第拾弐幕の拾肆
難関の突破には突飛な発想が役立つ。
「きゃっ! やめてください!」
「お、男の人がいっぱい……」
「く、苦しいー!!」
振袖小町はたちまちラパンに操られた人々に囲まれてしまう。その中には女性もいたが、男性が苦手なあおいはたくさんの男性に囲まれ意識が遠のいていく。襲撃している側は操られているとはいえ満員電車での御法度までもが起こる事態となり、アイリスは不快感をあらわにした。イナリにとっては自分の体よりも大きな人間がこんなにも密集しているだけで押し潰されてしまわないか不安でならなかった。
ヘリ内部のモニターに映った光景を目撃した蓮は、人間が起こす恐怖という緊急事態にヘリから飛び降りて今すぐ現場に駆け付けたい気持ちを必死で抑えていた。一方、ティーガーはさくらに近づこうとした人間は手当たり次第に電撃を浴びせ彼女を守っていたが、さくらはそれが不服で、彼の腕をつかみ制止する。
「私のためだと思ってやってるんだろうけど、こんなの嬉しくない!」
「嬉しくない……? そうか……でも、俺は君を守りたいんだ。それじゃダメかい? ……邪魔だ!!」
寂しげな表情を浮かべながらもさくらを守るために彼女に近づく人々に電撃を浴びせるティーガーを見て、渉の仮説が正解なのかわからなくなりさくらは何を信じればいいのか考えが錯綜する。
もみくちゃにされているあおい、アイリス、イナリを救う手段はないか思案するも、身動きが取れないかりんはこの事態を打破する策を考えていた。ティーガーはさくらに近づいた人にしか対応しない。なんとか全員を救い出す方法はないものかと思っていた彼女の耳に、ラパンが歌う歌が聞こえてくる。
「(敵だけど、ラパンの歌声って聞いてて心地いいんだよね……刺さるというかストライクって言うか……ストライク……!?)」
自分の体を包むタピオカにあおいが空けた穴ができていたことを目にしたかりんは、何かを思い立ったのか頭もタピオカの中に突っ込み始める。
その姿を見たかんなはあるものを連想し、彼女が何をしたいのかを理解し人の波をかき分けて彼女の体に包まれたタピオカの後ろに立ち、手を当てる。
「行くよ、りんりん!」
かんなが手を離すと、かりんは体重移動をさせながら自らの体を包むタピオカを転がし加速していく。柔らかいタピオカは人に当たっても払いのけせいぜい転倒し気を失うだけのため人を傷つけずに密集した人々を分散できた。また、発射されて地面に弾着し転がっていたタピオカが操られた人々を集めて一か所にまとめる働きをした。
人々の大半が気を失ったことでラパンが乗っていた騎馬を組んでいた二人組も正気を取り戻すと、彼らはネガボットを目にして一目散に逃げだし、ラパンは尻もちをつく。
「ストライク!」
思惑がうまくいったかんなは思わず叫んでしまった。
無事にさくらたちを操られた人々から救出したかりん、彼女が体重移動を繰り返してタピオカは中から自壊、かりんが飛び出してくるが目が回り倒れてしまう。立ち上がろうとしてもふらふらしてかなわない彼女だったが、目の前にあったクレープ屋の近くにあった木のベンチに触れると彼女の平衡感覚の異常がきれいさっぱりなくなる。木の振袖小町である彼女だからこそなせる技である。
立ち上がったかりんは右手を前にかざし、純扇・彩を開いて叫ぶ。
「色鮮やかに、咲き誇る!」
いきなり始まった名乗りにネガボットとティーガーはたじろぐ。
「「「「華のお江戸の振袖小町!!」」」」
コロコロカービィとかスーパーモンキーボールみたいな感じで転がっていきました。例えが古いかな?




