表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/155

第二十話 紅のダロタ その1

 「なんだ、あのズンドコダンス?」


 最初に気付いたブラドの言うようにそれはズンドコだった。


 ズンズンドコドコ、ズンドコド…♪


 そんなリズムが聞こえてきそうな奇妙な踊りを鏡の前で踊るオークに、ブラドは聞いてみた。


 「ダロタよ。お前は何をやっているのだ?」


 『ブヒッ』と鼻息一つしてブラドに本を見せた。


「ブタでも踊れる不思議な踊り…かっこ入門編。


 何だ、ダロタ、こんなのを覚えたいのか?」


『んだ』と頷きながら、ダロタは練習を再開するのだが…。


 「ダ、ダロタ、しかしな、それは不思議な踊りじゃないぞ?」


 慌てるように静止に入るが、人間の自分から見てもそうだと思えた。


 それは魔界で店を開いているからであるが、人形のようなモンスターが時折見せてくれたからだ。


 そこでダロタも考えたのだろう。


 冒険者の前に立ちはだかった時、この踊りを踊る事で魔力を奪う事で攻撃の幅を広げる事を。


 このダロタ、意外に勤勉なので、これまた人間ながらに一時的に関心はしたのだが…。


 やっぱりブラドの言うように、ズンドコダンスであった。


 「じゃあ、ブラドがやってみてほしいべ」


 怪訝そうにダロタは意外と難しいからやってみろ、という意味だろう。


 ダロタは本を見せながら、ぶにぶにと指を指していたトコロをやれと言っていた。


 「参ったな、踊りなんかやった事ないからな…」


 さすがにブラドは困った表情を見せたが、その本を見ながら腕をくねらせ、しばらくしたのち。


 「じゃあ、行くぞ?」


 そんな感じで、全身をクネクネと動かし始めた。


 さすがに従来通り、不思議の踊りのように何かが奪われる感覚はなかった。


 しかし『何の踊りの真似をしているのか?』と聞かれると『この人は不思議な踊りの真似をやってます』と答えられるほどの出来だった。


 「こうだべか?」


 そう言って『クネクネ』と踊りだそうとしているのだろう…。


 「見事なズンドコですね」


 「酷いべよ、じゃあ、今度はシュロがやってみるがいいべ?」


 さすがに嫌な顔をしたダロタは今度は自分を指名した。


 当然、先ほどのブラドのような踊りを見せると、今度はブラドも頷いた。


 「それで正解だよな?」


 頷きあう、人間とヴァンパイア、そして、ブヒッと鼻息を吹いて負けずにダロタも踊りだすのだが…。


 「やべえ、シュロ、だんだんクセになってきた」


 真面目に踊っているダロタに悪いが、それはもう面白い踊りになっていた。


 それはもう、後からやってきた魔王二人も笑うほどに…。


 「シュロ、ダロタに何を覚えさせているのよ?」


 「豚が、豚が舞っている!!」


 カイリはまだ収まらないのか、笑い転げていた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