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魔王は一度、勇者と対面してもいいかもしれない その1

 ここは、とある魔王の城…。


 三時間前くらいからだろうか、ただならぬ空気が漂っていた。


 しかもそれは徐々に、重苦しくなっていく。


 無理も無い、各国の魔王が集まって来たからだ。


 城下町の住人はすでに避難しており、無人の町並みは、その魔王の城の不気味さを手助けする。


 さて、そんな中をここにセリカが、ブラドを伴って降りてきた。


 「よう」


 カイリも通路の途中で出会う。


 「てか、毎度の会議、面倒だな~」


 本日、集まった理由を説明しながら、各国の魔王の会議室の扉を開いた。


 そして、その一声である。


 「面倒とは。


 不敗の魔王のカイリというのは、暴勇を誇る勇名であり。


 不敗とは、政治にも戦力的にも負ける事が無い事を指すのを理解してないらしい」


 明らかな嘲笑ちょうはつの言葉が飛んで来た。


 「ああ…?」


 カイリも性格上、睨み付けていく。


 魔王に冗談は通じない、こんな挑発を受けたのなら…。


 「もう一回、言ってみ?」


 と、相手ブラドを、頭蓋を砕きながら聞き返しに掛かるが…。


 「へっ、これで攻め込める名目が出来たってモンだ。


 今度、楽しみにしてくれよな?」


 カイリが抑えて、遠回しな言い方をするのは、相手の実力を見据えた上だった。


 「さて、もうよろしいか?」


 初老で少し大柄なエルフが、仕切り直すように答えた。


 言うまでも無く、このエルフも魔王である。


 「ちっ」


 カイリはセリカに促され、舌打ち混じりに、用意された席に『ドカッ』と座り込む。


 繰り返すようだが、これは…。


 ただの会議である。


 だが、魔王同士の会議だ。


 先の初老エルフのバージルの言葉から、始まろうとしていた。


 「ふむ、私の方から、報告させてもらおう。


 先週、腐死使いどもの暴乱、カイリ殿の増援に、深き森の魔王として、礼を言おう」


 バージルは礼節をわきまえて、恭しくカイリに会釈をし、彼女らしい態度で答えた。


 「んあ、大した事じゃねえよ。


 アレの使役するゾンビどもは、噛まれて増殖するような、ヤツらだからな。


 面倒になる前に、対処しただけだ」


 「事前に話があったとは言え、感染の恐れの無いゴーレム達をよこしてくれたのは、ありがたい事だ。


 おかげで我らエルフの民には被害は無かった。


 その事で、南方の争いも早く収束に向かっている」


 外見は、普通の会議…。


 だが、それは起こった。


 「ふん、確かエルフは魔力の高さが誇りと聞く。


 ゾンビに噛みつかれた程度で、感染するとは…。


 その毒をも浄化するのが、高き魔力のあり方ではないのでしたかな」


 忘れてはならない、コレは魔王同士の会議なのだ。


 「それはどういう事ですかな?」


 じっと睨む、バージルに殺気が混ざる。


 「純金と金メッキの違いはご存じかと、質問しなければなりませんかな?」


 その魔王は攻め込む名目を、自らたてるような言い方で挑発する。


 誰も、なだめようとはしない。


 『弱み』を見せれば、あっという間に飲み込まれるような世界。


 それが『魔界』なのだ。


 ちなみに挑発してきた魔王は、かつてシュロの事を気味悪がっていた魔王である。


 だが、意外な緩和を促す。


 カイリだった。


 呆れながら彼女は答えた。


 「バージル、だから、こういう事になるから、お前自身が出るべきだったんだよ」


 「ふむ、結局、キミの言うとおりになってしまったな。


 その発言は、痛み入る…」


 バージルはため息混じりに、皮肉の混ざった笑みで答えた。


 「勇者の侵略を、許してしまうワケだ」


 周囲が『えっ』と、ざわついた。、


 すると周囲の反応を見たセリカは、面白そうに笑みを浮かべて答えた。


 「そうね、バージル、アレは貴方のミスよね。


 今でも、許せないわ」 


 それはまるで、先の魔王の言い分を味方するような言い方に見えたのか…。


 「ふ、ふむ、深考しんこうの魔王も、墜ちたモノですな」


 その魔王は状況が飲み込めないまま、そう答えるだけでいた。


 他の魔王も、動揺が隠せないのか、その他の部下達に状況の確認をするための思念を送るのが、魔力越しなら見てとれた。


 「だがな、そこな二人の魔王よ。


 私は今でも、あの時の内政は、大事だったと思う。


 事実、勇者の進撃を遅らせた事もある。


 そこに十分に関与した、彼にも、私は賞賛を贈りたいくらいだ」

 

 バージルの言い方は、まるで大戦を乗り切ったような言い方だった。


 その数分で、当然、矛盾は生まれる。


 「バ、バージル様、おかしい事を言わないでいただきたい。


 その様な事は、起こりもしてはいないではないですか?」


 挑発していた魔王も、調査を終えたのだろう。


 事実、魔界でそんな事実は、一切、無かった。


 するとバージルは、セリカ、カイリを見て…。


 「ふむ、だが、事実だ」


 深い言い方をした。


 「そうね、私たち魔王三人がかりでも、侵略を許したのは事実ね」


 『クスクス』とセリカは、面白そうに言う。


 「おいおい、アイツも頭数に入れてやれよ」


 カイリが言うには、その壮大な戦いにはもう一人いたらしいが、笑いが止まらなかったらしく。


 バージルと二人して笑ので、周囲の魔王を困惑させていた。



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