動き出せ! 俺の脚!!
前回のあらすじ!!
超逃げた。
以上!!!!!
さて、現状どうなっているかを整理しておこうか。
①いきなり異世界に送り出され、持っているのはチートスキルのみ。
②しかもチートとはいえ生きるのには訳に立ちそうにない。不死は現状を打開する手段にはならん。
③金もないのでギルドに入って金策もできない。
④たまたまあったスキル自慢大会?で稼ごうとするも、【創造】によって追われる羽目に。
⑤結果、街の外の森の木の上に籠城。
こんなところか。
……悲惨すぎる。
理不尽!!! ……ではないのかな?
とりあえず街に戻れない以上この森かその先に抜けて生活する必要があるな。
幸い家とか道具は【創造】でどうとでもなるからいいんだが、問題は食糧だよなぁ。
狩か? 狩か? 狩かな!?
ちょっと燃えてきた。 異世界の生態系とか普通に気になるしな!
生態系とか抜かしたけど学がないので理解できないのはおいて置こう。
そうして俺は剣を握りしめて木の上から飛び降りた。
「ゴブリン、かぁ」
草木の陰に身を隠し、標的を見つめ分析する。
RPGとかじゃあ有名なモンスターだ。
そんで決まって雑魚だ。
決心を固め、剣を握り、ゴブリンの前に飛び出す。
………いや、飛び出そうとした。
結果を言ってしまうと、できなかった。
何で俺、足震えてるんだ……?
当たり前だ。 これは絵空事の世界ではなく、文字通り命を懸けることになる。
いくら【不死】といっても痛みを肩代わりしてくれるわけでもない。
勝手にケガが治っていくわけでもない
さらに言えば、
ぜったいに死なないという保証がない。
俺には、出来ない。
ラノベの主人公みたいに、命を懸けてかっこよく戦うことはできない。
仮にどんなスキルを持っていようと、この一歩は俺には踏み出せない。
そんな絶望を感じている俺は目にしてしまった。
目の前のゴブリンにつかまっている女性を。
あの女性はこれからどうなってしまうのか。
頭の中でいやな想像が無限にめぐり続ける。
そんな中、俺の想像は女性の声でかき消されることになった。
声? 女性の声?
目の前の女性が大声で助けを求めて叫んでる。
別に俺に助けを求めてるわけじゃない。
そんなことはわかってる。
俺じゃなくてもいい。
そう都合よく俺以外の人が通り過ぎて彼女を助けてくれるだろうか?
勝てるわけない。
俺が出て行ったところでなにも変わらない。
だったら出て行かなくてもいいじゃないか。
そう考える。
だれだってそうだろう?
そんな考えとは裏腹に、俺の足は勝手に動いていた。