第十五話 学校行事のセリカ その1
今回は少しばかり、投稿ペースを前に戻します
営業を終え、シュロ、ダロタ、ブラドの三人は一旦、いつもの休憩に入る頃、二人を見つめるシュロがいた。
「ダロタ、古来より、人間が『団子』という食べ物を違う種族に差し出す時、それには決まって劇物…、いや、毒が入っていることが多い」
そこで『んだっ』と正座した頷くダロタを見ていると、そこには自分が本日のお菓子と持って来た団子を挟んで、ブラドがそんな事を言っていた、実際、毒など入ってない。
「だからこそ、ここは私が毒見を…」
つまり、ブラドの出任せである。
だが、ダロタもそんな事で騙されるほど愚かでもなく。
すかさず自分の団子を取られまいと、黙って近付いてきたブラドの顔を『ぷにっ』と抑えているのを見ていると、ブラドはじっとこちらを見た。
「どうした、シュロ…?」
ブラドが少し心配して聞くにはそんな自分が、どんな顔をしていたのかわかったのだろう。
「何だか、とても不機嫌そうだな。さっきの開店中だった時も、そんな感じだったが何かあったのか?」
シュロがこのまま黙るのにはワケがある。
だが、コレはさすがに話すのは、戸惑っていた。
事は数時間前の事…。
-いや、数週間前くらいから、事件は始まっていたのだろう。
それは週末、いつものようにシュロが仕事の為に不思議のダンジョンへと向かっていた時である。
「よう、シュロ、今日も元気かい?」
そういって、ダンジョン探索を生業としている冒険者がシュロを呼び止めたので、振り向いて挨拶をすると、やはり、その冒険者も同じ様にダンジョンへと足を運ぶと世間話も少々あるもので…。
「お前、そんな軽装で大丈夫なのか、長老に棍棒くらい頼んだ方がいいぞ?」
「そうは言いたいのですが、長老が言うには武器を持たせたら深く潜ってしまいそうだから、持って行って良い物は、帰還の石に薬草一つって決められてまして…」
「まったく、ドジ踏んで儲けがパーになっても知らねえぞ?」
「一回ありましたよ。だから、薬草を一つだけ持って行って良い事になってるんですよ?」
笑いあいながら、一緒にダンジョンに入り、さっそく別々に別れ探索を開始するのは、シュロの儲けをある程度、残しておく心使いらしい。
自分はその際、拾いながら、魔界へと行く手段を明らかにするわけにはいかないので、どうしているかというと。
どうすることは無く、ただ、アイテムを拾って、先に階層へ行かせて、ブラドなりセリカと合流するワケだが…。
「おい、シュロ、お前に珍しいものを見せてやるからちょっと来てみろよ」
その冒険者は1階では、さすがに大したキズを負う事もないのか、余裕を持った表情で自分を手招きしてきたので、なんだろうと言って見るとそこには、お店が開かれていた。
「凄いだろ、ガーゴイルっていうモンスターが経営している店だ」
話には聞いた事があるが、自分が今までダンジョン探索をしていた階層では、まず目にする事が無かったので、中に入ると入ってすぐ傍にそのモンスターがいたので少し驚いていると、
「いらっしゃいませ…」
そのモンスターは驚かれるのは慣れていたのか、構うことなく礼儀正しく、紳士を思わせるような態度で顔を上げて…。
事件はそこで起こった。
「おや、シュロさん、いつもお世話になっております…」
そう言って、再度、うやうやしく頭を下げたので、
「はい?」
そのガーゴイルは、店にやってくる常連であった。
そして、そんな事があったブラドとダロタに話したのだが、
「なんだ、別に良いじゃないか、一応、そのガーゴイルには事情なり話して、その場を凌いだのだろう?」
「ええ、まあ、そうなんですけど、前なんか数人のホビットに『シュロだ、シュロだ』と絡まれた事があるんですよ?」
「それこそ微笑ましい事じゃないか、私からしてみれば、お前が何に迷惑しているのか理解が出来んぞ?」
『なあ、ダロタ』と相づちを求めたので、ダロタも『んだ』と頷いたので、2匹には理解できないのだろう。
だが、今回ばかり、それが起こると困るので、プリントを差し出しながら相談に乗ってもらうことにした。
「ええと、社会体験学習のお知らせ…」
ダロタ、ブラド、そして、セリカを加えて…。