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CROSS ROAD   作者: ヒカリ
2/3

モノクロだった世界が色づく瞬間。

よろしくお願いします


「明日、小学校で運動会やるんだ。来てよ。」

5月末、初めて声をかけられた。

ーああ、この子この前「石川五右衛門」の話してた子だ。


“ねーね、先生って頭いいの?”

“うん、君らよりかは”

“え、じゃあ石川五右衛門って知ってる?”

“あれでしょ、釜揚げにされちゃった

人”

“ふふっ、それ映画の影響?にしても違げーよ”

“うるさいな、このがきんちょ”


私は3日前の会話を漠然と思い出していた。

その時にはそのくらいにしか思ってなくて、正直誘われたことに戸惑っていたけれど、すっと通った鼻筋、勝気な目、片方だけ上がった唇。

よく見るとすっごく整った顔。

思わず予定を確認してみるが、6月4日は大好きなミスチルのライブの日だった。

「…その日は、ライブの音漏れ聞きに行くからごめんね!…あ、来年は絶対行くから!」

断るだけならまだしも、来年は絶対行くだなんて変なフォロー、入れてしまう。

すると、その子は真剣な眼差しで私の方を見て言った。

「来年かぁ…分かった、絶対来てよ?」


その日、その子は国・数のプリントを5枚づつ、1時間ほどで終わらしてしまった。

ずいぶん早いんだねって思わず呟いたら、「そうだよ、俺賢いから!」ってニコニコ笑ってくれる。

可愛すぎか。

これからこの子と仲良くなりたい、心の隅でそう思った。

成績表を見ると、名前は「友成」。

とも…な、り?

まぁ、いいや。

きっとこの先、わかる日が来るだろう。

今まで味気なかった教室。

そのモノクロが一気に色づいた1日だった。


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