第二十話 紅のダロタ その3
騒ぎからしてカイリがなにやら催し物をしていたのだろうのはわかるが、会場は自分の店だったりするので、見に行こうとしたとき、上から声がした。
「これはシュロ様、本日はこのような催し物にご招待いただきありがとうございます」
「ええと、ウコンさんでしたっけ、一体何が?」
「いやはや、本日は『ダンスコンテスト』でございましょう。
このような、催し物と聞きましては我ら3兄弟が黙ってはおりませんぞ?」
すると、土で作られたゴーレムのウコンは、石で作られたゴーレムと、金で作られたゴーレムを呼び出した。
これほど、一発でわかる兄弟も珍しいだろう。
礼儀正しく頭を下げるのをみて、未だに状況を理解できないのでカイリに聞いた。
「何をしたのですか?」
するとやはり会場になっているのか、自分の店の方から歓声があがるので、とりあえず近寄ると…。
魔法を扱う、まるでおじいちゃんのようなモンスター達が…。
「はああああ、やっ!!」
集団でブレイクダンスを踊っていた。
そんな状況、困惑しない方がおかしい、セリカにしても自分を見つけて一瞥するも腕組みをしたまま、何もしないままでいるほどなのだから。
だが、何とかしないといけないとカイリはさすがに思ったのだろう。
今度は大猿達がラインダンスを踊りだす中、答えた。
「昔から、モンスターの隠れた趣味として、踊りを踊る組織というのがあったらしくてさ。どうやら、噂は本当だったらしくてな」
「噂…ですか…」
さらに先ほどのゴーレム3兄弟が舞台に上がるが、先ほどの魔法使いが舞台に何やら魔法を掛けていた。
「ええ、ただいま舞台を強化しておりますので、しばらくお待ちください」
ブラドが説明に入る。どうやら、彼はMCを勤めていたようだ。
すると、しばらくして軽快なリズムがなり響き、先ほどのゴーレム3兄弟が踊りだす。
「ほっといたのですか?」
「あくまで噂だったからな。魔王がいちいち噂に振り回されてたら、身体がもたねえよ。
俺はただ、これが気になったから、やってみたかっただけなんだよ」
そういってカイリは何も無い空間から見ただけでも、百科事典と解るような重みのある本を開いて見せた。
「収穫祭ですか?」
「まあ、俺が興味を引いたのは『祭り』ってところなんだけどさ。
あのズンドコ踊りがあっただろう。
いい機会だと思ってさ、やってみようと思っただけなんだけど…」
「どうしてこんなダンス大会になったのですか?
お祭りって言うのは、今後の健康や安全、収穫に豊漁を祈るためにとかいろいろ意味があるのですが?」
「そうだったのか、俺はてっきり、踊りを踊って競い合うってモンだと勘違いしてた」
ケラケラと笑うなか、あのゴーレム3兄弟は歓声を浴びていた。
そのゴーレムはゼログラビティをしていたのだから。その大きな身体を傾ける3兄弟を見て、圧巻だったのはいうまでもない。
「どうするのですか、カイリさん。
このままでは、収集つかなくなりますよ?」