第十八話 意外な事を忘れていた魔王とシュロ
ここは薄暗い部屋だった。
何もない部屋…というのは、『人がいた部屋』という性質上、好ましくないかもしれない。
だが、この部屋には、大きな机に4つの椅子という何の変哲もない家具と、その上にある手を大きく広げて掴めば、何とか抱えられそうな機材。
前に来たときはこんな物はなかったので、どこから持ち込んで来たのだろうかと疑問に思い、突つきもしたが何も起こらない。
結果としてはシュロにとって、わかってる事は、ブラドに今日は何をするのかだけとなってしまったので、大人しく席に座り正面を向くとブラドがおり、右側の席に座っていたダロタが頃合いを見計らってスイッチを押して、ブラドは言った。
「ブラドとダロタのオールナイトNANIGASHI!!」
手渡されたヘッドホンから軽快な音楽と、それに乗りながらブラドは。
「はい、みなさま、いかがお過ごしだったでしょうか、まさか、二回目があるとは誰も思わないでしょう。
ですが、私達、基本しぶといですから、まさかの二回目です。
それで今回、ゲストを呼ぼうと思いまして来てます。
ええと、私の働かせてもらっているワナ屋の店長、シュロです」
「どうも、始めまして…て、3人しかいない室内ですから、拍手が薄いですね?」
「まあ、そこは気にしないでやった方がいいのだろう。
これで爆発オチも夢オチもなくなったわけだからな…」
「何か言いましたか?」
「これで進行が、楽になったという事だ。ダロタは、音響とかやらないと駄目らしいからな。
というワケでよろしくお願いします。
では、早速、お便りの方からいってみましょう。
ペンネーム、地上のモンスター、ボブさんからいただきました。
こんばんわ、私は地上のデパートの地下で出稼ぎに出ているモンスターですが、ただいま、その私の働いているデパートが売店が大変な事になっております。
支配人曰く、今、流行の『フケーキ』らしく、このまま行くと閉店の危機だそうです。
打開策としては、アニメを題材にした商品を今後の戦略するという方針らしいのですが、その支配人が普段からアニメを見る機会がないため、自分から見てもあまり利益効果がないように感じられます。
そこでいつもアニメを見ているブラドさんに、何かいい提案はないでしょうか?
…という事で、珍しく、まともなお便りだな」
「あ、これが、今後使われる、デザインですかね?」
「なるほど、包装紙にもアニメのキャラクターをね…。
というより、サンプルでも持ってきていいのか?」
「そんな事より、何か意見あればという話ですよ?」
「う~ん、悪いが、まあ無理だろうな。思うほど利益を上げられんだろう」
「はっきり、言いましたね?」
「いや、実際、ここにアニメのキャラを書くことでお金儲けが出来たって話など聞いた事がないからな…」
「じゃあ、どうすれば?」
「そもそも商品などに頼ろうとするのが駄目だと思うな」
「でも、商品を売らないと店は利益が得られないワケでしょう?」
「だからだ、だから、いっその事、そのデパートというのか?
その建物、そのモノを利用してしまえばいい」
「どういう事でしょうか?」
「いや、昔、見た映画でな。怪獣が建物を破壊して、その建物が有名になった点に着目したのだが。
『聖地巡礼』という言葉があるのだから、それを利用してだ、アニメの中で主人公がよく買い物に行く場所、そこの風景を、デパートとやらがモデルになればいいという事だ」
「そんなにうまくいきますかね?」
「ふっ、シュロよ。アニメを馬鹿にしてはならんよ。
もし、人気の高いアニメでしかも恋愛モノだとしよう。
公園のベンチでキスシーンなんかした場所が実際にあってみろ、『聖地』になる時代だ。
他の国の人間が真似をする事、間違いなしだぞ?」
「海外の人ですか!?」
「OTAKUが辞書にも載っているご時世だからな、何もそこに住んでいる人間をターゲットにする理由など、どこにもないだろう?
それに地下デパなどの光景を、地下鉄に変えたりすれば、いろいろとバリエーションがあって面白いだろう?
意外ともうすでにやってる企業とかあったりしたりしてな。
まあいい…。
次のお便りに言ってみますか…」