いつか来る、対策をする者達 その2
「道具屋の店主に話をつけて、お主は薬草の詰め作業をしている事にしておいた」
「そんな事で、母さんが納得出来ますかね?」
「じゃからこそ、唐突さを演出させる事にするのじゃよ。
実際、お前の母さんには今週、お前の態度を見ながら、店でバレないような準備をしておると伝えておる。
そして、この来週、お前の仕事ぶりを見学するように、お願いもしておる」
「なるほど、そこで母さんが私が働いている所を見せれば…」
「納得するというワケじゃ、そこで三人とも働いている様を見せればのう」
長老はそう頷き、最難関を口にしている事に気づいていないのに、凄く不安を覚えたシュロであった。
……。
「なあ、シュロ」
そして、ブラドはシュロを見て言う。
「自力で魔界に来るなよ」
シュロはどうやって魔界に来たのだろうか?
「いや、気持ちはわからんでもないが…。
…そんなに睨むなよ」
ブラドに事情を話そうとすると、こんな時に限って、セリカとカイリは一緒にやって来る。
ダロタが魔界に生える果物に、弓矢の練習をしている間、事情説明は終わる。
「あら、面白そうね」
「ああ、行く行く」
二人の魔王は明るいが、シュロは暗い。
「二人とも、わかっているのですか?」
「んあ、ただ地上に出て、お前の母さんに働いているトコロを見せて、納得してもらうんだろ?」
カイリの調子を見て、シュロは聞いた。
「じゃあ、薬草って何だか知ってます?」
「なあ、シュロ馬鹿にしてんのか?」
カイリは不機嫌になるが、シュロは無言を持って聞いていた。
「あれだろ、飲んだら体力が回復するってヤツ?」
セリカもカイリの解答に口を挟むつもりはなく頷くが、シュロ、
「イインチョさん、お願いします」
指をパッチン。
「ご説明しましょう」
空間が歪んで、イインチョがデコを光らせてやって来た。
「今、どうみても、召還したようしか見えねえんだが?」
「まあまあカイリ様それだけ先ほどの問いの返答にシュロ様が切羽詰まっているという事でございます」
「どうして切羽詰まる必要があるのよ、さっきのカイリにおかしいトコロは無かったわよ?」
イインチョは首を振り。
「ですが不正解にございます」
小瓶を取り出した。
「これがカイリ様の言っていたモノでございます」
「何だよ、これの事を言っているんだろ?
間違ってねえじゃねえか?」
「これは俗に言う魔法薬品でございます薬草とは違うのですよ」
すると今度はシュロは塗り薬を取り出した。
「これが薬草と呼ばれるモノなんですよ」
フタを開けたが故に、効能高そうな匂いがセリカに漂ったらしく、
「変な匂いね?」
と答えているのを、見てシュロは確信に至る。
「ですが、薬草って、こういうモノだと言うのを、二人は知らなかったでしょう?」
と聞いて、
「・・・・・・」
「…いや、知ってたよ。
なあ、セリカ?」
この間である。
「これは講習が必要でございますね?」
「イインチョさん、お願いします」
こうして彼女たちは講習を受ける事となった。
「面倒くさいわね」
魔王二人の態度に、シュロは胃まで痛くなりそうだった。