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華のお江戸の振袖小町  作者: 水虎
第拾伍幕「混沌」
235/246

第拾伍幕の玖

消えた生徒たちの行方は。

 強風から難を逃れた貴賓席では、高砂が引き続き席に座りながらその様子を高覧していた。

「ほう、やはりあの子たちが振袖小町でしたか……。どうやら彼女たちもこの学校の生徒、悪意に糸を引かれていなければよいのですが……」

 彼が若者たちの戦いを見つめるその目は、ぼんやりとしながらも憂いを持ったそれであった。

 廃研究所の大部屋ではグラウンドの様子がモニターに映されライブビューイング観戦が行われていた。だが、いつもとは違ったところが一つだけあった。

「なあ、ハンジールはどこ行ったんだよ。いつもその辺で筋トレしてるはずだろ?」

 セルペンテが違和感を覚えまわりに尋ねるが、行く先を知らぬ者はおらずいつも響いているはずの筋トレの回数を数えている大きな声も誰も耳にしていないという。

「私が探してくるわ。みんなはあの坊やたちがどこまでやれるか見ててくれるかしら」

 ボヴィーニは片手をひらひらさせながら、大部屋を出ていく。

 瓢箪の中は、吸い込まれた生徒と教師、そして来場者による阿鼻叫喚の嵐であった。どうすればいいのかわからずおろおろするだけの者、恐怖に怯え泣き出す者、やせ我慢をして恐怖心を振り払おうと平常心を保とうとする者、一刻も早く助かろうと他人を押しのけてまで必死で出口を探す者、出口がないならばこじ開けて作ればいいと壁を見つけて殴る蹴るを繰り返す者など、反応はさまざまであった。かんなを見つけたエリーはすぐに駆け寄ろうとするが、正体を悟られないようジェスチャーで近寄らないよう指令を下す。

 教師たちは恐怖心を押し殺し、それぞれが担任を受け持っているクラスの生徒たちがいるか点呼しようとしていた。すると、舞衣子らこれまでに姿を消していた生徒たちが力なく倒れているのを発見する。これによって混乱が一層大きくなる。

 大人たちが頑張りを見せている中、肝心の校長はというと恐怖心を抑えきれず他の教師や生徒たちのことなどお構いなしで真っ先に自分が助かるように脱出を試みようとしていた。これまでの行いや態度から、彼女のこの行動には生徒たちはおろか部下である教師たちも怒りは全くわかず案の定であると呆れてものも言えなかった。

「かなり重くなってきたな」

 地獄絵図の現場である瓢箪は京田がその手に持ち、入り口から中身をのぞき込んでいた。内部からは大きな目がのぞいてくる恐怖を味わっていた。彼が瓢箪を動かすたびに、中では地震のごとく揺れが起こる。これにより、桃香や唐木田をはじめとする担任教師たちは自分のクラスの生徒がちゃんといるのか把握するために生徒たちを整列させることすらままならなかった。

「いたっ!」

 不安定な足場でしりもちをついたかんなは、その衝撃で鋭い痛みを感じ、原因が何なのかを探る。特定できた彼女はこれで何かできないか思案を始める。

 ズウォートは右腕に、ムングは左腕に剣を持ちそれぞれ構える。そしてそのまま走り出し、ズウォートはさくらとアイリス、ムングはあおいとかりんを斬りつけダメージを与える。先制攻撃の後もムングが出した禍々しいオーラを放った縄で4人を一網打尽にし、高速で斬撃を繰り返した。

 後輩の活躍に、現場で指揮を執っているプチッツァとスキロスは大急ぎで振袖小町のもとに急ぎ、対するライブビューイング組は大盛り上がり。ゴーダは久々の一杯に缶ビールを選び、がぶ飲みしながら後輩を応援して上機嫌だった。

「こいつら、なかなか骨のある奴らだ。いいぞ、酒がうまい! セルペンテ、キマ、一緒にどうだ?」

「たまには付き合ってあげようかしら。あんたはどうする?」

「俺はいい。代わりにお茶かジュースあるか?」

 大人たちは盛り上がっている中で、一人未成年であるが故に蚊帳の外なティーガーだけはいらいらしながら画面に目を向けていた。

「(思った以上にやるな……。しかし、あいつらなんかにさくらをやられてたまるか……)」

バランスブレイカーな強敵2人、その正体と倒し方は?

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