表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
103/155

収穫祭の魔王 その6

 力が上の相手に助けを求め、カイリも止めようと立ち上がるのが見えたが、


 「うおあああ」


 親モンスターに自分の襟首を咥えられ、高く持ち上げられてしまった。


 「た、助けて~」


 それを見たカイリは、


 「あっははは…」


 大爆笑だった。


 おかげでしばらく、このモンスターと村の中を『ずしん、ずしん』と闊歩する羽目になる。


 「シュ、シュロ~」 


 どこかで聞き慣れた、母の声もする中。 


 「今だ!!」


 自分を助け出そうとしたのだろうか、ニルバス村にいる冒険者達が総出で一斉に槍で、背後からモンスターを突いたのだった。


 「……」


 うん、突いたんだ。


 妙な沈黙が流れた。


 その時、そこにいた冒険者達には、こんな実感はあったのだろう。


 こんな時に一人、冷静で空気のヤツがいる。


 「あっ、これ、効いてないな」


 誰が言った、この台詞。


 それにゆったりと、振り向いて聞いて来るのは当然だろう。


 『痛いやろ?』


 「す、すいません…」


 しばらく身振り手振りで伝える、冒険者達とモンスターのやり取りをしばらくお楽しみください。


 『謝って済む問題ちゃうやろ、人様のケツをヤリで突きおってからに…。


 なんや人間って、正面から掛かって来れん生き物なんか?』


 「いや、やっぱり怖いというか…」


 『ああ!?』


 「すいません、やっぱ正々堂々ですか…ね?」


 『あんな、ワシ、人間のこんなトコが嫌いやねん。


 結構、痛いんぞ、コレ?


 お前ら、痛いの知っとって、やっとるんやろ?


 たまらんで、こっちは?』


 「すいません」 


 『まあ、やっぱなめとるよ、お前ら。


 さっきから「すいません」ばっかやろ?


 ワシ、やろうと思えば「ガツン」いけるねんで?


 いわせたろうか?』


 「いやいや、結構です」


 「何でお前ら、言葉通じないのに、意思疎通が出来るんだよ?」


 カイリの一言に、自分だけ首が曲がり、おかげで自分は開放(らっか)した。


 一安心するのは、まだ甘かった。


 「逃げろ逃げろ逃げろ!!」


 思い切り暴れだしたのだから、大惨事である。


 「まるでその逸話どおりに、モンスターが暴れてるじゃねえか?」


 屋台が壊される中でも、カイリはケラケラと笑っていた。


 「カイリさん、笑い事じゃないですよ」


 「どうして笑い事じゃないんだよ。


 祭りはこれから何だろ?


 確か元となった話を再現して、シュロ達が追い返すんだっけ?」


 「貴女は魔王ですね?


 いくらなんでも当時でも、あんな大型が相手じゃなかったでしょう?」


 「だろうな、この辺はあのベビーモンスターを、立派に一人立ちさせるための環境には適しているからな。


 ここの連中も、それを相手にしたと見ても、おかしくねえ話だな」


 「じゃあ、どうしてあんなのがいるのですか?」


 「いやな、たまにいるんだよ。


 子供が心配だからって、中々、子離れしないが。


 さまざまな理由があるとしても、普段は影で見守ってるだけなんだがな。


 一体、何が原因なんだろ?」


 カイリは『きょとん』としていた。


 「悪気がないのは、貴女の悪意なんですか?


 何とかしてくださいよ。


 このままじゃ、祭りが終わってしまいますよ」


 「しゃあねえな…」


 カイリはようやく重い腰を上げたのだが、


 「どうしたのですか?」


 そのまま動きが止まっていた。


 「どうしたのですか?」


 「あれ、セリカじゃねえか?」


   

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