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166 砂漠の戦鬼 前編

今章、クライマックスの前編となります。



 冒険者ギルドでは、数人だがドワーフたちが生き残っていた。

 ギルドがむざむざ襲撃を許した理由は、ランクの低い冒険者しか残っていなかったせいかと思っていたが、残っていたのはギルドの職員たちで低ランク冒険者のほとんどはすでに逃げ出していたらしい。

 職員が逃げなかったのは同族意識的なものもあるが、ジェーシャとジルガンが上手く纏めていたのだろう。彼らは冒険者ギルドという組織が無くなったとしても、この町を護る『ホグロス商会』として残ると言っていた。

 こんな秩序のない町でも、一部の人間は誇りを持って生きている。彼らには彼らの戦う理由があり、私も自分の目的を叶えるために冒険者ギルドを後にした。


「燃えている……」

 町の数カ所から火の手があがり、遠くから幾つも立ちのぼる煙を見て相当な数の闇エルフたちが紛れていると分かった。おそらく、リーザン組を含めれば百や二百では済まないはずだ。

 逃げ惑う商人や住民たち。だが、住民たちの一部もそんな襲撃者に対して、鉈や鎚のような武器を持って反撃を行なっている者たちがいた。


「ぎゃっ!?」

 住民たちと戦っていたリーザン組の一人が、私のペンデュラムに腕を斬られて武器を落とした。

 私がこの町にできることはない。身に降りかかる火の粉を払うしかできないけど、それでも、町を走り抜けながら見かけたリーザン組や闇エルフの手や顔をペンデュラムで傷つけると、周囲の住民たちが複数で襲いかかり、襲撃者を打ち倒していった。

 その姿に私は砂漠の民の強さを見たような気がした。彼らの町の行く末は彼らが決めるのだろう。

 私は……私たちはこの砂漠を脱出する。

 この状況でエレーナの命と彼女の願いを同時に掬い上げるにはそれしかない。

 でもその前に、やれることだけはやっておく。


 カトラスの町は一般的な街と同様に壁で囲まれているが、その一部は崩落して、チャコたちのような孤児や貧民たちが住む、魔物が現れる危険な地域へと繋がっていた。

 私は崩れかけた壁を乗り越え、この近くにある見張り塔の一つへ向かう。

 この町を囲むように建てられた見張り塔は一つじゃない。私たちが根城にしているような崩れかけた物もあるが、半分ほどの塔は現役であり、遺跡のほうで何か起きた時には町に警報を出すと聞いていた。

 そのまだ残っている見張り塔から何もないのは、まだ魔物の暴走(スタンピード)が見える位置まで来ていないのか、ジェーシャたちが上手く抑えているからか……それとも。

「貴様っ、それ以上近づくと――」

「邪魔だ」

 私に向けて弓を放とうとした闇エルフの眉間に投擲ナイフが突き刺さる。

 黒い鎧の闇エルフ……やはり、魔族軍に占拠されていたか。私は絶命した闇エルフからナイフを回収し、物音を聞きつけて塔から飛び出してきたリーザン組の一人を斬撃型のペンデュラムで目元に切りつけながら、間合いを詰めて後続の男諸共その心臓に刃を突き立てた。


「て、敵襲っ!!」

 断末魔の叫びが塔に響き、私が塔の中に躍り込むと同時に上階から複数のクルス人たちが降りてくる。

 近接戦で同程度の実力があるなら、重さを利用できる高い位置にいるほうが有利になる。だがそれも〝魔法〟があれば話は変わる。

「――【幻痛(ペイン)】――」

「ぎぁっ!?」

 最後に降りてきた男――重い武器を持ち、重い鎧を着ているからこそ最後になった男が、【幻痛(ペイン)】に混乱して仲間を巻き込むように階段を転げ落ちた。

 転げ落ちる大男に何人かの男たちが潰される。私は螺旋状になった階段の壁を駆け上がり、そのまま大男の首を足場にするように蹴り砕いた。

 まだ息のあった敵にトドメを刺し、全速で階段を駆け上がる。


「――【石弾(ストンシヨツト)】――っ!」

「――【闇の霧(ダークミスト)】――」

 最上階に駆け上がった瞬間、待ち構えていた闇エルフと私の魔法が同時に発動する。

 魔術は意識で目標を定められるが必中ではない。一瞬の目視で放った【石弾(ストンシヨツト)】は闇の中を突き抜け、駆け上がった勢いのまま天井まで跳び上がった私は、天井を蹴って驚愕に目を見開いた男の顔面を刃付きの踵で蹴り抜いた。

