156 それぞれの動き
他の人たちの行動回です。少し長めです。
クレイデール王立魔術学園――王国内のその年十三歳から十五歳になる貴族子女を集め、次代の王国を担う貴族の平均値を底上げするための教育機関である。
安全であるはずの学園は魔族の襲撃を受けて一時的な休園となり、王女の行方を捜す大人の目が行き届かなくなった学園では、王太子エルヴァン・正妃候補クララ・第二妃候補カルラ……そして上級貴族でもない一人の子爵令嬢によって、水面下における混沌の争いが始まっていた。
それは命懸けで王女の誘拐を企て、次代の国力低下を目論んだ魔族の思惑さえも超える結果となり、王国内に仄かな暗雲となって広がり始めていた。
その学園内を歩く二人の少年がいた。
少年――そう呼ぶには少し語弊がある。この国では十五で成人となり、今年十五歳となった彼らは法律的には大人だが一般的にはまだ少年として扱われる。
だが、多すぎる魔力によって成長が早かった彼らの外見は十七歳ほどになり、『乙女ゲーム』と呼ばれる物語で〝主人公〟だけが王太子の目に止まるような『目立つ幼い容姿』をしていたのはこれが原因だった。
その乙女ゲームの中であっても、彼ら二人は最初こそエルヴァンや主人公に苦言を呈していたが、最終的には傍観する立場になった。けれどそれは主人公であるアーリシアの成長と人となりを見て、彼らが彼女を認めたからに他ならない。
だが、今はそうではない。
何を考えているのかわからず、人の心に容易に入り込んでこようとするその少女――アーリシア・メルシスに、二人の少年は強い警戒心を抱いた。
物語ではなく現実のこの世界でも彼らはエルヴァンを諫めようとした。しかし、すでに心の深い部分――彼の劣等感をすべて〝女〟として許容することでアーリシアに籠絡されていたエルヴァンは、側近候補であり友人でもある二人の忠言を拒絶し、より深くアーリシアに依存することになったエルヴァンの下から二人が離れる結果となった。
本来なら二人は、それでもエルヴァンを見捨てられず、まるで何もかも知っているようなアーリシアに侵食されるように取り込まれていた可能性もあった。
だが、彼らがアーリシアより先に出会っていたアリアという少女によって、二人は物語の彼らよりも現実的な思考ができるようになっていた。
アリアという少女は良くも悪くも苛烈な人物だった。その存在は薬にも毒にもなり、学園入学前に冒険者をしていた彼女と出会い仄かな好意を抱いていなければ、王弟アモルやナサニタルのように、彼女を毒として耐えきれずに拒絶していたかもしれない。
けれど、彼女の在り方を受け入れた二人は、一時の感情に流される『夢見る少年』ではなく、王国全体や国外情勢から判断できる広い視野を持つことができた。
だからこそ、今の混沌を払拭するためには、彼らの個人的な好意を別としても、王女エレーナとアリアの二人が必要だと、少年たち――ミハイル・メルローズとロークウェル・ダンドールはそう結論を出した。
「――彼女が素直に教えると思うか?」
「カルラ嬢はアリアを気に入っていると聞いている。城からの貴族ではなく私たちになら、何か話してくれるかもしれない」
隣を歩くロークウェルの言葉にミハイルが眉間に皺を寄せながらそう答えた。
王国内に魔族を引き込んだ貴族家はまだ判明していない。正確には直接動いた下級貴族や裏社会の組織は判明してすでに処分されているが、その者たちに指示を出した者たちがわからなかった。
数十にも及ぶ貴族の容疑者名簿はできている。その中に一つ下の実妹であるクララの名があったことで、ロークウェルは暗い気分になった。
クララは入園時から子爵令嬢アーリシアの危険性を説いていた。常に王族の近くにいるアーリシアを排除するために魔族を引き込むなど確率的に分の悪い賭けに思えるが、〝未来予測〟の【加護】を得たクララならそれが可能であり、妹を信じてやりたいが同時にその加護のために追及は無駄であるとロークウェルにもわかっている。
