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イインチョ、シュロの弱点を付く その3

 とりあえず跳ね返す様を見ようとして、イインチョの放つ光に阻まれた魔王カイリとシュロであった。


 視界が戻る頃、屋根にぽっかりと穴が開いていた。


 「セリカ様お店を破壊するためシュロ様は何回も引っ越しをしましたそのために…」


 「シュロが文字を覚えようとしても、引っ越す度に他国に移動すれば、文字も変わればな。


 覚えれないのも、解らんでもねえよな」


 さすがに回復が早いカイリは、そんな事を言ってきたが、シュロには少し気になる事があったので、


 「なんだ、その失礼な視線は?」


 とりあえずシュロは、絵本をカイリに見せていた。


 「おじいさんは、河から流れて来たという桃を見て、


 『ばあさんや、こんな何処から流れてきたかもわからない桃なんて、捨ててしまいなさい』


 と言って、流れてきた河に捨てました。


 こうして、おじいさんとおばあさんは平穏に過ごしましたとさ…。


 まあ、普通、そうですよね…」


 「あら、読めるのね?」


 セリカはクスクスと笑っていた。


 「お前な、こんなモンは魔力を通してりゃわかるだろ?」


 「へえ、魔力ってそういう事も出来るのですか?」


 「そうね、筆者の意識を感じ取れば、文字の意思も伝わって来るのよ」


 「なるほど、それは良い事を聞きました」


 シュロは、さっそく試してみようと、先ほどの絵本をまじまじと眺めた。


 ちなみにこれは彼なりの魔力の高めている様子だというのも、受け取ってもらいたいが。


 「努力は認めますがセリカ様と雲泥の差がありますね?」


 「そうね、シュロって、魔法初心者でもあるのよね」


 読めるわけがなかった。


 「でも、せめて私の国の文字くらい読めなさい」


 するとブラドは慌てて言った。


 「セ、セリカ様、それは…」


 「ブラドは黙ってなさい」


 「どうでしょうこの機会に字を勉強されて見ては?」


 「そうは言われましてましても。


 次の週には、また引越しという事もありますからね」


 「ご心配なくその点は私の方も協力しますよ」


 「そうは言いますけどね…」


 ついブラドを見てしまうが、


 「何も損になる話でもありませんでしょう」


 ダロタの顔も見てしまうが、


 「はあ、わかりました」 


 この日より、勉強する事になったのである。


 「ブラド、シュロは何やってるんだ?」


 その日、モンスターがシュロの様子を見て、ブラドに聞いていた。


 「文字を覚えようとしてるのさ」


 「えっ、何で今頃になって?


 ていうか、読めなかったのか?」


 「悪く言うなよ、シュロなりに考えがあるかも知れないがな…」


 「何だ、不機嫌に?」


 「ウチの店主だからな、心配もするさ」


 「まあ、俺らモンスターにすれば近場に、ワナ屋が出来たようなモンだ。


 長続きしてくれるのを祈ってるさ」


 そう言って、この名も無いモンスターは世間話もコレまでとさっさと帰って行った。


 「まったく『どっちの意味で』だ…」


 その意見は自分達の魔王に向けられたのか、それともこの単語を覚えようと文字を書き続けているシュロにだろうかとブラドは振り返っていた。


 「シュロよ、どうだ様子は?」


 「何とか…」


 笑顔でシュロは言うが、様子を見る限り。


 「…言えるほどのモノじゃないな」


 「単語は覚えるのは簡単ですが、文法の方が…」


 「シュロよ、あの事を話してみたらどうだ?」


 さすがに今回ばかりは、ブラドはシュロに呆れていた。

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