原っぱに集まる者共
「ブラド、覚悟は良いようね?」
セリカはブラドの前に立ち塞がる。
「セ、セリカ様、まだ開店まっ!!」
ちなみに前回と同じ画像でブラドが吹っ飛んでおりますが、前回の件とはまったく関係ありません。
「なんだ、コレ?」
「店がありませんよ?」
カイリとシュロが、そこにやって来ると、当然、あるべき場所に店が無い。
ただダロタがあんぐりと口を開けて立って、シュロ達を待っていたらしく、カイリは事情を聞いている、しばらくして頭を掻いてシュロに言う。
「シュロ、どうやらセリカの奴が店を吹き飛ばしたらしい」
「何となく想像は付いてましたけど…。
じゃあ、今日はどうするのですか?」
「休業って意味でいいんじゃねえの?」
「じゃあ、今日の私の給与は?」
「そういえば、お前には、そういうモンが必要だったな…。
生活のために?」
シュロは頷くと、カイリは頭を掻いて空に浮かびながら言った。
「オレが出しておいてやろうか?」
カイリは笑顔でそんな事を言う。
「別にお前には世話になってんだからさ。
給与の分くらいは、工面して良いぜ?」
『何なら、ずっと工面しても良いぜ?』と何とも言えない待遇を受けるシュロだが。
「そういうワケにもいきませんよ」
シュロは平然として返す。
ちなみに今回、セリカのご立腹の理由は、カイリが勝手に出迎えに行ったからであり。
フラグクラッシャー、ここにあり。
ちなみにカイリも自分の言った言葉の重要さを知ってはいないらしく。
『よっと』と空に舞い、セリカを探しに行くと、シュロはダロタと二人になってしまう。
「ダロタ、今日、どうしよう?」
そこに自分達の店があった荒れ地を眺めていると、
「ダロタ?」
先に行動を始めたのは、このオークだった。
瓦礫を集め始めるので、シュロもそれを行なう事にした。
「それぐらいしか、やる事がありませんか。
そういえば、こんな作業は始めてでしたね」
そんな事を呟きながら、ダロタが瓦礫の仕分けをするのを見習って、シュロもそれを真似ていると、ダロタがシュロの袖を引っ張っていた。
「どうしたのですか?」
どうやら『危ない』らしく、ダロタが頷いた。
その瞬間である。
「どわっ!!」
空から振ってきた物体に、シュロは驚きの声を上げる。
それはブラド、ではなく。
「練成の壷?」
自分がワナを作る時に必要な壷が振ってきたのだった。
この壷、シュロの体格以上、体重以上の重量を誇っているのだから、さすがにダロタも止めてくれたのだ。
「ありがとう、ダロタ」
「ぶひっ」
状況が理解できてこそ、感謝の言葉も感慨であるが。
「おわ!!」
今度は何だろう。
烈風が仕分けていた瓦礫を蹴散らしていった。
ようやくシュロが目を開けると、赤いウロコが目立つ。
「おや、どうしたというのかね?」
レッドドラゴンのレクターが、ダロタの仕事を台無しにしてくれていた。