な私は駅がある方向もわからない。私は神社のほうへ行った。
虫が鳴き、風が草を揺らす。街灯の数は徐々に減り、最後は無くなった。懐中電灯の明かりだけを頼りに田舎道を一人歩く。少し怖かったが、その恐怖が逆に楽しかった。子供の私にとってはとても刺激的であるのだ。
懐中電灯が赤い大きな鳥居を捉えた。ぬーっとそびえ立つ鳥居を見て、私は本当の恐怖に襲われた。周りを見る。そして、後ろを見てしまった。
これは母が私が発見されたとき、いった言葉
『黒くてうねうねした人に追いかけられた』
黒くてうねうねしたものは私と目が合うなり、のそりのそりと追いかけ始めた。
『見たら死、会えば死』
と歌いながら追いかけてくる。
私は逃げる。逃げて逃げ続ける。振り回す懐中電灯の光は空を、地面を交互に照らす。息が上がり、肺が焼けるように痛い。そんなことお構いなしに声は、引きずるような足音は私を追いかけ、脅し続ける。
私は神社より南の道は行ったことはない。ただ一本の道を我武者羅に走り続けた。そして、大きく左にカーブした先にお地蔵さんを祀る小さな小屋があるのを見つけた。私は小屋の後ろの茂みに飛び込んだ。
「お地蔵さま...どうか...どうか御守りください...」
私はそのまま意識を失った。
次に私が目覚めたのは、翌日の朝だった。辺りはすっかり明るくなり、小屋の後ろからスッと顔を出したところで、捜索していた警察の方達に保護された。
その後、小学1年の夏休みの宿題で、地域について調べるというものがあった。
一部地名が読めなかったものが多くある。できる限り、原文に近くし、漢字に直している。
私のおばあちゃんの家がある×××町にある××××神社に伝わる×××
昔、平家の落ち武者が多くいた。
落ち武者とはいえ、彼らはこの村のためにいろんなことをした。
木を切り倒し、新たに家を建て、壊れた水路を直すなど…
しかし、源氏の役人がこの村に来て、落ち武者たちは朝敵として、殺されることになった。村の人は泣いて止めようとしたが、その村人すらも朝敵とみなしてみな打ち首にしてしまった。もちろん残った落ち武者も殺された。
殺されたのはあの神社の前。平家の人間が祀られている神社である。源氏の役人は平家への見せしめとして、神聖な場である神社の目の前で打ち首をし、最後に神社を焼き払った。
数年後、神社は再び再建されたが、夜に神社の前を通ると黒い人影に襲われるということが起きるようになった。
襲われないようにするには…
『夜歩くな
後ろ見るな
息するな
すれば会う
せず会わず
会えば死
会わずは生』




