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魔王にも知らない事もある その3

 「しかし、相変わらず変化の無い村だよな?


 もうどこに何屋があるか覚えちまった」


 「それが普通ですよ。


 日常で家屋が吹き飛んで、更地になるような魔界と一緒にしないでください」


 「それだけ探しやすい環境だから良いじゃない。


 それで、リリの特徴とかあるの?」


 「特徴…と言われましてもね…」


 つい、シュロは考え込んでしまうと、それをカイリは笑顔で言う。


 「普段、見慣れた妹の特徴を挙げろと言われちゃ、難しいわな。


 大体、背丈はコレくらいだろ?」


 カイリは手で示すと、大体、合っているので、当然、不思議に思った事がある。


 「あれ、カイリさん、何で知ってるんですか?」


 「カイリ、アンタも見た事ないでしょう?」


 それはセリカも一緒だった。


 そして、カイリは平然として、


 「そりゃあ、タンスの中のパンツ見たからな」


 問題発言である。


 「……」


 「カイリ、同じ魔王として、それはどうなのよ?」


 「おい、勘違いすんなよ。


 オレは、ある程度、調べておく必要があるから探っただけだぜ」


 「だからって、人様の家のタンスを覗いたのですか?」


 「そうだぜ?」


 「……」


 「うるせえな、人様のタンスの中を調べて良いのは、勇者か魔王のどちらかって相場が決まってんだ。


 オレは魔王だから、別に良いんだよ」 

 

 そんな会話を村の中でしている最中でも、やはり二人は目を引く。


 さらにカイリは、声を掛けやすいのか、


 「よう、カイリ、今日も元気だな?」


 まず、冒険者の一人に声を掛けられたと思えば…。


 「カイリ~」


 同姓の冒険者達にも、声を掛けられ華やかだった。


 「まあ、あの人が魔王であるなんて誰も思ってないからでしょうが、一国の王が、地上に何度も出ていいのですか?」


 「あら、私だって魔王よ。


 そんな事より、妹のリリを探しましょう」


 そうして、先の冒険者に『見かけなかった?』とシュロは話し掛ける。


 それは、カイリも一緒に冒険者にも聞いていた。


 「ああ、リリちゃんか、あっちの方に行ったよ」


 そして、指を差すのは同時。


 全員が、別々の方向を指していた。


 「なあ、シュロ、お前、打ち合わせはしていないよな?」


 「そこまで賢くはないですよ」


 この間、長老やら、遊びに出ていたゲンタに行方を聞くのだが、そこにはリリの姿を見る事は無く、流石にセリカも苛立つ。


 「昔、邪神の復活を阻止するために、伝説の勇者の血を引く、三人の若者の物語を思い出したわ」


 「ああ、最初の仲間と出会うためにニアミスしまくるヤツか?」


 「五回目で会えなかったら、貴方の妹はサマルトリアを超えたわよ」


 「自分の妹に、嫌なあだ名をつけないで下さい」


 ちなみに五回目は、自分の家に戻ったという話である。


 「あら~、出会わなかったの?」


 シュロの母親の回答に、カイリもとうとう苛立つ。


 「なんだよ…。


 何だよ、これ!?


 普通な、一つの町で人間がうろついてりゃ、大抵、人の伝いに出会えるモンなんだよ!!


 何で出会えないんだ!?」


 「そんな事を言われましても、きっちり夕暮れ時には帰ってきますし。


 こんなに難儀した事は一度も無いのですよ。


 でしたら、いっその事、待ちましょうよ。


 まだ、自分の宿題も終わってないのですから、そっちの方を手伝ってくださいよ」


 すると、嫌そうにしたのは二人の魔王である。


 「シュロ、貴方はまだ、彼女の恐ろしさがわかってないようね。


 夕暮れ時まで、三時間ほどでしょう」


 「その三時間後、間違いなく魔界で大変な事がおきたりするんだよな?」


 珍しく頷きあう、カイリとセリカだが、


 「そんな物騒な事おきませんよ…」


 それに半ば半信半疑になるのは失礼なのだろうか、自分は肩を竦めていた。


 「セリカ、この前、魔界に膨大な量の隕石が落ちて来た事があっただろ?


 あん時、オレ、リリを探していたんだよ。


 多分、コレが原因だと思っているのが多々あるんだよな?」


 「私もよ、私の時なんか、別次元の魔王ってのが現れて、ブラドが叩きのめされていた事があったのよ」


 「で、では、妹を探すのが長引けば魔界に何かしら影響があるというのですか?」


 この問いかけに魔王は、神妙に頷いて言う。


 「間違いないわね」


 「次の話、辺りでブラドが大変な目に会ってるだろうな?」

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