 ランク3でも【水球(ウォータボール)】のような範囲系を使われたら危なかったが、威力の低い魔術よりも必殺に拘った心の弱さが、勝敗を決める結果となった。


 塔を占拠していた敵を掃討して遺跡のほうへ視線を向けると、遠くから景色を霞ませる砂煙と、その中に蠢く黒鎧の一団が目に映る。

「…………」

 ジェーシャたちは駄目だったか……。魔族軍がここまで迫っているというのは、そういうことだ。敗走して生き延びている可能性もあるが、ジェーシャやジルガンの性格からして死ぬまで戦うか、生きていたとしても無事で済んではいないだろう。

 それでも魔物の暴走(スタンピード)の数があまり見えないのは、冒険者たちの成果だろうか。だが、ホグロス商会の冒険者が敗北した時点でこの町の命運はほぼ決した。


 目視で見て魔族軍の数は二千ほどか。大国の軍に比べれば大したことはない数だが、魔族軍の真価は数ではなく〝質〟にある。

 人族国家の兵士はランクにして1から2、熟練した兵士や騎士でランク3程度だが、これが大規模な戦闘になると、碌な戦闘スキルすら無い徴兵された民兵などが大部分を占めるようになる。

 だが、魔族軍に弱兵はいない。彼らの大部分はランク2以上の戦士や魔術師であり、その高い闘争心によって退くことすらなく、人族から悪鬼のように恐れられていた。


「まずいな……」

 その進行方向を見て私の頬に一筋の汗が流れる。このままだと……魔族軍は私たちが拠点にしている塔の近くを通ることになるはずだ。

 私は辺りを見渡し、奥にあった籠の中に目的の物を見つける。

 私が探していたのは町への連絡手段だ。いちいち人をやっては効率が悪い。だからこそ何かあるはずだと捜してみると、乾燥した多肉植物の繊維が大量にあり、数本の陶器瓶も発見した。

 私は迷いもなく繊維の束を暖炉のような場所に投げ入れ、生活魔法で火をつける。そこに瓶の中身をぶちまけると、予想通り赤黒い煙が立ちのぼりはじめた。

 おそらくこれは烽火(のろし)のようなものだ。ここに来た目的は、もしかしたら町にいないかもしれないカミールにも、この状況を伝えられるかと考えたからだ。拠点にいるロンも気づいてくれたら町の状況が分かるはず。

 それに、町の住民も外から襲撃があると気づけば避難を――


「――っ!」

 突然感じた悪寒に塔の外に目を向けると、進行する魔族軍……その舞い上がる砂煙の後ろから大気を震わせるような地鳴りが響き、その砂煙を消し飛ばすように、巨大な火の球がこの見張り塔へと撃ち出された。

 その瞬間、私は高さ数十メートルの見張り塔の窓から宙に身を躍らせる。

 直後に私がいた見張り塔の最上階が飛来した火の球に焼かれ、轟音と共に砕かれた破片を避けるように外壁を蹴った私は、外套を広げて減速に使いながら砂漠の砂に着地する。そのまま勢いと衝撃を殺すために何度も砂地を転がり、数十メートル離れてからようやく顔を上げた。

