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華のお江戸の振袖小町  作者: 水虎
第拾参幕「暗躍」
209/246

第拾参幕の拾弐

さあ練習だ!

 数日後。かりんと智彦のクラスである2年F組でも体育祭に向けて一丸になって頑張ろうというムードがクラスで漂っていた。

 F組のホームルームでは、部活対抗リレー以外にもたくさんの競技が行われるためその出場選手と、クラスごとに着用するクラスTシャツのデザイン担当者を2年F組の担任である増田大志(ますだたいし)と学級委員の篠崎瑞江(しのざきみずえ)が司会進行となって決めていた。運動神経にはそれなりに自信のある智彦は出場競技がすぐに決定する。かりんもその中でクラスの勝利にも貢献すべく自分ができそうなものを選び挙手した。種目が一通り決定したところでクラスTシャツのデザイン担当者を決める段階に入り、かりんはこれにも立候補した。

 その際、もう一人挙手していた男子生徒がいたが、自信なさげに低く挙げていたため篠崎はそれに気づかずそのままホームルームは進行した。気づかれなかった者は、彼女に対し憎しみのこもった視線を送っていたが当の本人は知る由もなかった。

 その日の放課後。アイリスと蓮を除く小町部と助っ人二人は放課後にバトンパスの練習をすべく、学校で体操着に着替えてから伊吹神社に集まることになった。

 集合場所となった校庭では、体育祭実行委員会が当日使用するアーチの作成をしていた。それだけでなく、部活対抗リレーの優勝を狙う数多くの部活がバトンパスやランニング、フォームチェックとそれぞれ練習に励んでいた。

 軽音楽部、演劇部、吹奏楽部もその例外に漏れず汗を流していた。だが、小町部が通りかかったことに気づくと、片桐と駒場の両部長、そして吹奏楽部の助っ人である稲田がバトンを取り損ねて落としてしまう。

 さくらが片桐、あおいが駒場、かりんが稲田に拾ったバトンを渡すが、片桐は感じのいい笑顔で受け取る。

「ありがとうございます。火宮さんでしたっけ? 土屋さん、お借りしてますね。お互い頑張りましょう」

 同学年であるさくらに対しても敬語で話している彼の姿に、アイリスはファーストフード店で見た彼の姿は何だったのかと心の中で疑問を浮かべる。それとは対照的に、駒場は拾ったお礼は言っていたがどこか素っ気ない態度、稲田もお礼は言っているものの「リアルテニスの貴公子」が嘘のようなどこか怯えているような表情であった。稲田の異様な態度にそれから小町部と助っ人は校門をくぐり伊吹神社へと足を運んだ。それを校舎の窓から一人の男子生徒が不気味な視線を送っていた。

「あれが小町部……。あの野郎、あいつらの助っ人やってるのか……」

 小町部が去った後、吹奏楽部は休憩に入っていた。吹奏楽部の部長は稲田の動揺に心配し声をかけるが……。

「ほっといてくれ!」

 思わず強い口調で稲田は拒絶してしまい、ひとり校舎の隅で震える。そこに、一つの影が。

「あら坊や、何か怖いのかしら? でも大丈夫、お姉さんが楽にしてあげる」

 伊吹神社に着くと、イナリと幹夫が出迎える。事情を知らない誠治と智彦の前では言葉を話せないため誰が触れ合ったのかはわからなかったが、イナリは以前アイリスと蓮から感じたネガボットに自ら寄生された人間の匂いに気づき、その場を離れようとする。慌てて幹夫が追いかけ、社の裏で事情を聴いてからさくらたちのもとに戻ると、彼女たちは社の近くにそれぞれのカバンを置いていた。そこにかんなが来て中を見ないことを厳命してからイナリに荷物の番を頼む。それが済んでから、練習を開始する。

 やはり最初はおぼつかず、バトンを落とすことが多発。そこで、あおいが持参したタブレットで補欠のさくらとかりんが撮影する。自分たちのパス回しの映像を見て問題点を確認し、逐次修正しつつ実際の陸上選手のパス回しの映像も見てそれらを見比べ研究していった。おすすめ動画の中に稲田が大会に出た際の映像があり、興味本位でそれも視聴した。すると、テニスの貴公子という異名さながらの華麗なプレイで相手を翻弄している姿が印象的だったがスマッシュの時は膝が深く曲がるのがなぜだかツボにはまり二人で真似していた。

 パス回しはだんだんとではあるがコツがつかめてきて、後半にはスムーズにバトンをパスできるようになってきた。

 うまくできたバトンパスを撮影した動画を見て自信を得た一同。ほっとしたのもつかの間、小町部のグループトークに校庭で練習していた蓮から連絡が入る。

「大変だ! 学校にネガボットが!」

皆さん体操着に着替えてますが、下をどうするかマジで迷ってます。

具体的にはお馬さんの牡馬スタイルか牝馬スタイルか。

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