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第五話

「その点なら、大丈夫よ。」

 『ブラド』と呼びかけ、セリカが目配せをすると、ブラドが被せてあった布を取り払うと、大きなツボが出てきた。


「これは魔道のツボと言ってな、よく魔道士が出てくる逸話で聞くだろう?

 まあ、一般的なサイズなのだが、これに…」

 『確か…木の矢を10本』と、ブラドが本を読んで確かめながら、ツボに放り込み、それを混ぜ込みながらシュロを手招きする。

「これでこの前の様に、ワナを作ってみてくれ。」

 ツボに近づき指輪を近づけると指輪が光るので、前の要領で『スイッチ』を思い浮かべると、『ポンッ』と軽い音と共にスイッチが落ちてきた。


「どうだ、これなら身体に負担を掛けずにワナ作りが出来るだろう?」

 どうもこれは中に元々入っている魔力と、必要となる部品を放り込む事によって消費者の魔力消費を抑えて、自分の魔力消費によって掛かる負担を軽減させてくれるツボらしい。


「ですけど、何ていうか。

 前に自分で作った方が丈夫そうでしたけど、これ何回か踏んだら壊れそうですよ?」

「まあ仕方ない事だろう、大体ワナを作るという行為で大事な要素は、『自分で魔力を消費する』というのが必要不可欠らしいからな。」

「じゃあ、自分の魔力が大きくなるまで、この壷を通してワナ作りをする事になるんですね。」

「そういう事だな。」


「二人とも、私を無視するくらい楽しいのかしら?」

「はっ、すいません。」

 振り向くとセリカが少しイラ付いた感じで立っていた。どうも無視されるのは、嫌いらしい。

 おかげでブラドは急にかしこまり頭を下げたりしている。


「まあいいわ、じゃあ、開店記念の景気付けにシュロ、貴方何か作ってみて。」

 ブラドの持っていた本をシュロに手渡そうとするが、何かに気付いて寄り添ってきた。


「えっ、どうしたんですか?」

「貴方が魔界の文字が読めなかったのを思い出したの。

 だから読んで上げようと思ったのよ。」

 近付く事によって、自分の顔が真っ赤になるのが自覚できた。


「そっ、そんな事しなくていいですよ!?」

「あら、照れる事ないじゃない。」

 明らかに状況を楽しんでいるセリカ、だがこっちはそうじゃなかった。


 さすがにそんな事されたら恥ずかしさで、『また』気絶すると思ったので、早めに決める為、適当にパラパラと本を開き、自分の作る罠の書いてあるページを決めた。


「これはテレポーターね。」

「確か踏んだら、瞬間移動するというヤツでしたね。」

「そうよ。

 …材料は、銀の矢6本と、鉄の盾3個、あら、意外と簡単に作れるモノね。

 ブラドあるかしら?」

 『はい』と、うやうやしく頭を下げながらブラドは用意に取り掛かる為に棚をあさり出したのを見て、手伝おうとするとセリカに腕を引っ張られ自分の腕に組み付いてきた。


「いいじゃない、作業はブラドに任せる事にして、貴方はここに座ってなさい。」

「でっ、ですけど、こういう作業は何かしら手違いがあると、大変な事になりますから手伝った方がいいですよ。」

 逃れようとするがセリカの腕はピクリともしなかった。


「ぜんぜん動きませんけど、魔力とか使ってます?」

「魔力を使うほど力を込めてないけど?」

「自力ですか、自力でこれですか」

「…ねえ、そんなに嫌なの?」

 一生懸命あがいているとセリカは唐突にそんな事を言って来た。


「別にそういうワケじゃないですよ。」

「じゃあ、どういうワケで貴方はそんなに足掻いているの?」

「それは、その…」

「ほらごらんなさい、私の事が嫌だから足掻いて離れようとしているのでしょう?」

「いえ、なんていうか、その、匂いが…」

「失礼ね、私は毎日フロは欠かせてないのよ。」

 セリカはだいぶイラ付いて来たのか、組み付かれている腕が折れそうなくらい痛い。


「そうじゃなくて、とても良い匂いがするから、組み付かれると恥ずかしくて仕方がないんですよ。」

「あら、そうなの、だったら良いじゃない。」


 急に力が緩んで、セリカは『フフッ』と笑みを浮かべて、『ぎゅ』と更に寄り添ってきた。


 …って、現状の打破になってないじゃないか。


「離してくださいよ。」

「駄目よ、ここにいなさい。」


「二人とも何をやってるんですか、用意出来ましたよ?」


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