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華のお江戸の振袖小町  作者: 水虎
第拾参幕「暗躍」
199/254

第拾参幕の弐

助っ人はチームの浮沈のカギを握る。

 ショックを受ける一同と、申し訳ない表情をする蓮。

「俺、生徒側から逆指名できないのか聞いてみる!」

 アイリスの後を追うように、蓮も焦りを見せながら部室を出ていった。二人が去った後の部室では、ひとまず補欠を決めることとなり話し合いの結果体育の授業での短距離走のタイムなどを参考にしてさくらとかりんが補欠に決まった。

 話し合いが終わった頃、蓮とアイリスが揃って肩を落として帰ってくる。その様子に、部室で待っていたさくらたちは嫌な予感だけが頭をよぎっていた。

「新しくできた部活の場合でも、選手をあらかじめ入部させておくいわゆる囲い込み対策のために2年生や3年生でもダメなんだって」

「生徒側からの逆指名のことも聞いてきたけど、昔はあったけど賄賂が横行したから廃止したそうだ……」

 また、かりんがいた家庭科部は吸収合併されたため事実上廃部扱いとなり、彼女もまた助っ人として指名される可能性がゼロではないとも回答されたとアイリスは話す。かりんは運動神経に自信があるわけではないが、部内におけるランナーの選考に対する安寧が完全に崩壊した瞬間だった。

 蓮もしくはアイリスとともにリレーで走るためには、否が応でもくじ引きをしなければならなくなった、そう覚悟をした瞬間であった。あおいの手には強い力が入り、持っていたプリントにしわが入った。

 翌日、各文化部宛てに運動部および昨年も活動していた部活のリレー出場者及び補欠者のリスト、そして昨年部活に加入していない生徒と助っ人志願者のリスト、そして当日に使用する助っ人希望者を書くシートのセットが届けられた。さくらとあおいは、ほぼすべての運動部に助っ人として参加したことがあるほど顔の広い蓮の助言のもと、どの生徒に助っ人を依頼するか考えていく。

 アイリスが体育祭実行委員会から聞いてきた話によれば、部員が10人未満の部の場合は助っ人を2人指名できると実行委員会からの回答を得たとのことだ。このアドバンテージは生かさないわけにはいかない。もちろん蓮とアイリスを指名できれば本望だが、それは現実的ではない。慎重に誰を助っ人として指名することを想定するか考えていき、リストアップを進めていった。

「それでは各部活の代表者の皆さん、体育祭実行委員会委員長の湯島くんに渡してください!」

 次々と部活の代表者が長身の3年生である男子生徒の湯島の前に並んでいき、希望者の名前を書いたシートを渡していく。蓮とアイリスのどちらを優先すべきか悩んでいるさくらだが、意を決して名前を書いて列の最後尾に並び、最後に提出を済ませた。

 シートが部活の数と同じだけあることを確認した湯島はくるみにシートを渡し、彼女も確認を済ませる。

「それでは、これから各部活の指名した生徒を読み上げていきます!」

 くるみの可愛らしさがあふれる声による選考会開始の宣言がされると、代表者とギャラリーの一般生徒からの拍手が送られる。

「選択希望生徒。演劇部。水崎蓮くん。2年B組」

 これまでとは打って変わって、くるみは淡々としているが聞き心地の良い口調で各部活の希望生徒の名前とクラスを読み上げる。その場にいた全員が予想していた通り、蓮の名前が呼ばれ、ギャラリーからは想定していたと感じさせる反応が起こる。

「選択希望生徒。合唱部。稲田隼人くん。3年A組」

 稲田隼人。彼の名前が呼ばれると蓮の時とは逆にギャラリーからどよめきが起こる。

「あれ? 稲田先輩ってテニス部の部長だったよね?」

「うん、リアルテニスの貴公子って言われてたはず」

 人望も篤く実力も兼ね備え、容姿も申し分ないと三拍子そろっており、人気テニス漫画の登場人物のようだと言われるほどの彼がなぜテニス部ではなく助っ人としてリレーに参加するのか、その理由を知る者のみが苦虫を噛み潰したような表情をしていた。

さあ始まりましたドラフト会議、小町部は誰と走るのか、そしてテニスの貴公子が助っ人となったきっかけは!?

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