第拾伍幕の拾弐
いなくてはならない人物がやっと現れます。が?
ズウォートを追ったさくらは、通用口を出たところで彼が瑞江の首を左腕で抱えて人質にしながら天宮に剣を向け、今にも切りかかろうとしているところを目撃する。剣が一般人に向けられる、そこから導き出される答えは彼女にとっては悪夢でしかなく、足がすくんで介入できないでいた。
「いい加減にしろ! お前何やってるかわかってんのか!?」
「ああ、お前みたいな不良もどきにはわかんないだろうけど、優等生を演じるのってけっこう疲れるんだよ」
「だからって罪もない男子を闇討ちして怪我させたり、女子の制服を盗んだりしていいわけねえだろ」
瑞江を人質に取られながらも、男として、彼女を大切に思う者として天宮はズウォートに啖呵を切る。
「それにお前らが潰したいと思っている小町部、あいつらはお遊びじゃねえ。てめえなんかに潰させてたまるかよ。なあ、片桐よぉ!!」
天宮はズウォートとしてここまでの悪事を働いていたのが片桐だったことを見抜いていた。正体を看過された怒りに任せ彼は瑞江を突き放し、しりもちをついた彼女に向けて剣を向ける。
「本当は君に俺のコレクションを着せてあげようと思ったが予定変更だ、こうなりゃお前も僕のコレクションみたいにバラバラにしてやる!!」
天宮は瑞江を守るため回り込もうとするが、それよりも早く彼女が斬られる前に勇気を振り絞ったさくらが聖剣・紅で受け止める。
「なにっ!?」
「ズウォート、いいえ、片桐くん! 私たちだけじゃなくて、この学校のみんなを敵に回したこと、後悔してよね!」
天宮と瑞江に逃げるよう促すと、鍔迫り合いが始まる。
翼を得たキュビズムネガボットは能力を与えられた相手を彷彿させるがごとく空から絵筆を放ち、校長をスタンド下の壁に磔にすると、スキロスは声を荒げて彼女を罵倒する。
「あ、あなた何するの!」
「あの日以来、貴様のことを忘れた日は一度もない! 貴様のような人間の屑がこの世にいる限り、この世界に正義が罷り通る日など来ない!! ここで貴様を始末してやる!!!」
彼の罵声は普段の冷静沈着な彼からは想像もつかないような鬼気迫る表情で繰り出されていた。
手首のネガボットに操られた小豆畑が校長に向けて助走をつけて全速力で殴りかかろうとしてくる。手首のネガボットの正体はマリオネットのネガボットだった。
「危ない!!」
かりんがマリオネットネガボットを狙おうとするも手元が狂い、校長の顔付近とムングの膝に矢が刺さり、校長は恐怖に慄き、ムングは痛みに悶える。
「お天道様は日頃の行いを見ているものですねぇ!! ……命拾いしたな。今日はこのぐらいにしておきましょう、感謝しますよ、振袖小町!!」
冷静さを取り戻したスキロスは振袖小町に皮肉を言いながら去っていく。
なんか後ろ暗くて保身第一の校長がいるこの学校、大丈夫か?




