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華のお江戸の振袖小町  作者: 水虎
第拾陸幕「独善」
248/258

第拾陸幕の陸

怒ると激情しがちなあおいに対して蓮は……?

 さくらに助けられた若者は、わだかまりがまだ残りつつも気分転換のためにゲームセンター「Hyacinth(ヒヤシンス)」にゲームをプレイしに来ていた。

 どのゲームをプレイするか選んでいた若者の目に、最新のストレートファイターのチャンピオンとして本名を名乗りたくなかった天宮智彦が咄嗟に名乗った「ピーター・ヤング」の名前が書かれた認定証と、そこに添えられた彼とその仲間たちの記念写真が飛び込んでくる。そこに、たった今コンビニで助けてくれた少女がいることに気づき驚きつつも自分もピーター・ヤングと同じステージに立つと闘志を奮い立たせた。

 しかし、1人プレイでは好調だったが対人戦では別人のように調子が出ず、チャンピオンには程遠い結果となってしまった。

 気を取り直してダンスジェネレーションをプレイすることにし、コインを投入したまではいいが思ったよりも歯ごたえのある譜面に翻弄されてしまい、頭の中でシミュレーションしていたようなプレイができずに終わってしまう。

 シューティングでは筐体の不調で引き金を引いても弾が出ずすぐゲームオーバー、この苛立ちの元凶の顔を頭に浮かべながら物理的に殴ることができるゲームであるモグラ叩きやパンチングにも挑戦するも、必要以上に力が入った結果空振りや狙いとは違った場所へハンマーを振りかざしてしまうなどのミスを連発、納得のいかない結果となった。

 それでも懲りずにせめて何か戦利品でも手にして帰ろうとUFOキャッチャーに挑戦するが狙った景品が取れず、店員を呼んで場所を調整してもらってもなおうまくつかめず大損に。

 ストレスを発散させるどころかことごとく逆効果となってしまい、若者はイライラを増幅させてゲームセンターを後にしようと出入口の自動ドアをくぐる。そこで、彼を出迎える人物が現れた。

 やっと数学の補習が終わり、これからお楽しみが待っているというにもかかわらず、すでにぐったりとしたさくらとかりん、バスケ部の練習の助っ人が終わって今までにないほどに落ち着いている蓮、そして清々しいことこの上ない表情をしているアイリスが校門の前に集合していた。

「よし、みんな行こうか」

 スタジアムに行く気満々のアイリスに、蓮から待ったがかかる。かんなからの連絡が彼のスマホに入っていた。しかも添付されていた動画から聞こえる声に、さくらが戦慄していた。

「これ、さっきコンビニで説教してたおばあさん!」

「さくら、それ本当か?」

 さくらの証言に蓮は怒りが加速しながらも心臓が止まりそうになる。

「うん、店の前で話してたお兄さんたちに的外れなこと言ってずっと説教してて、私が止めに入ったら杖振り回してた!」

 さくらの証言を聞き、蓮の顔つきが一気に変わる。

「……さくら、行くぞ」

 いつもより低い声で言葉少なに蓮は足を進めようとする。これまでにないほど彼が冷静になっていることもさることながら、さくらも彼女を迎えがてら助太刀に駆けつけなければならないと意見が一致する。アイリスとかりんは一度帰宅して着替えてからこの後のお楽しみのために必要なものを持ってくるため帰宅すべくここで一度離脱するが、その前にさくらから忠告も兼ねて声をかけられる。

「(二人とも、あっちは私たちで何とかするから駅に行くのを優先していいけど、一応駆けつけられるようにはしておいて。蓮があんなに冷静になってるってことは本気で怒ってる証拠だから)」

 いつも明るい蓮の今まで見たことのない顔を見ることになってしまったアイリスとかりんだが、覚悟を決めて一時帰宅に臨んだ。

双子でも似てる部分と違う部分がある、そりゃそれぞれ個人だからね。

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