表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
128/155

魔界、不気味なルール その2

 さて、このカイリ、何を企んでいたか…。


 「カイリ様、今週の報告をさせていただきます…」


 ここはカイリの城、カイリの倍ある巨体を誇るサイクロプス、サコンがうやうやしくお辞儀をして、報告業務をこなす。


 サコンにしても、本日の不気味さに大きな一つ目が細まる。


 「ん…どした?


 さっさと報告、始めろよ」


 この報告作業、いつもならカイリは面倒臭く聞いているのだけだが。


 「…結果、金鉱が誕生しました。


 それを、もちまして我が領土の収支は、ウコンの報告書通りのモノとなるでしょう」


 「ふ~ん」


 今回は、素直に報告書も受け取りなさる。


 『んなモン、寄越すな。


面倒くせえな』


 それが本来のカイリの態度である、そう言って部下がせっかく作った報告書も受け取りもしない。


 ようやく魔王としての、自覚が出てきたのだろうか?


 私、サコンはうれしい限りでございます。


 そんな喜ばしい光景ではない。


 そこにあるのは不気味さだけである。


 「おい、サコン、お前、何か失礼な事を考えてねえか?」


 「い、いいえ、いいえ。


 それでこの金鉱に対して、支出を設ければ、従来の倍の速度で収入を見込めますが。


 いかが致しますか?」


 「う~ん…。


 オレん所で職についてねえヤツって、どれくらいだっけ?」


 「ええと、その人達を引っ張るつもりですか、としても大して結果は見込めないでしょう?」


 「どういう事だよ?」


 「お国柄、みんな肉体労働好きですからね。


 そんなわが国が無職な者達はと言いますと…」


 「なるほどね、呪術関連の連中が目立つワケだな。


 それならよ、セリカんトコから人を引っ張って来れないか?」


 「それは難しいでしょう。


 さっきの金鉱と、セリカ様の領土、そこは距離が離れすぎていまして…」


 「ちっ、上手い話はねえな。


 まあいい、サコン、その金鉱はいつも通りで頼むわ。


 じゃあ、報告ご苦労だったな」


 そんな中、この気味の悪い報告会は終わりに差し掛かるので、サコンも問題ないのかとも、安心を見せる。


 が…。


 そうはいかないらしい。


 「おい、ちょっと待て…」


 サコンは警戒しながら、帰ろうとした大きな図体をカイリに向けると、彼女の手には日本刀が握られていたので、一つ目は驚きを隠せないで言う。


 「カ、カイリさま?」 


 「何だよ?」


 そう言いつつ、カイリは刀を抜いてニヤニヤと笑っていたので、サイクロプスは怖い怖い。


 「まず、手に握られたモノをしまいましょう」


 誰も新必殺の実験台に、何てなりたくはない。


 だが、カイリにはサコンの恐縮の意味がわからず。


 「何を言ってんだ、お前?」


 刀を鞘にしまって、サコンに突き出す。


 「コレをお前にやろうと思ったんだよ」


 『ほれっ』と前に出すので、


 「いつも世話になっているからな」


 カイリは笑顔で、そう言った…。


 ……。


 どこかで見たような流星が流れたという…。


 その翌週。


 「なあ、シュロよ」


 「はい、何でしょう?」 


 「気味悪がられた」


 「何を突然、言ってるのですか。


 まあ、何の事なのか大体わかりますが…」


 シュロの呆れに、ムッと来るカイリだったが、さらにそこにセリカがやって来た。


 「普段からしない事をやって、気味悪がられて当然よ」


 「なんだよ、オレだってな。


 普段から世話になってるから、どうしてやろうかと考えていた折に、シュロのやってたのを見てたんだぞ」


 「なるほど、ですから、やって見たら…。


 気味悪がられたと…」


 「うるせ…」


 それはカイリが不機嫌にもなるのも無理も無いと、掛けてあげる言葉をシュロは失うが、それに笑顔に上機嫌になるのはセリカである。


 「部下の忠誠も満足に得られない魔王なんて、カイリ、貴女の器量もしれたものね」


 そんな事を言う。


 それを聞いたシュロは、何とも言い難い顔をして、今度はカイリと見つめ合っていた。


 「お前…」


 こんな展開、何度あった事だろう。


、「だったら、お前もやってみろよ」

 『どうせ、お前も出来ないんだぞ』


 カイリの問いかけは、こんな変換でもある。


 「い、良いわよ」


 セリカも半ば自覚があった。


 「シュ、シュロ…。


 ここに来なさい」


 「駄目だ、ブラドでやれ」


 魔王も魔王からは逃げられない。


 そして、店の奥からやって戻ってきたブラドは、


 「何でしょう、セリカ様」


 「……」


 上司である魔王を、緊張の面持ちで向かえ。


 キラン…。


 ブラドは回復の腕輪をセリカの前で輝かせて見せた。


 「おや最近は良く地上から飛び上がる流星を見ますね」


 そんな中、イインチョが入ってくる。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