第十七話 営業時間終わりの三人 完結編
ホウキを両手に振り下ろさんと身構え、蛇と対峙するダロタ…。
…を尻目に、屋根を補修を手伝っているファウルは顔をしかめていた。
「しかし、せっかく魔界に来ているのだから、技くらい覚えてみたらどうだ?
『千手観音』『阿修羅』『黄龍』、といった神の名を冠する技くらい出来れば人、いや、国に自慢できるぞ?」
「ファウルさん、一介の村人がそんな事が出来ると思いますか?」
「ふむ、なら、レベルを下げて『アレクサンダー』『カメハメハ』『霊銃』と言った、王の名を冠する技を覚えるトコロから始めてみるか?」
「ブラドさん、最後のヤツは、何かが間違っているような気がしますが気のせいですかね?」
「気のせいだ」
そして、ブラドは切り崩された屋根の一角をロープで引っ張りあげるといったモンスターらしい一面を見せながら、何かに気づいたように言う。
「おお、そういえば、ファウルよ。
お前の持ってきた、置かせてほしい商品とはなんなのだ?」
釘を打ちつけながら柱をくっつけようとはするのは、モンスターらしさのかけらもないのだが、その内の一人、ファウルは答えた。
「ああ、ワナだから、置かせてもらおうと思ったまま、机の上においたままだった」
「危ないな」
「心配するな、爆発するようなワナではない…どうした、二人とも?」
するとそこには確かに何かしらのワナがあったのだが、ファウルが気になったのは、二人がニヤニヤとしていた事だった。
「…爆発しない罠がここにある」
「じゃあ、ブラドさん、行ってまいります」
「一体、何をするつもりだ?」
今から何をするのかがわからないファウルを尻目に、ブラドはストップウォッチを片手に握ってシュロと目配せしたまま…。
「ただいまのダロタ君の記録、3分12秒」
戦いを終えたダロタは『押したら駄目』と書かれた紙に『ぶひっ』と息を吹きかけて、ファウルの罠に見事に引っかかっていた。
「同じ文面での戦いでしたが、残念ながら、ブラドさんの2分の壁は破れませんでしたね」
「くそ、こっちとしては早く王座を譲りたいのだがな…どうした、ダロタ?」
「この罠は故障してるべ?」
『ぶにゃ』ともう一度、スイッチを押して見せたのでホントに動かないのか。
「なんだ、つまらん、ファウルよ。壊れた商品を持ってくるな」
しかし、ファウルは顔をしかめはするものの、周囲を見回したまま普通に答えた。
「いや、作動していると思うのだがな…。
ブラド、空間が固定されだしたのを感じないか?」
「そういわれて見れば、そうだな…」
「な、なんだか身体が動かなくなりましたが…、ファウルさん、だ、大丈夫なんですか…?」
「心配するな、怪我をするようなワナではない」
「じゃあ、ファウルよ、一体なんのワナなのだ?」
「ああ…」
不思議のダンジョンというお仕事
第十七話 営業時間終わりの三人
監督・編集
高速左フック
出演
シュロ
ブラド
ダロタ
ファウル
音楽・協力
特になし
完
……。
「うわああああ!!
ファウル、貴様、なんつーモンを!!」
「珍しいだろう、『スタッフロールの罠』だそうだ」
「ファウルさん、それは先ほどの会議でもう出た…というより、いない時でしたね」
「まったく、気をつけてほしいモノだ、スタッフロールなんか流すと最終回だと誤解する読者もいるのだぞ?」
「ブラドさん、何を…!?」
『言っているですか?』と言う途中で、また身体が動かなくなっていたので、ファウルは気づいたように言った。
「そういえば、ダロタが『もう一度』押していたからな…」
「ダロター!!」
不思議のダンジョンというお仕事
第十七話 営業時間終わりの三人
監督・編集
高速左フック
出演
シュロ
ブラド
ダロタ
ファウル
音楽・協力
特になし
Special Thanks
コピー機能
完
……。
「何か増えてるっ!?」
「みんな、すまねえだ」
「いや、知らなかったのなら、ダロタの性じゃないですよ」
「私からも謝ろう、まさか、うっとおしい罠だとは思いもよらなかったのでな」
そう言って…。
ぽちぽち…
「おい、ファウル何をやっている?」
「大丈夫だ、いくら何でも三回目はないだろ…」
「ファウルよ、お前は、とても大事な事を忘れている…
作者は…
病み上がりだ」
不思議のダンジョンというお仕事
第十七話 営業時間終わりの三人
監督・編集
高速左フック
出演
シュロ
ブラド
ダロタ
ファウル
音楽・協力
特になし
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for you…
完