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第十話 待ち構える魔王の様々 その3

 「お断りします」


 「まだ何も言ってないじゃない」


 「いいえ、今回は言わせてもらいます。

 この店で働くと言いたいのでしょう?」


 「そうよ」


 「『お』『断』『り』『し』『ま』『す』」


 「どうしてよっ!?」


 『ボンッ!!』と何かが後ろの方で爆発したが、少しは考えてほしかった。


 例えばお客が気兼ねなくやってきてドアを開けると…


 『あら、いらっしゃい』と魔王が店番しているのだ。


 と、驚くのはまだ予想出来る範囲だろうが、問題はまだある。


 例えば、とある客のモンスターが商品を一つ買うとしよう―。


 『あら、それだけ?』


 セリカは何となくそう言ったつもりだろう…。


 だが、魔王はこう言ったのではないのかと、勝手に解釈するモンスターも少なくないだろう。


 『あなた、それだけ買うためにこの店に来たの?』


 店の貢献にはなると思うだが、そのモンスターの財布事情は大きな痛手となるだろう。


 そして、冷やかしでやってくるのモンスターも同様であって…


 こんな事態をさけるために断ってはいるのだが、当然の事ながらセリカは理解をしていないのだろう。


 「そんな読者が予想できる展開を許すと思っているのですか?」


 「じゃあ、どうすればいいのよ!?」


 また、『ドン』と吹っ飛んだ音と後に風通しがよくなった気がしたので、振り向くのが怖かった。


 「じゃ、じゃあ、私と勝負しましょう。

 勝ったら何かプレゼントしますよ」


 「いいわよ…」


 『パンッ』とランプが粉々に砕け散ったので、戦う気十分だったが冗談ではない。


 とりあえず、人差し指を出した。


 「何、一対一で勝負?」


 「違います…」


 「誰が一番、破壊するか?」


 「違いますよ。一週間待ってください。

 せめてセリカさんと対等に戦える準備をさせてください」


 「笑わせてくれるわね。

 たった一週間で、私に勝てると思っているの?

 まあ、いいわ。一週間ね?」


 するとセリカの左上の頭上から『ボトッ』とブラドとダロタが降ってきた。


 「今日は店を休みにして、店からの資材を稼ぎにしていいから、一週間後の戦いの準備をしてなさい。

 それじゃあね。一週間を楽しみにしてるわ」


 そう言ってクスッと笑って翼を広げて飛び去った。


 「…シュロ、いくらなんで無理じゃないのか?」


 「んだ、今からセリカの城に行って謝るだ」


 「いえ、大丈夫です。

 その為に、少し協力してもらえますか…」


 「おいおい、魔王に立ち向かう度胸は認めるが、俺たちまで巻き込まないでくれよ…」


 「そこまで危険なマネはさせませんよ。

 二人とも、少し耳を…」


 そう言ってモンスター2匹を集めて、本日は解散した。


 そして、月曜日…


 シュロは走っていた。


 魔王に立ち向かうのは、勇者だけだと思っていた。


 だけど…


 火曜日…


 ダロタは筆を走らせていた。


 魔王に立ち向かう、シュロのために…


 水曜日…


 ブラドは敵国のモンスターに囲まれていた。


 シュロの考えた戦いに必要な人物に会うために…


 木曜日…


 シュロは、ひた走っていた。


 自分の作戦を引き立てるために…


 金曜日…


 ダロタは墨で真っ黒になっていたが、その顔は満足そうだった。


 土曜日…


 ブラドは冷や汗をかきながら、セリカに『シュロは何たくらんでるの?』と胸倉をつかまれ聞かれていたが、黙っていた。


 そうして、日曜日はやってきた。


 「シュロ、逃げずによくやってきたわね」


 店の前に立っていたのは、魔王セリカだったが…。


 「ところでシュロ、一つ聞いておきたいのだけど…」


 「何ですか?」


 「この人だかりは何?」


 セリカは一旦、視線を移した先には大勢のモンスターが見物していたのが、セリカは気になっていたのだろうが、これも自分達の狙いでもあったので…


 「気にしないでください」


 「がんばれよ、シュロ〜、セリカなんかに負けるな〜」


 そんな声が上がったのを見て、さらにセリカは呆れながら聞いていた。


 「どうしてカイリもいるのよ?

 それに…確か、あれは…」


 『招待席』と書かれたテーブルに座っているのは、カイリだったが、それと隣にあと一人は座っていた。


 「あのカジノでバーテンダーを営んでいる。ファウルだ。

 シュロ、お前の戦い方を見せてもらおうか」


 「ファウル…。

 あら、もしかしてあなた『魔剣士 ファウル』?」


 「そうだ、だがもう剣は握っていない。

 だから、その呼び方はやめてくれないか?」


 場内のモンスターたちが『おおっ』驚いていたが、それにもっと驚いたのは自分だった。


 何故なら町まで走って、彼を誘ったのは自分ではあるが、そんな事は一つも聞いていないのだ。


 「お前が聞かなかっただけだろう?」


 そんな感じで収められてしまったのを見てセリカはこう言った。


 「そういえば、勝負方法は聞いていなかったわね?

 前にも言ったように、直接対決?

 それともここにある家々をどれだけ破壊できるか競うの?」


 相変わらず、破壊前提の戦いを望んでいたが、今日は不思議と恐怖はなかった。


 何故なら、自分は勝つためにここにいるのだから…


 力強く指を指す。


 「あちらをごらんください」


 要望通り、カイリを来させたブラドのため…


 「あれは看板?

 垂れ幕が掛かってるわね」


 希望通り、一人で『用意』を進めていたダロタのため…


 三人は自然と目が合い、頷きあって…


 垂れ幕を外した…


 「これは…」


 そしてマイクを持ったブラドが叫んだ…


 「第一回 魔王と店主、クイズバトルゥゥ!!」


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