そして容疑者候補の中にカルラ・レスターの存在があった。
クララ同様王太子妃に内定しており、どちらも年齢的に容疑者としての可能性は低いと思われているが、カルラは齢十三歳で最も危険な貴族であると知られていて、現在は王都にある聖教会の礼拝堂を破壊したとして、学園内で謹慎を申し渡されている。
本来ならもっと厳重な処罰がされるはずだが、被害を受けた聖教会側が不問にしたことと、ランク6の魔物を焼き尽くすカルラを捕らえるためには、騎士隊に千人規模の被害が出ると推測されたからだ。
それ以前に彼女が王妃候補から外されることになれば、国内情勢はさらに荒れる。その現状を引き起こした現国王は、レスター伯爵家の派閥を切り捨てることができず、結果的に王国としても謹慎を申し渡す程度しかできなかったのだ。
現在は大人しく謹慎しているが、気分で何をしでかすかわからない危険なカルラに好んで関わろうとする貴族はいない。
けれどミハイルとロークウェルは、危険な人物だからこそ同じ世界に住むアリアの行方を知る手掛かりが得られるのではと考えた。
実際にカルラはその情報を有しており、王城から派遣された貴族では話にもならないが、行方不明になった少女たちを心から想う彼らにならその可能性はあった。
「ミハイル、お前はカルラ嬢に頭を下げられるか?」
「……ああ。宰相である祖父や総騎士団長である君の父君は無理でも、一人の男としてアリアのために跪くことくらいわけはないさ」
ミハイルの脳裏に桃色髪の少女の姿が浮かぶ。
アリアのミハイルに対する印象は出会いが悪かったこともあり歯牙にも掛けられていないと理解しているが、それでも孤高に戦い続ける彼女を男として支えてあげたいと想う気持ちは前よりも強くなっていた。
「おい、ミハイル。アリアを救いたいのは私も同じだが、エレーナ殿下の救出が最優先だとわかっているのか?」
「それはわかっている。だがな――」
「いいや、わかっていない。彼女は戦士として尊敬に値するが、この国を正常な状態に戻すにはエレーナ様の存在が欠かせない。あの方の視野の広さや高潔さに、私はこの剣を捧げても……」
「〝エレーナ様〟って、ロークウェル、お前……」
自分の言葉を遮ってまで連ねたロークウェルが漏らした言葉にミハイルは目を見開いた。
ロークウェルは高潔が過ぎる騎士であり、自分が心を許した存在しか名で呼ぶことはない。彼の隠された想いを知って思わず呟きを漏らすと、ミハイルの視線の意味に気づいたロークウェルは、ハッとした表情で片手で口元を覆うように少しだけ朱に染まった顔を隠す。
「……悪いか?」
「いいや」
ロークウェルの問いにミハイルはニヤリと笑う。
人が人を想うことに理屈はない。貴族としての彼ではなく騎士としてのロークウェルが惹かれる何かがあったのだろう。
どちらも報いがあるとは思えない相手だが、共に道を歩く二人は無言のまま拳を出して軽くぶつけ合う。
「行こうか」
「ああ」
個人的な感情はひとまず置いて、二人は国を愁う貴族の顔を見せる。
物語では気を許した友人同士ではあっても貴族としてどこかで一線を引いていた二人だったが、今の彼らは互いの想いを知り、その間には貴族家の繋がりを超えた男同士の友情が芽生えていた。
***
クレイデール王国を離れて一ヶ月余り。ランク5の魔物が跋扈する魔物生息域の危険な森を抜け、人気のないセルレース王国の国境沿いを走る獣と、その背に乗った女性らしき人影があった。
「ネロ。今日はここまでだよ」
艶やかな黒曜石のような肌を持つ一見妙齢の女性――セレジュラが声をかけると、ネロと呼ばれた漆黒の幻獣クァールが不満そうにしながら足を止めた。
――進――
「まだ進もうって言うのかい? まったく年寄りに優しくない獣だね」
口調こそ年寄り臭いが闇エルフであるセレジュラの年齢は、外見通り人族の三十歳ほどだ。闇エルフの中で生活するか複数の人間と関わっていれば問題はなかったが、ごく少数の人族だけと関わり、彼らが老いていく姿を見ていたセレジュラの精神は、彼らの老いと共に口調や意識すら変えていた。
