第十話 待ち構える魔王の様々 その5
「シュロ、一つ聞いていいかしら?」
クイズもいよいよ終盤に差し掛かり、一旦、休憩に入って、場内にファウルが用意した酒を振舞って配るダロタとブラドを見送っているとセリカが自分に聞いてきた。
「私に何をプレゼントしてくれるの?」
「えっ、それは…」
「どうせ後でわかる事なんだから、別に隠す事はないでしょう?」
確かに一理あるが、それは一番困る質問だった。
何故なら…
何をあげればいいのかわからなかったので、ファウルに依頼したからだ。
そう言った途端、言うまでもなく呆れるセリカをみて、ここで一つの疑問が浮かんだ。
「もしセリカさんが、負けたら何をくれるつもりだったのですか?」
「あら、随分ありえない事を言ってくれるのね?」
「言葉を返しますけど、どうせ後でわかる事でしょう?
だったら良いじゃないですか?」
だが、しばらくセリカは考え込んだ様子だったので、つい『どうしました』と聞いた。
「そんな事考えた事ないわ」
どうやら自分が彼女にプレゼントをあげるかあげないかを、今回の勝負と考えていたらしい。
「でも良いじゃない。
どうせ勝負は、ほら…」
指差す方向には、得点ボードがある。
そこには70対120と、セリカが勝っていた。
「どうするの、次が最後の勝負って聞いているけど、まだ続ける?」
『フフフ』と笑いながら、勝利を確信しているのだろう。
自分からしても、先の対戦でセリカがここまで点数を稼ぐとは思いもよらなかった。
『咆哮当てクイズ』
人間の言葉の話せない2匹のモンスターが咆哮を上げて、その活劇を自分とセリカはそれらの台詞を当てるクイズをやっている時の事だ。
セリカ自身の魔力で言葉がわかってしまうと不味いので、カイリにそれが発動したか否かを判断してもらい。
あくまで公平になるように仕向けたのだが…。
「では問題をお願いします」
『ギョオオオ!!』
『グオオオッ!!』
『グウウッ!!』
『ガッアッ!!』
状況を説明しよう。
黒いサルと赤いサルがカウンターを挟んで会話をしている光景をみて。
ただそれだけで想像できる台詞をフリップに書いた。
『あっ、いらっしゃいっ!!』
『マスター、今日も飲みに来たよっ!!』
『じゃあ、何にする!?』
『いつものヤツ!!』
完璧に当てる事は不可能なので、解答の内容に近ければ得点が入るルールにしたので、このような妥当な解答を書いて点数を稼ぐ事にした…のだが…。
「では、ダロタが訳した解答を見てみましょう」
『ごめん、来ちゃった…』
『何しにやってきた?
お前とはコレっきりだと言っただろう?』
『そ、そうだけど、そんなの貴方が一方的に…私、納得できないから…、今でも私…あなたの事が!?』
『帰れっ!!』
…こっちが帰って欲しいですよ。
こんなクイズ、当然の事ながら当たるワケがないと思っていた。
しかし…。
「セリカ様は『とっとと帰って』が半分当たってますね。
10ポイント!!」
思わずカイリを見るが『ケラケラ』と笑いながら、自分を見て首を振っていたので、魔力を使っているようではなかった。
だが、セリカは…
『大佐、お願いですから、パイロットスーツを着てください』
「『服、着たら?』という部分が合ってますね」
といった感じで、かすらせる事で点数を稼いで、こんな点差へと発展してしまったのだった。