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報告書は真実を語る その3

 だが、レッドドラゴンがめり込んだ店に、誰が入ろうと思うものだろうか…。


 本日の売り上げは、語るまでも無かったという…。


 「まあ、警備は万全ですが…」


 「あら、シュロ、それ何、ところどころ穴が開いているけど?」


 「ゴム製のマットです。


 これで出てくる硬球を受け止めるのですよ」


 「なんだ、打ち返すんじゃないのかよ?」


 カイリは左袖を捲り上げるような仕草を見せながら、こん棒をブンブンと素振りを始めていた。


 「雰囲気を察して、用意しないでくださいよ」


 「最近は、某ハッパの悪球打ちだって、この仕草を見せるんだぞ?」


 「カイリさん、何か、ヤバそうな事を言ってませんか…?」


 そう呆れも見せながら、用意が出来たとブラドに合図を送ると…。


 バスン!!


 と、勢い良く硬球がマットに当たり、ボールが地面に転がる。


 「時速130キロだ。


 とりあえず平均的な速度で打ち出してみたんだが、どうだ?」


 「まあまあですね…。


 とりあえず、最大も見てから、計画通りに行きましょう」


 「おう」 


 珍しくブラドが意気揚々と手を挙げて合図を送る。


 すると…。


 「ぶひっ!!」


 マットの後ろで、事の成り行きを見守っていたダロタが後ろにすっ転げた。


 「ダ、ダロタ!?」


 「ブラド、お前、何キロ出した!?」 


 さすがにファウルも、空気の揺れを感じたのか聞いて来た。


 「リミッタ解除して、320キロだ」


 「ブラドさん、いきなりリミッタ解除しないでくださいよ」


 シュロもさすがにブラドを注意に掛かるが、


 「うお、しまった…」


 ブラドの慌てる姿が先に目に映る。


 どうやらスイッチを切るのを忘れていたらしく、シュロは慌てて後ろに下がり、事の顛末を見守るしかなかった。


 だが…。


 「カキーン!!」


 カイリは軽々と打ち返していた。


 「なんで打てるのですか?」


 「そりゃ、オレが魔王だからな」


 カイリはケラケラと『もう一丁』と言ったが、ブラドは焦りながらスイッチを切った。


 「シュロ、これで一体何をするつもりなんだ?」


 「これを人にぶつけようと思いまして…」


 「……」


 その瞬間、明らかに空気が固まった。


 セリカもさすがに


 「シュロ、貴方…」


 「い、いえ、決してやましい事で言ったわけじゃないのですよ。


 新しいワナに良いかなと思って、これを使おうと思ったのですよ」


 「それなら、お前、木の矢をぶつけるので十分だろ?


 あれだって、矢じりないんだしさ」


 「カイリさん、それが問題なのですよ。


 あれ、一発しか出ないので、連射で出るのがないのかと、ブラドさんに探してもらって、それがなかったから、連射の出来る代用品を探してもらっていたのですよ」


 「それで今に至るというわけか、でも、そんなら強力なワナを仕掛けてダメージを与えてしまえば、問題ないじゃねえか?」


 「カイリ、とりあえずシュロの考えている事くらい見てみましょう」


 セリカのそれがシュロはブラドの様子を伺う、準備が出来たのを確認していたらしい。


 連続で発射される硬球に、シュロは言う。


 「さすがにスピードが落ちますね?」 


 「先の300キロで打ち出すのには『溜め』を必要とするからな。


 今が、平均での最大40キロだな」


 そう事の成り行きを見送っていると球が無くなったらしく、機械が空回り独特の音がし始めていた。


 「さすがに球切れも速ええな…」


 「その辺は、容器を改造するつもりです」


 「ふ~ん」


 そう言って、カイリは興味深くピッチングマシンを眺め、予め拾った球を二球ほど込める。


 軽々と機械を持ち上げだしたトコロで、シュロは身の危険を感じ、カイリから離れていた。


 「ああ、確かに溜めに時間が掛かってるな…」


 ブラドはよりによって、セリカの近くに落ちている球を拾い集めている真っ最中だった。


 「……」


 雰囲気を察したのか、セリカは何も言わず、その場を離れる。


 「危ない、ブラドさん!!」


 それを見てからの、この発言である。


 「なんだ?」


 それと同時に、ブラドの背中に最大出力の弾丸が命中する。


 「んぬあぁぁぁぁぁ!!」


 「な、シュロ、こうやって威力の高い球をぶつけてやった方が効率良いと思うぜ?」


 「とりあえずブラドさんに謝りましょうよ…」


 

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