第壱幕の拾肆
敵組織がワイワイやるパートです。読んでる人の中にはここが楽しみという人もいるんじゃないですか?
「ネガー!!」
怪物は咆哮をあげ、暴れ始める。
「ネガボット……だっけ? いいじゃないこれ! さあ、この町をぶっ壊して!」
「ネガー!!」
ネガボットは運転手が乗っていたトラックを軽々と横転させ、腕で道路標識をいとも簡単にねじ曲げ、足踏みしただけで地響きを起こし、道路にひびを入れる。その光景に人々は恐れおののき、一目散に逃げ惑う。
この光景はネガボットを作り出した立方体がカメラの役割を果たし、映像が廃研究所の巨大モニターにも生中継で映し出されていた。
「がっはっは!! 叩き起こされて来てみりゃ、こいつはいいつまみだ! 酒がいつも以上にうまい! カルネロ、やっぱあんたは大天才だ!!」
片手に酒瓶を持って酔っぱらった大柄な男は上機嫌で酒を飲み干しながら、酒瓶を持たない方の手でカルネロと呼ばれた中年男性の乗った機械を叩き褒め称える。
「よせよせ、ほめても何も出ないぞ。なにせ私が天才であるのは自分が一番わかっているのだからな」
口では自分の才能を誇示しながらも謙遜していたものの、カルネロは褒められて悪い気はしていなかった。
映像で見るネガボットの活躍に、目つきの悪い男は自分が少女の出撃を推薦して正解だと確信していた。
「(これは俺様の手柄だな……プチッツァ、絶対失敗すんじゃねーぞ……)」
それぞれが中継の映像に盛り上がる中、大人たちに比べて冷静な目線で中継を見ていた少年がオカマに質問を投げかける。
「このネガボットってやつどう思う? 僕はなんかかっこいいと思う!」
ネガボットのことを肯定的かつ明るく話す少年に対して、オカマの返答はつれないものであった。
「うーん……暴れる姿はいいんだけど、見た目があんまりかわいくないのよね。もっといい男を狙えばよかったのに。あの子もまだまだ子どもよね」
オカマの口から出てきた不満に、メガネの青年が食って掛かる。
「キマ! うまくいっているところに水を差すような発言はやめてくれますか? 見てくれは作戦の成功には関係ないことですよね?」
「何よ? 文句あるの?」
明らかに喧嘩腰のキマとメガネの青年。互いの間を火花が飛び散るような一触即発の空気に、あわててカルネロたちがその仲裁に入る。どさくさに紛れて少年は部屋を抜け出し、廊下で小さくガッツポーズをしていた。そして屋上に上がり、露出の高いドレスを着たグラマーな美女に話しかける。
「おまたせ。あっちは混乱させといたよ」
「ありがと。ここからは、私に任せてちょうだい」
美女はスマホを取り出し、ある場所に電話をかけた。
「もしもし、……ですか? ……の者なんですが……」
妖艶な口調と声のトーンで電話をかけている美女の隣で、少年はこれから事態がどのように展開していくのかを考え、胸が熱くなっていた。
敵幹部が1話からいっぱい出てきてますが、これは4軍団の構成員の大半が1話から出てきた首領が自分を夜の闇に包むことでお馴染みの帝国のオマージュです。
火宮さくらの青春は輝いているか、見届けてください。




