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華のお江戸の振袖小町  作者: 水虎
第拾弐幕「休日」
197/255

第拾弐幕の拾伍

タピオカのないミルクティーもうまい。

名乗りポーズを決める振袖小町に、ティーガーは視線が一点に集中、プチッツァとラパンはなぜこんなことをしたのか理解できず肩をすくめる。

「あの日あの時から俺がさくらを守るって決めたのに、お前も邪魔をするのかあああ!!」

 ティーガーは右手に電撃を走らせ、かりんに向かって走り出す。だが、そこにラパンが立ちふさがる。

「……この子は私がやる」

 彼女の目を見たティーガーは、その瞳に燃える真剣さを察しその場を去っていく。さくらの目に映った彼の背には、ある種の使命感のようなものが感じられていた。

 タピオカが弾切れになり、ただのミルクティーとなったためネガボットは映えなくなっていたため明らかに力を失っていた。カップの中にでミルクティー漬けにされているさくらと言い争いになった女性を救うべくかりん以外の振袖小町も純扇・彩を開き構える。

 華麗に舞う振袖小町。正気を取り戻したが動く気力がない操られていた人々は舞いによって発せられた光を浴びて体力と気力を取り戻していく。

「邪悪なるものよ、幸運に散華せよ!」

「今だ!」

 プチッツァは自らの羽根を1枚抜き、元タピオカネガボットのストローに投げ入れた。羽根はミルクティーの中にゆっくりと沈んでいく。

「百華繚乱!!」

 人々の歓声という伴奏とともに舞われた華麗な舞いが終わり、かりんが扇を閉じるとネガボットは倒れ、頭部にあるふたが開き、ミルクティーとともに女性が解放される。プチッツァが投げ入れた羽根がふわりと空に昇っていった直後、ネガボットは爆発四散し白い光が女性の口に入っていく。

「……次は負けないから」

 言葉少なにラパンは姿を消す。

 戦いを終えた振袖小町とそのサポーターは、連絡を受けて繁華街近くにある大きな公園にやってきた。開けた場所にヘリがゆっくりと降下し、風圧で小さな草を吹き飛ばしながら着陸。パイロットであるエリーと、車内で同乗していた蓮が降りて出迎える。

「皆様、今回もお疲れさまでした」

「かりん、すごかったな」

 恭しく迎えられたはいいが、目の前にヘリがあることにさくらとかりんは現実味がわかず互いに頬をつねりあう。夢ではないようだ。

「僭越ながら、皆様をお迎えに上がりました。お乗りくださいませ」

 前代未聞のヘリでの家路に、駆けつけるために往路で乗ってきたあおいとアイリスも仰天する。しかし、あおいたちは慌てて外に出たため交通費を持ってきておらず、渡りに船であった

 結局美卯、いや卯月が無事に避難できたのかがわからないことが心残りのかりんは後ろ髪を引かれる思いだったが、ヘリに乗り込み窓ガラスから外を見つめ出発した。それと同時刻、かりんのTwitterアカウントには「MAmami」と名乗るアカウントから一通のDMが届いていた。

〈次はかりんちゃんの好きな街に行きたいな。

 私は今日すっごく楽しかった!

 なんかめちゃくちゃになっちゃったけど、

 またいつか! 卯月〉

 廃研究所に戻っていたハンジールは、カルネロに呼び出されていた。平静を失っているハンジールとは対照的に、カルネロは淡々としていた。

「……踊闘苦肉(ようとうくにく)

 ライドアーマーから発射されるミサイルを手刀や拳でハンジールは次々と撃ち落としていく。

「何しやがる!」

 残弾がなくなったカルネロは実力行使に及び、筋骨隆々な彼の体をアームでつかみ、力ずくでゴーダやキマが浸けられているのと同じ巨大培養槽に入れられてそのまま気を失ってしまう。無理やり入れたため少量の不幸の蜜が床にこぼれたが、カルネロは意に介さなかった。

「何、このくらいあとでおつりがくる。……手を煩わらせたお礼を考えておこう」

 培養槽に浸けられたゴーダ、キマ、ハンジールを見つめるカルネロ。彼の手の中には振袖のカケラがあり、床にこぼれた不幸の蜜にそれを当てると、一気に黒く変色した。

人気アイドルとTOのデートはこれにて終わり、裏では大きな野望が動いてます。

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