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第十六話 ぐーたら義兄と暗黒義妹 その1

 「ブラド、覚悟はいい?」


 反論も許さず、空を飛んで行きなさる、ブラド…。


 そんな見慣れた光景を見ながら、セリカは『ふん』とブラド状に空いた天井を一瞥して、不機嫌なまま、一旦帰るといって、空へと翔けて上がっていくと、忘れ物でもしたのだろうか?


 「シュロ、遊ぼうぜ!!」


 いや、カイリが窓から入ってきた。


 「カイリさん、玄関から入ってきてくださいよ」


 「細かい事はいいじゃねえか、それより、さっき偉い勢いで何か飛んで来たけど、またアイツ、セリカに怒られたのかよ?」


 原因は、ただ自分が持ってきたお菓子を先に食べたからという、何とも単純な理由でセリカ様がお怒りになったからだと言いにくい。


 「何だよ、そんな顔して?」


 しかし、カイリは構う事無くさっきセリカが座っていトコロに座り、そのお菓子をぽりぽりと頬張り何かを思い出すように答えた。


 「ああ、そういえばブラドと、セリカってさ…」


 それはダロタがお茶を差し出して来たので、一旦会話を止める事になったのが、この『静寂』を生んだのだろうか?


 それとも…。


 「従兄妹同士なんだよな?」


 この問いが、周囲を静かにさせたのだろうか?


 カイリも少し考え込みながら言った。


 「嫌な、人の系図なんて知らないけどよ…。


 この前、こんなの手に入れてさ」


 そう言って、カイリはどこからか、自分の背丈ほどある巻物を『よいしょ』と取り出して、机をどけるように指示したので、どけているとカイリはそれを丁寧に広げていた。


 「これは家系図?」


 「まあ、そんなモンだ。


 ほら…」


 そう言って、指を差すので魔界の文字で『セリカ』と書かれているのを何とか確認出来ると、その隣の少し下だろうか、母方のヴァンパイアの種族の辺りに確かに『ブラド』と書かれていた。


 「けけ、アイツ、家計図でも下なんだな?」


 「そんなの選べないでしょ、でも、こんなのどこで手に入れたのですか?」


 「ああ、セリカん家の宝物庫」


 「犯罪じゃないですか、ケロッと答えないでください」


 『はいはい』と反省する気など無いのだろう。


 「それにしても、あいつ等が従兄妹らしいところ何て見たことがねえよな」


 「そんな事は無いのでは?」


 「へえ、何かあんのか?」


 しかし、これには意外と反論が出来た。


 「この前なんか…」


 それはブラドが苦しんでいる事に遡る。


 自分はそのブラドが苦しんでいるところを知ったのは、セリカがある事をやっていたからである。

 自分に気付いたセリカは『しっ』と口元に指を当て、静かにやって来いというのか手招きをしていたので、招かれるままにセリカと同じように『すたっふ おんりー』とぶら下がった看板の付いたドアに耳を澄ませていた。


 「お、おのれ…」


 そこには苦しみを隠そうともせず、ブラドの声がしていた。


 少し心配になったが、セリカは手を自分の肩において、言葉が頭に響いた。


 『動かないで…』


 『で、ですけど、ブラドさんが心配ですよ…』


 『そうなんだけどね…』


 そのままドアをじっと見つめ、眼に魔力でも込めているのだろうか、眼の黒点が赤くなり焦点を絞るが、何回か確認しているのだろう。


 『この部屋に居るのが、ブラド一人だけなのよ』



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