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イインチョ、シュロの弱点を付く その4

 「そうして夜は深まる頃、魔界独特の月は城壁を照らし、そこをよじ登っている二匹のモンスターの姿、ヴァンパイヤとオークがあった」


 そんなナレーションをブラドは自分で行い、登っているこの城は、


 「言うまでも無く、セリカの居城しろである」


 だから、どうやってこの声を聞いているんだ、止めろっての。


 ロクな目に合わないぞ?


 「あ…」


 実にタイミングよく、ダロタの握られたレンガが外れ、この両名ともあっけに取られた雰囲気でダロタは落下した。


 明らかに怪我ではすまない高さまでよじ登っていたため、『ぼぃん』と何度か弾んで、無事だったのに、ほっとしてブラドは言う。


 「仕方ないだろう、この数日、セリカ様に用があったんだが、取り合ってくれなかったからな。


 さらに飛んでセリカ様の部屋にお邪魔すれば、問答無用に魔法をぶっ放されて…。


 セリカ様に近付くには、こうして魔力の発生を抑えて壁をよじ登らんといかんのだ…」


 だが、何やらブラドはセリカに用があるのは本当らしく、地面にて『あんぐり』と口を開けて見守るダロタに手を振る頃には、セリカの窓枠に手を掛けていた。


 「よし…」


 「弓兵、打ち落としてしまいなさい」


 「あ~」


 セリカの号令で弓兵に背中を打たれ、ブラドは墜落した。


 「ブラド、貴方も不死身ね」


 クスクスとセリカは笑っていたが


 「さて、どうお仕置きされたいかしら?」


 「ちょっと、待ってください」


 「人様の寝室に忍び込んでおいて、何を待てと言うのよ?」


 「言ってるそばから、魔力を高めて…。


 あっ、重力が刺さった矢に、あたたたた…」


 セリカは笑顔で、ブラドを痛めつけ出したが…。


 くいくいとオークが、セリカの袖を引っ張った。


 「何?」


 そして、一枚の封筒らしきモノを差し出していたので、注意がそれたブラドはようやく返答した。


 「シュロの事に関して、少しお話があるのです」


 「シュロの事?」


 ようやくブラドの雰囲気を悟ったセリカは、自室に二人を招いた。


 豪華さは無いが、立派な彼女の肖像画をダロタはあんぐりと眺めているなか、ブラドは咳払いして言った。


 「セリカ様、単刀直入に言わせてもらいますが、シュロの文字を覚える事をやめさせてほしいのです」


 「どうして、コレはシュロのためでもあるでしょう。


 現に今までで何事もなかったのは、運が良かっただけと思うけど?」


 「そうですが、セリカ様がまた店を破壊して、他の国に引っ越して店舗を構えてしまうという事が起きてしまえば、言語も変わってしまいます。


 そうなればシュロの努力は、水の泡でございます」


 「だから、私が店を壊さなければ、何も問題が無いでしょう。


 …ブラド、何か、トゲのある言い方ね?」


 ブラドを睨み、再び魔力を高め出すので、ブラドは慌てて先ほどの封筒を指差して言う。


 「あ、あの時、言えなかったのですが、シュ、シュロの文字の読めないというのは、わ、私どもにとっては前に解決している話なのです」


 必死にそんな事を言うので、セリカはその封筒を開けると。


 「これは…」


 

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