そんな彼女の生活にも変化はあった。数十年前にセレジュラの押しかけ弟子となった人族の女性は、その奇妙な妄想とも言える発言共々セレジュラの頭痛の種だったが、それでも出来の悪い弟子の存在は嫌ではなかった。
数年である程度の魔術を覚えた弟子は冒険者になると言って飛び出し、何度か戻っても来たが、六年前にセレジュラの本や薬を盗んで姿を消し、それ以来姿を見ることはなかった。
だが、その馬鹿弟子がいなくなって二年後、異様な気配を纏う少女アリアが現れた。
話を聞けば馬鹿弟子に命を狙われ、返り討ちにしたと言う。馬鹿弟子らしい最期に呆れると同時に悲しい気持ちも生まれたが、アリアが悪いわけはなく自分の教えを受け継いでいるのなら、彼女を新たな弟子として、せめて死なないように鍛えてやろうかという気持ちになった。
そんなアリアと暮らしているうちに、セレジュラは新たな気持ちが生まれるのを感じていた。
子どもとは思えない力がある。胆力もある。けれどその中身は馬鹿弟子のせいで純粋さの方向を歪められたただの子どもだった。
知っていることと知らないことの差がありすぎる。わずか七歳で他者を殺す意味を理解していながら、アリアは子どもが大人に甘える意味さえ知らなかった。
だからセレジュラは厳しく指導しながらも、大人としてアリアを子どものように扱った。虐げられた野良猫のようなアリアも次第に心を開き、セレジュラは心のどこかで諦めていた娘を持ったような気持ちになった。
互いにそれを言葉にはしない。けれども〝家族〟としての絆は生まれていた。
ならば、娘のために親がすることは決まっている。
――征――
「まだ征けるって? そんななりでよく言えたもんさ。いいから今日は止まりな」
危険な魔物生息域を抜けるために、セレジュラとネロはほぼ休むことなくここまで来た。特にネロは走り続けであり、その上、ランク5のグリフォンやゴブリンロードなどと闘って無傷ではない。
ネロはアリアを〝月〟と呼ぶ。孤独に生きてきたネロにとって、アリアという存在は光明に近いものなのだろう。
けれど、幻獣と人という在り方さえも違う存在が、心を通わせるなどあり得るのだろうか? 現在は協力態勢であるが、セレジュラは娘と思う少女のためにネロを警戒し、ネロはアリア以外の存在に心を開くことはない。
それでもアリアの家族の意見を無視するつもりはないらしく、ネロは自分の体調などを冷静に判断して身体を休めることに同意した。
食事は各自が勝手に摂る。セレジュラは野鳥を捕って火で炙り、ネロも若い牝鹿を狩って喰らいつく。
必要なこと以外会話もない関係であったが、森の中とはいえ久しぶりのまともな食事と休息は、少しだけ互いの警戒を緩ませた。
「あんた、どうしてアリアのためにそこまでする?」
何気なく尋ねた言葉に、食事を終えて目を閉じていたネロが薄く目を開いた。
――不――
「は? 分からないって? 自分が何をしてるのかわからないって言うのかい?」
――意――
――不――
「わからないんじゃなくて、質問の意味が分からないって?」
――是――
――月――
――然――
「アリアのためなら当然って、私はその意味を聞いているんだけどねぇ」
――汝――
――愚――
「は? ちょっと待ちな」
――月――
――我――
――同――
「アリアが自分と同じだって? 私はあの子を獣に育てたつもりはないよ!」
――娘――
――否――
「あんたなんか種族さえ違うじゃないか。あんたがアリアの何を知ってるんだい?」
――全――
――知――
「はぁ!? 全部知ってる!? ふざけんじゃないよっ」
――愚――
ゆるりと立ち上がった一人と一頭が、焚火で照らされた夜の森で睨み合う。
「あんたとは決着をつけないといけないようだね……」
――応――
そうしてセレジュラとネロは自分がどれだけアリアを知っているか激論を交わし、これまでの旅で疲労が溜まっていた二人は明け方になって折り重なるように眠りにつき、出発は丸一日ほど先延ばしとなる羽目になった。
