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理不尽をぶっ壊せ!  作者: にっぽんたろう
1/10

海に落ちて童貞がばれる。


――真っ暗な世界。


まるで目を閉じているときのようだ。


いや、違う。


俺はただ目を閉じているだけなんだ。


この異常な出来事から、目を背けているだけなんだ……






「夜釣りしようぜ!!」


この一言から事件は始まっていた。


夏の暑いある日、友人からそう誘われた。


「お前、よっぽど暇なんだな」


「残り少ない青春、釣りをせずして何をする!!!」


いや、青春を楽しむなら釣り以外にもいろいろあるだろうが。


そういいながらも俺はホイホイと付いて行ってしまったんだ。




「見ろよ!あの魚でかくね!?」


22時。


夜も更けて俺たちは防波堤に来ていた。


「いや見えねーよ! ライト持ってねーの?」


「ない!!」


こいつ何しに来たんだ。


仕方ないから身を乗り出し、それを見ようとしたときに事件は起こった。




いい風が吹いた。



普段ならば何の問題もない。


だがしかし、その風は俺を海に落とすには十分だった。


「あっ、おい―――!」


薄れゆく意識の中で、あいつの叫び声と伸ばした手だけが見えていた。






というのが俺の目が覚めるまでの記憶。


あのまま行けば明らかに死んでいたであろう。


しかし何故か俺は黒い部屋に運ばれ、生きている。


あれ?もしかして俺死んでる?


「いえ、まだ死んでいませんよ」


そりゃそうだよな! 夏とはいえ夜の海に落ちて無事なわけがない。


心残りは彼女いない歴=年齢で童貞で別に好きな女子もできなくて……


「まだ死んでませんってば!!」


「それはおかしいと思います!!!」


思わず叫んじまった。


ていうかなんだこの女。


まだ死んでないってどういうことだよ。


ていうか俺の心読んだ?


「心、読んでます……」







悲報 俺氏、女性に童貞がばれる。

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