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第十二話 三人集まれば、巨人合体

お待たせいたしました

 真っ暗な小部屋にて、オークとヴァンパイアがいた。


 彼等…というより種族の間で、この組み合わせは『最悪』といえるだろう。


 そんなその二人が、机を囲み、そして、座っている。


 何が起こるかわからない異様な雰囲気の中、ヴァンパイアは静かに言った。


 「今日、シュロは休みらしいぞ?」


 それだけ言って、ふと掛けてある時計に目をやると深夜の12時45分だったのを見ているとオークは聞いてきた。


 「風邪だべか?」


 「セリカ様、直々の伝言だから、多分そうだろうな」


 『ふーん』とオークは少しあくびをすると、ヴァンパイアはまた時計を見る。


 12時57分だろうか、このやりとりだけで消費した時間ではなく『沈黙』という独特の消化時間が効いた、この部屋でヴァンパイアが軽い柔軟体操をしながらオークに話しかける。


 「そろそろ時間だな。ダロタ?」


 『んだ』と返事を軽くして、身の丈ほどある椅子から『ぽよんっ!!』と飛び降りて、何やら持ってきたダロタ。


 それを見送りながら『んんっ』と咳き込んだヴァンパイアのブラドは、喉が渇いたのだろうかコップ一杯の水を飲んだ。


 喉を潤して、また席に戻ったダロタに何も言わずに手を上げて答える。


 頷いたダロタは、自分の持ってきた機材のスイッチを『ガチャリ』と押すと辺りに軽快な音楽が流れ出したのを見て、ブラドはマイクに向かって言った。


 「ブラドとダロタのオールナイトNANIGASHI!!」


 そこでは『ブラドとダロタ』と言っても、機材調整にダロタがいるので、実質ブラド一人での単独ラジオ放送が行なわれていた。


 「いや〜、この一週間、皆様いかがお過ごしでしたでしょうか、そして初めて聞いた方々にはですね。


 『なんだこれ?』と思われる方もいらっしゃると思われるでしょうから、いつもの如く説明していただきます。


 この放送は、いままでのお話で起きた疑問点をですね。


 ダロタと私、二人でとことん、出来る限り解明する放送でございます。


 『魔王、魔族が群雄割拠している魔界でなにやってんだ?』という声がところどころ聞こえて来そうですけども、まあ、もう何回か、ウチの上司やウチの店長に内緒でやっているのでね。


 『バレたら、爆発オチだ』ってね…。


 一回こう言っておけば、まず、この放送局では『爆発オチ』はありませんからね。


 それではお時間まで行ってみましょう。


 それではお時間まで行ってみましょう。


 さっそく『おたより』の方を行ってみたいと思います。


 ペンネーム『打ち切り魔王 ベルゼハブ』さんからですね。


 ―今晩は、ブラドさん、いつも聞いてます。


 ありがとうございます。


 ―私の登場はいつになるのか、不安で一杯なところもありますが、さっそく質問に移らせてもらいます。


 Q.セリカさんは魔王ですが、ブラドさんの従兄という事もあって、種族はヴァンパイアでよろしいのでしょうか?


 カイリさんの方も知っていればお願いします。


 という事でですが、セリカ様はですね。


 ヴァンパイアではありません…。


 『じゃあ、何なんだ?』という声が聞こえてきましたね。


 う〜ん…どういえば良いでしょうかね。


 聞こえが悪いのですが、突然変異…といえばよろしいでしょうか…。


 魔界ではある一定の確率で『高い魔力をもってして生まれる』という事がそんな事が起きるそうです。


 そういう人が大人になるとやっぱり『ヴァンパイア』と呼ばれるには掛け離れていくトコロもあるワケですよ。


 そして、自分のいるの国の王さまを倒すと『ヴァンパイア』ではなく『魔王』と呼ばれるワケです。


 でも『魔王』と名乗るのもね、大変なワケですよ。


 例えば、私が策略で魔王になったとします。


 でも結局『実力社会』なワケですよ。


 足元からじゃなくて、普通に他の魔王に丸呑みされてしまうワケですよ。


 そんな理由で、私どもはおいそれと『魔王』と名乗れないワケでもあるんですね。


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