「…………」

 岩を積み上げただけの塔は衝撃に耐えきれずに上半分が崩れようとしていた。

 私も階段で降りることを選択していたら死んでいた。偶然だが上手く減速ができて、柔らかな砂地に落ちなければ大怪我をしていたところだった。

 今の攻撃……おそらくは地竜(ドラゴン)のブレスだ。

 古代遺跡にいる竜は下位種である地竜だと聞いていたが、対空攻撃用の火の球を噴くのなら、そいつは空を飛ばない地属性の鉱石竜になりかけているのだろう。

 その竜の炎が魔族軍の背後から放たれた……? 彼らが竜に追われていたようには見えない。だとするのなら、その竜は魔族軍に操られているということか……。


「――【高回復(ハイヒール)】――」

 私は口に入った砂混じりの唾を吐き捨て、落下で受けたダメージを【高回復(ハイヒール)】で回復する。


【アリア(アーリシア)】【種族:人族♀】【ランク4】

【魔力値:178/330】【体力値:195/260】

【総合戦闘力:1497(身体強化中:1853)】


 残りの魔力は六割というところか……。これから自然回復を当てにしても七割程度しか回復しないはずだ。

 これ以上の魔力回復ポーションは効き目が薄くなるだけでなく、いざというとき邪魔になる。私は腰のポーチから取り出した栄養補給用の丸薬を噛み砕き、矢傷と返り血でボロボロになった外套を羽織り直して再び砂漠を走り出した。

