第拾参幕の拾参
球技モチーフ=ボールは武器。
アイコンタクトで示し合わせる女子たちは、そろって自分のカバンを開けて中を探すふりをしてこっそり簪を出し、ジャージのポケットの中に入れる。
「ごめん、私学校に忘れ物してきたみたい! 取ってくるね!」
「実は私も……」
「WAWAWA忘れ物~♪」
学校へと走るさくら、あおい、かりん、そしてイナリ。かんなは動画を見て研究するという名目で助っ人を足止めした。
「……3人そろって忘れ物ってなんか不自然じゃないか?」
「俺もそう思う」
校庭では、テニスプレイヤーのような姿をしたネガボットが左の掌から生成した巨大テニスボールを右手と一体化したラケットでサーブとスマッシュを連射していた。ボールはすべて片桐に向かって放たれていたが、片桐は恐れるようなそぶりは見せずむしろネガボットをなめているような表情でボールから逃げ回っていた。
さくらたちが校庭に着くと、既に開花してアイリスが立ち回っていた。彼女はターゲットにされている片桐に逃げるように勧告し、それに従いその場から姿を消す。
ターゲットが視界から消えたネガボットは手当たり次第にサーブとスマッシュを織り交ぜて放つ。脚力には自信のあるアイリスでもさすがに蹴り返すことは難しい大きさのボールが次々飛んでくる脅威には、隙を見てガットを狙い豪拳・山吹を放とうと試みることすらできず、土の壁で対応するのが精いっぱいで、防御しきれずに校舎にボールがめり込んですらいる惨状だった。その姿を見て、校舎のベランダからボヴィーニが高笑いをしていた。
「あら? テニスは未経験かしら?」
「そうだけど?」
煽りに乗ってしまいカッとなるさくら。
蓮と同じように、桃香も小町部の顧問、そして一教師として生徒たちの避難誘導に当たっていた。振袖小町の到着に安堵していたが、校庭から彼女たちが一触即発になっていた声が聞こえふと顔を向ける。
「……あの顔……間違いなくあの子だ……」
前に似たようなシチュエーションを耳にしたことがある桃香は気を取られてしまい、避難させるはずの生徒に心配されてしまっていた。
「……桃ちゃん先生?」
「あ、ごめんね。まだ校内にいる生徒は早く逃げて!」
なおも巨大テニスボールはひっきりなしに飛んでくる。このままでは反撃の隙すらない。
「どうすれば……そうだ!」
飛び道具を使う相手というシチュエーションにデジャヴを感じたさくらは、その場でしゃがみボールがどこに着地するかを見計らっていた。
さくらの思惑に気づいたかりんも、同じくしゃがんでボールの着地点を観察し始める。避難誘導を進めていた蓮は二人が何をしようとしているのか把握し頷いていた。
「動かない相手を狙うのはフェアじゃないから、私を狙ったらどう?」
その間にあおいは校庭を駆け回り、囮となってボールの着地点になり、それをアイリスが防ぐ戦法を取り始めた。避難誘導を終えた蓮はネガボットにされたのが誰なのかを探すべく、校内を走り始めた。
「すごいチームワークだ……振袖小町は日々成長している……」
ちょっと前にあったことを参考に戦える、地頭がいいですね。




