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第十四話 カッパにご用心 その4

 「というワケでだ、シュロ、あのセリカ様に城へ帰るように説得しておいてくれ」


 「えっ、どういう事ですか?」


 「別に逃げるというわけではないぞ、私はこれから城に事情を話しに行って、元に戻す方法をだな…」


 明らかに『逃げる気マンマン』だったので、ブラドの服の裾を掴みながら答えた。


 「逃げないでくださいよ…」


 「ふっ、ショロ、私は女にそうやって止められるのは私の夢だったが、お前は男だ、残念だったな」


 離されまいと踏ん張るがこれでも上級モンスターである、そんなブラドにとっては無意味なのだろう。


 軽々とシュロの顔を突っ張って、引き離しに掛かるが、二人はモノの見事に吹っ飛んでいた。


 「オラが、その役を引き受けたからブラドは元に戻す方法を考えとくだ〜」


 そう言ながら、返答を待たず二人を跳ね飛ばしたダロタは、キックボードを懸命に扱いで出て行った。


 「なあ、シュロ。オークってあんなに素早かったか?」


 「ブラドさんは知らないのですか、ダロタは力持ちですけど、小脇に抱きかかえる事の出来るくらい軽量なんですよ…」


 「ふん、軽くて力強い…か、まるでどこかの宣伝文句だな…」


 そうして、二人は魔王のいるテーブルへと戻って、城へ戻ってもらうように説得を開始しようとしたのだが、シュロは日に日に思う事があった。


 「なあに、お兄ちゃん?」


 どうして魔王という人種は、見つめられるだけでもこんなに威圧感があるのだろう?


 おかげで少し恐縮してしまうが事情を話す。


 「つまり、ホントの私は貴方の1つ上で、今は8歳の子供に戻っている…って事?」


 「はい、ですから、身の安全の為に城に戻っていただけないかと…」


 「いやよ、お兄ちゃんを疑っているわけではないけど、『戻っている』というのなら、どうして私には今までの記憶がないの?」


 「セ、セリカ様、おそらく文字通り『戻った』という事なのだと私は思いますよ」


 「ブラドさん、何かわかったのですか?」


 本を読みながらブラド聞くが、だが、ブラドは首を振って答えた。


 「駄目だ、この壷に入っていた、薬草の効果、調合での起こりうる作用。それを全部調べたが、子供になるなんて効果を記している記述なんて乗ってないな」


 「ふーん、だったら、どうして私にその中味が掛かったのか教えてよ。もしかしたら、それが原因かもしれないでしょう?」


 「カッパが壷を蹴りつけたから?」


 「…カッパの蹴りにそんな効果があったら、間違いなく上級モンスターの仲間入りだぞ?」


 「だったら、原因なんてわからずじまいって事じゃない?」


 『ブラド、覚悟はいい?』と、幼いセリカはいつものように周囲の空気を歪ませたがブラドは慌てて答えた。


 「セ、セリカ様、私が何とかしてみせます。ご心配しないでください」


 そう言って、早々と別室に飛び込んでいった。


 「逃げたわね…」


 しかし、そのおかげで二人きりになってしまい、自然と気まずくなっているのは流石に不味いと考えたのでセリカに聞いて見た。


 「そういえば、魔力は『そのまま』なのでしたら、意外と自分で何とか出来るのでは?」


 「うん、ちょっと待って…」


 そう言って椅子から降りると自分の魔力を高めているのか、周囲の空気がセリカに集まっていった、家をガタガタと揺らし始めたが、セリカはしばらくするとそれをやめて黙っていた。


 「大丈夫ですか…?」


 「大丈夫…だけど…駄目だったみたい…」


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