 魔族軍にこれほどの遠距離攻撃があるのなら空に逃げるのも危険になる。それを無力化できればいいのだけど、優先順位は間違えない。

 脱出するのならすぐにでも始めないと間に合わない。

 もしそのために必要なら……もう、するべきことは決めている。


   *


 もう高台に上がらなくても、魔族軍の砂煙が遠くに見えはじめていた。

 走り出して四半刻後、砂漠を駆け抜けた私は、ようやく拠点にしている見張り塔にまで戻ってこられた。

「アリアっ!」

 私を待っていてくれたのか、塔に入ると同時にエレーナが駆け寄ってきた。

 抱きつくほどの勢いで飛び込んできたエレーナが、自分の立場を思い出したように躊躇して足を止める。

「ただいま」

「おかえり……なさい」

 私が声に出してそう言うとエレーナは声を詰まらせるようにして、少しだけ高い私の顔を見上げた。

 どれだけ心が近づこうとも、私とエレーナの間には立場の壁がある。並行して道を走っていようとも、私たちの道はけして交わらない。

 こんな過酷な状況だとしても……いや、だからこそ、彼女は自分を律するように王女としての使命を優先し、私もそんな彼女だからこそ、命を懸けて刃を振るってきた。

「「…………」」

 心の底にある言葉を口にすることができず、私たちは互いの顔を瞳に映す。


 少し……痩せたね。

 艶やかで潤いのあった金の髪も白い肌も、砂と埃に汚れている。

 肉体的にも精神的にも疲労が抜けきれず、熟睡することすらできない環境に、目の下にはうっすらとだが隠しきれない隈が浮かんでいた。

 王宮育ちなのだから当然だ。彼女の戦場はここではない。それでもエレーナはこの二ヶ月の間、このスラム同然の環境でも弱音一つ吐かず気丈に振る舞ってきた。

 私はエレーナの頬を右手で包むようにして、親指で隈の浮いた目の下から砂を拭う。

 私の思いがけない行動にエレーナの瞳が潤み、彼女の左手が私の手に重ねられた。


『――――――!!』


「「っ!」」

 外から聞こえてきた咆吼のような地響きに私たちは同時に顔を上げた。

「ロンやチャコたちは?」

「上よ。すでに子どもたちも熱気球の籠に居ます。……カミールは?」

「見つからなかった。他の塔から烽火を焚いたので見てくれたらいいんだけど」

「私たちも気づきました。ロンはあれを見て出発の準備をしているわ。火属性の魔石はやはりギリギリのようですが」

「それなら幾つか確保してきた。状況は――」

「ええ、分かっています。長距離の射線……おそらくは竜のブレスでしょう。あんなモノが本当にいるなんて……」

「……急ごう」

「ええ」

 もうエレーナの瞳に先ほどの弱さはない。それでも無理をしているであろう彼女を私は護りたいとあらためて思う。


「アリアっ」

「アリアさんっ」

 塔の上階に登ると私の姿を見たロンとチャコが声をあげた。私は【影収納(ストレージ)】から出した魔石をロンへ放り、顔色の悪いチャコの肩を叩く。

「子どもたちは?」

「は、はいっ、もう籠に入っていますけど……」

 熱気球の籠は大人なら五、六人、装備や食料込みで乗り込める広さがある。すでにこの一月で集めた食料が積み込んであり、水もエレーナがいれば問題はない。

 その籠の中で年長のノイがラナとナルを抱きしめるようにして怯えていた。たぶん、離れていても竜の咆吼が届いていたのだろう。竜の咆吼は弱い者を怯えさせる。チャコも怯えていたようだが、彼女は私が叩いた肩に触れるようにして安堵したように頬に血の気が戻っていた。

「アリア。カミールは?」

「見つかっていない。烽火を見れば戻ってくるか?」

「分からない。でも……たぶん、あいつは〝魔族〟には殺されないと思う」

「そうか……」


『――――――!!』


 再び地響きが響き、チャコや子どもたちが悲鳴をあげる。

 もう相当近くにまで迫っているはずだ。この近くを通るのなら魔族軍がこの塔を見逃すとは考えにくい。近くにまで来れば人の手が入っていることにも気づくはず。

 そうなれば最初の懸念どおり、ここで逃げても私たちは砂漠から脱出する手段を失うことになる。


「急いでここを離れる! 気球に熱を入れるから、レナとアリアは手伝ってくれっ」

「はいっ」

「了解」

 熱入れはすでに先んじてロンが行なっていたが、ロンは私から受け取った魔石でさらに熱を入れ、作業を早めようと試みた。私とエレーナは膨らみ始めていた気球のロープを引いて、膨らみやすいように広げていった。

「気球の強度は?」

 その途中で気になることを訊ねると、ロンが作業をしたまま首を振る。

「まだ完全に糊が乾いていない箇所がある。でも数日なら問題はないはずだ。レナはそろそろ乗ってくれっ。アリアは様子を見て固定したロープを切ってくれっ」

「分かった」

 エレーナが心配そうに振り返りながらも気球に乗り込み、私は浮き始めた気球が内壁に触れないようにロープを切っていく。

「飛び立つぞっ。乗れ、アリア!」

 最後のロープを切った私が飛びついて籠の縁に掴まる。

 徐々に天井が崩れて屋上になっていた最上階から離れ、ジリジリと焦りを感じるような速度で上がる時間の中、それでも全員がこの町から離れることへの不安と希望に目を輝かせていた。

 だが――

 崩れかけた外壁を抜けた瞬間、縁に手をかけたまま目を凝らしていた私の視界に、数百メートルまで迫っていた魔族軍の中から、地竜(ドラゴン)が顎を開いて炎を溜めていることに気づいた。

「全員、掴まれっ!!」


 ――轟――っ!


「きゃああっ!?」

 竜が撃ち出した火の球が最上階の外壁に当たり、砕けた外壁の破片が気球に当たってチャコや子どもたちが悲鳴をあげた。

「気づかれたっ! ロン、気球はっ!?」

「分からないっ。でも、上がるのが遅いっ!」

 気球部分は空の魔物に対抗するため、魔物の革でできている。でも、今の衝撃か礫が当たったせいか、どこからか空気が漏れているのかもしれない。


「…………」

 私は籠の縁に掴まったまま竜に目を向ける。

 やはり見逃してはくれなかったか……。けれど今の攻撃で気づいたこともある。

 竜のブレスは体内に炎を噴く器官があるわけではなく、『竜魔法』の一つだと聞いたことがある。

 竜があの巨体で空を飛ぶのも、ブレスを放つのも、人間が使う精霊言語と同様に竜の咆吼で魔法を行使しているのだ。

 でも、今のブレスを見た私の〝目〟には、それが単音節の無属性魔法である【(せん)()】と同じように感じた。

 ならば、人間が戦技を使ったときと同じように〝間〟があるはずだ。戦技は連続して使えない。その熱が冷めるまでどのくらいある? 数十秒? それとも数分? それならば……私のやることは決まっている。


