第十二話 三人集まれば、巨人合体 完結編
そう言われたので『失礼します』と言って、レクターの尻尾に深々と刺さった剣を抜こうとした。
「…あれ?」
「どうしたのかね?」
「それが思ったより、深く刺さってるみたいで中々…」
『よいしょ』と腕だけでは無理だと思ったので足を使って踏ん張っていると、流石にドラゴンキラーは『ずぶずぶ』と鈍い音を立てて抜け出した。
「も、もう少しで…」
それを言った頃には、手で抜けそうだったので慎重に慎重を重ねて抜く事が出来たのだった。
ボトリッ…
そう…尻尾を見事に切り落として…。
「うわぁぁぁ!!」
とりあえず年長者を見るのは条件反射だろうか、ブラドも顔が真っ青になっていた。
「お、落ち着け、シュロ!!
とり合えず、謝れっ!?」
言われたとおりに『すんません、すんません』と連呼して謝る。
「おい、シュロくん、少し落ち着きたまえ…」
言われた通りに『すいません、すいません』と連呼して謝る、このお話の主人公をレクターは淡々としてなだめていたが、それがとても怖かった。
「でも、尻尾がもげてるじゃないですかっ!?」
指差した先には『ビチン、ビチンッ』と活きが良く跳ねている尻尾が一本…ドラゴンの証が一本、どう考えても許してもらえるものではなかったが、また『すいません』と、とり合えず謝るのを見て、レクターは呆れたように答えた。
「どうも、キミはドラゴンの生態というのを知らないようだな。
心配するな、尻尾というのは、また生えてくるのだよ」
「そういえば、ドラゴンの尻尾は切れても生えてくるって聞いた事があっただ…」
意外と博学なオーク、それに感心したのかレクターは『ふむ』と言って。
「今日は楽しませてもらったよ。さてこれで私は帰る事にしよう」
と、翼を広げながら、そう言ったので、また尻尾の事を謝るとレクターは答えた。
「気にするなと、言っている。
私の尻尾は200年以上、斬り取られる事はなかったのだ、きっと取れ易くなっていたと思う…あっ!?」
まるで何かを思い出したように途中で言い留まったが…。
「まあいい、これも一興という事にしておこう」
だがそれは勝手に完結させて、『それでは』と勢いよく、羽ばたいたので聞く事は出来なかった。
残された三人の前には、まだ『ビチ、ビチ』と痙攣をしている尻尾が残されていたのが問題だったからだ。
「どうするべ、これ?」
「ウロコは剥いで売りますか?」
「おいおい、シュロよ。問題はそれだけじゃないと思うぞ?
肉はどうするんだ?」
「そんなの…」
普段なら『知りませんよ』と言ってしまうトコロだが、ある一つの考えが浮かんだ。
「食べましょう…」
「…シュロ、本気か?」
「…マジです」
…そうして、シュロは『レッドドラゴンを食した男』として名を残すのは、また別の話である。
だが、問題は別のところにあった。
それはシュロが村での出来事であった。
「よう、シュロ!!」
いつものように雑貨屋のゴドーと挨拶を交わしていると、ゴドーは何やらニヤニヤと笑っていた。
「いや、仕入れに町へと行ったんだがな。そこで面白い話を聞いたんだよ」
「へえ、何ですか?」
「いや、最近、ドラゴンを傷つけた者として名高い『ドラゴンスレイヤー』が出たそうなんだよ」
尚も自分を見て、ニヤニヤと笑っていたので何がおかしいのだろうかと思っていたが…。
「その名前がおかしいんだよ。
何たってお前と一緒の名前なんだから」
『んなワケねえよな』と明るく笑うゴドー、そんな自分は冷や汗をダラダラ流していた。
当の本人はここにいるのだから…。
とりあえず、こう言っておこう…。
おめでとう…