***
「メルローズ伯より新たな情報と正式な依頼が来た。これより我ら『虹色の剣』は、王女殿下の探索のため、船により国外に出る」
王都にあるドルトンの屋敷にて、ミランダ、フェルド、ヴィーロの冒険者パーティー『虹色の剣』のメンバーが集まっていた。
だが、その最年少メンバーであるアリアは護衛に就いていた王女エレーナと共に行方不明の状態にあり、たとえ王国からの依頼がなくても探索をするつもりでいたが、リーダーであるドルトンは行動に制限を受けることより、正確な情報と支援を得られる依頼として受けることを選んだ。
「明日には王都を出立し、メルローズ辺境伯領へと向かい、そこからメルローズ伯個人所有の船でカルファーン帝国へと向かう」
転移によって消えたエレーナとアリアの行方は今尚判明していない。だが、比較的可能性が高いものとして、メルローズ伯の縁者が宰相である彼にその情報をもたらした。
その情報源は秘匿とされているが、その情報はこのようなものだった。
『ダンジョンの秘宝で転移を行なったのなら、使用者が死亡すれば、その途中で落ちますわ。彼女がついているのなら、どこからでも帰ってこられるでしょうが、いまだに連絡がないのなら、落ちたのは魔族国か途中の砂漠ではなくて? とりあえず魔族国に近いカルファーン帝国から魔族国方面へ捜すことをお薦めしますわ』
それを語った少女は、最も可能性が高い『死亡』という可能性を考慮せず、生きていることを断言するようにそう告げた。
実際にそれを話した少女は、秘宝に関する情報も転移をする目的地も把握しており、その程度なら、アリアは必ず戻ってくると欠片も疑ってはいなかった。
常人とは掛け離れた精神を持つその少女が情報を与えたのは、単純にアリアと再会する時間を早めたいだけという個人的な理由だった。
未確定の情報ではあるが、ダンジョンの秘宝である〝魔導球〟に関しては、魔術師ギルドや宮廷魔術師団の考察と一致しており、王家としてはその情報だけで国外に探索隊を出すことはできなかったが、外部であり当事者でもある冒険者パーティーに国王の私費で依頼がされることになった。
ドルトンの号令と共に各自が動き出し、その中でフェルドは屋敷に割り振られた部屋から実戦用の魔鋼の大剣を手に取って、手に力を込めた。
「アリア……」
フェルドにとってアリアは、頼れる仲間であり、可愛い後輩であり、実年齢に気づくまでは妙齢の異性でもあったが、今では妹のような存在だった。
フェルドは、ヴィーロからあることを教えられた。
鈍感なフェルドが自分で気づくまで黙っていたらしいが、アリアはフェルドが使っていた鋼のナイフを持っていたらしい。
そのことで思い出したのは、何年も前、フェルドがガルバスに製作を依頼していた魔鋼の大剣を受け取りに行く途中、街道沿いの森で出会った浮浪児の子どもだった。
魔物と間違えて追い回し、短い時間だが生きていく術を教え、折ってしまったナイフの代わりにフェルドは自分の解体用のナイフを与えた。
そのナイフもガルバスの作であり、それに気づいたガルバスがこれも縁だと自作の魔鋼のナイフを与える切っ掛けにもなったそうだ。
フェルドからすれば忘れかけていた記憶だったが、アリアは今でもそのナイフを失くさずに使っているらしい。
今にして思えばこれまで見たアリアの気安い距離感も、初めから信頼できる人物――家族のように想ってくれていたのではないだろうか。
少年だと思い込んでいたあのひ弱な浮浪児が、目を見張るような美少女になっていたのだから、気づけなくても仕方ないとヴィーロは言うが、フェルドはそんな家族同然の少女の危険に何もできなかった自分が情けなかった。
「必ず見つけてやるからな……アリア」
フェルドが気合いを入れ直していた頃、同時期に知り合ったもう一人の師匠は――
「……どうすっか」