「アリアっ、待ちなさいっ!!」

 何かを察したのか、エレーナが悲鳴のように声をあげて、縁を掴んでいた私の手を強く掴んだ。

「何を考えているのっ!?」

 彼女の叫びと問いかけは、その答えがもう分かっているように悲痛に満ちていた。

「離して……」

「ダメ……ダメよっ! どうしてあなたがっ」

 振りほどこうとする私の手を、エレーナの手が白くなるほどの強さで握る。

「このままだとみんなが死ぬ」

「だから、どうして!? あなた一人がそんなことを……」

「分かって」

「分かりませんっ! どうしてアリアがっ!」


 エレーナだって本当は分かっている。

 敵に気づかれた以上、この場に残っても生き残れる可能性は限りなく低い。飛び立てたとしても、竜のブレスから生き残れるかどうかは運に頼るしかない。

 生き残れるとしたら、誰かが残って足止めをするしかなかった。竜が再びブレスを噴く前にそれをできるとしたら、一番戦闘力の高い私しかいない。


「それなら私も残りますっ! あなたは私の――」

 何かを言いかけたその言葉をエレーナが呑み込む。

 それは言ってはいけないこと。王女として言ってはいけないこと。

 幼かったあの日……互いの道は違っても、自分が歩むと決めた茨の道をけして降りないと誓いあった、二人で決めた〝約束〟だから。


「エレーナ」

「――っ」

 偽名ではなく本当の名で呼んだ私にエレーナが涙に濡れた顔を上げた。

「私はエレーナに生きていてほしい」

「わ、私だって――」

「エレーナが死んだら()だ。エレーナには夢を叶えてほしい。エレーナが信じるものを全部叶えてあげたいんだ」

「どう……して……そんなこと……」

 突然口調を変えて独白しはじめた私にエレーナの目が見開かれ、私の手を掴んだままの彼女の手に、私はもう片方の手を乗せる。


「だって。エレーナは私の一番の〝友達〟だから」


 大きく見開かれたままの碧い瞳に、私が幼い頃に浮かべていた、忘れたはずの無邪気な笑顔が映っていた。


「――――っ」

 一瞬力が抜けたエレーナの手から手を解き、私は気球の籠からふわりと身を離した。

 それを追ってエレーナが身を乗り出し、離れていく私の手を掴もうとその白い手が空を掴む。

「――アリア……アリアぁああああああああああああああああっ!!!!」


 サヨナラは言わない。

 私は最後に離れていくエレーナに目を細めて微笑み、仰け反るようにして魔族と竜に鋭い視線を向ける。


「――【鉄の薔薇(アイアンローズ)】――」


 桃色がかった金の髪が、燃えあがるように灼けた鉄のような灰鉄色に変わる。

 飛び散り銀の翼のように広がる光の残滓を帚星のように引きながら外壁を蹴り、壁を駆け下りるようにして飛びながら、乾いた大地に片手をついて舞い下り、こちらに迫る魔族軍を睨め付けた。


「私の戦いを見せてやる」




次回、後編。

傷ついた孤高の虎が、ついに解き放たれた。



前後編に分けても7000文字……。

今回の話は最初から決めていたクライマックスです。

色々とモヤモヤする部分があるかと思いますが、第二章ももう少しお付き合いください。

ご感想や誤字報告もありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
少し泣く……。
………そういえば、まだこの話は第二部学園編だったな………。 ………………………………嘘だろ? アリエリの百合百合っぽいシーンはある意味学園モノっぽいけど。
[一言] ここで友達宣言したのは熱い。 気を逸らす打算込みかなとも思うけど、純粋な笑顔ならそれはないのかな? それはそうと、投稿から相当経ってるから、作者'さん'が感想見てるとは思わず敬称を付けずに…
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