第拾弐幕の拾弐
策略が動く繁華街。
騒ぎの声をバックに、やっと自分たちの番となったかりんと美卯。注文や場所取りなどしてる場合ではなくなっていた。
「(空気読んで)」
あまりのタイミングの悪さに、かりんに気づかれないよう拳を握る美卯。当の彼女はネガボットの出現に戦々恐々としていたためそれには気づいておらず、おずおずと声をかけてきた。
「美卯ちゃん、私ちょっとトイレ……」
「……いってらっしゃい」
かりんが立ち去る真の理由を知っている美卯は、口元をニヤリとさせながら彼女の背中を見送った。
既にネガボットと戦っているさくらと、仲間たちに連絡しつつ人々を避難させるかんな。そこに肩で息をしながらかりんが合流する。
「お待たせ!」
「りんりん、今のうちに!」
かりんは通りの裏道に姿を隠す。かんなは彼女を待ちつつスマホを操作する。
「チャラチャラした女が何してやがる! ネガボット、やっちまえ!!」
タピオカネガボットは頭頂のストローから巨大タピオカを発射する。弧を描いて飛んでくるそれをさくらが一刀両断しようとしたが、聖剣・紅がタピオカの弾力に負けてしまい、熱を吸って抜けなくなってしまった。しかし、その間にかんなは冷や汗をかきながらも目的を果たしスマホをポケットにしまう。
「(これであおいっちとアイリスもここに来れるはず!)」
さくらからの連絡を受けたあおい、アイリス、蓮は、花ヶ咲から離れた場所で起きた事件にどう向かえばいいのか困惑していた。そこに、あおいのスマホに指定された場所に来るよう連絡が入る。
向かった先は花咲小の校庭、そこで待っていたものに3人は度肝を抜かれるが……!
「ったく、なんだったんだよあの女……」
「怪物まで出て来るし、今日はついてねえなぁ」
かりんと美卯をナンパして返り討ちにあった男たちをはじめとする避難していた人々は、通りにあったアパレルショップの屋根の上で一人の少女が歌っているのを目撃する。彼女の歌が耳に入ると、意識がだんだんと朦朧としてきていた……!
「(お人形さんたち、木谷かりんたちを始末しておいで)」
ラパンはスマホに映った振袖小町の写真を人々に見せる。すると、戦場と化した繁華街に踵を返しはじめ、ぞろぞろと歩き始めた。
「なめた真似しやがって!」
このギャルはネガボットの襲撃の前ですらスマホをいじっていたと誤解したハンジールは、自らの拳を握り助走をつけて彼女に向かっていく。恐怖から目をつぶるかんなだが、ハンジールは飛んできた矢を食らい倒れていた。
「……りんりん!」
かんなの危機を救ったのはかりんだった。
「かんな! 大丈夫!?」
サムズアップして平気なことを示すかんな。これ以上は危険と判断し、急いで裏道へと走っていく。
「みんなの楽しい休日をこんなめちゃくちゃにしてくれて! とっととおうちに帰りなさい!!」
ハンジールとネガボットを指差し啖呵を切るかりん。その後ろで、さくらは思いっきり踏ん張って渾身の力で聖剣・紅をタピオカから引き抜き、その勢いでしりもちをつく。
「こっちにはまだ帰れない事情があるんだよ!! ネガボット!!」
「ネガー!!」
再びタピオカが振袖小町に向けて発射される。空からはプチッツァが見守っていた。
「ハンジール、なんか必死そう。手助けしたらキレられそうだし、ほっとこ」
静観を決めた途端、激しいプロペラの音が近づいてくる。同乗者のことよりも、その音の主のパイロットの顔を見たプチッツァは動揺し何もできなかった。
ここでさらっとラパンの能力をお披露目。歌で人を操ります。