ヴィーロは悩んでいた。もちろん尊敬される師匠として愛弟子であるアリアを救いに行くことに異論はない。それどころか、パーティーの中で一番付き合いが長く、率先して情報を集めるため奔走していたのは彼だった。
ヴィーロは重い足取りで王都に新しく購入した自宅へと向かう。
ドルトンの屋敷に比べれば小さな物だが、それでも一般的には『館』と呼ばれる類の物で、下級貴族が家族と住んで住み込みの使用人を数名雇えるほどの広さがある。
「ただいまぁ……」
ヴィーロは数ヶ月前から一人の女性と暮らすようになった。以前より面識があった冒険者ギルドの受付嬢で、まだ幼かったアリアを連れていったときに誘拐犯と疑われ、冷たい視線を受けたことで惚れたヴィーロが何年もかけて口説き落としたのだ。
ヴィーロが冒険者基準でまだ若いにも拘わらず、引退して暗部の誘いに乗ったのは、彼女が安定した職とお給金を求めたからだ。
女に弱くこれまで何度も夜の女性に貢いできた彼は、一級冒険者とは思えないほど金銭に疎く、この屋敷の購入もドルトンからの借金であり、今では同棲中の彼女の尻に完璧に敷かれていた。
「あら、早かったのね」
「ああ、ただいま、メアリー」
奥より白いエプロンを着けた長い髪の綺麗な女性が現れる。
まだ受付嬢を続けている彼女が家にいるのは、最近忙しくしているヴィーロのために溜まった有給休暇を使って彼に料理の腕を振るうためだった。
そんなメアリーに、明日から何ヶ月も他国に行って居なくなると伝えればどうなるのか? きっと機嫌を損ねて冷たい視線を向けてくるに決まっている。
ヴィーロは妙齢の美人に蔑まれるのは嫌いじゃないが、本気で怒られるのは好きじゃない。たとえアリアのように美少女でも、本気で命を狙ってくるようなことまで受け入れられるほど心が広くもなかった。
けれども、その愛弟子のために男としてビシッと決めなければいけないときがある。
それが今だ、とヴィーロは気合いを入れる。
「メアリー、よく聞いてくれ」
ヴィーロが汗をかきながら、これまで黙っていた事柄とこれからのことを話すと、朗らかだったメアリーの視線が一瞬で氷点下にまで下がった。
「は?」
「いやまてメアリー、これは師匠として俺が――」
「当たり前よ!」
想像通り怒られた。メアリーは休日をヴィーロと過ごせないことを怒るのかと思ったが、その方向性が違っていた。
「え?」
「どうしてアリアさんのことを黙ってたのっ!? あの子はまだ十三歳なのよ!」
「いや、俺もそうは思うが……」
「もぉ、本当に不器用な人ね。食事をすぐ作るから待ってて。ちゃんと食べて、ちゃんとあの子を連れて帰ってきてね」
「メアリー……」
結果的に許してもらえて、美味しい食事もして幸せを感じたが、どこかメアリーの優先順位の中で自分よりもアリアのほうが上にいると感じて、腑に落ちない気分で食事を口にかき込んだ。
次回はアリアに視点が戻ります。
乙女ゲームの内容ですが、登場人物の乙女ゲームと現状の相違点を軽くまとめました。
□エレーナ・クレイデール
アリアと出会わなかったエレーナは、兄を慕っていると見せかけるために今よりも我が儘な王女を演じている。信用できる人間が従姉妹であるクララだけなので、彼女の影響で若干意地悪な思考をできて、悪戯っ子のような笑みを浮かべることもある。
□クララ・ダンドール
前世の記憶が戻らなかったクララ。現状よりも貴族令嬢らしい我が儘さを疑いもなく持っている。エルヴァンに恋をするのはそのままで、嫉妬で主人公を苛めますが現実と違って殺そうとまではしていない。
□カルラ・レスター
基本変わりなし。現実より強さも異常さも控えめだが、普通にラスボス。
■攻略対象者男子
乙女ゲームでは高校生くらいだと思われていたが、実際は中学生。中身もまだ子供で視野が狭く、自分の気持ちを優先する。唯一大人の王弟は仕事をさせてもらえなかったので気分は学生のまま。
乙女ゲームのヒロインがまともなので何とかなっているが、ヒロインが悪女だったら揃ってダメになっていたと思われる。





