収穫祭の魔王 その4
「なあ、シュロよ?」
「先生、何でしょうか?」
ジラル先生は、シュロに耳打ちするように話す。
「ダンジョン探索って、そんなにモテるのか?
オレも、婚活がてら、行った方が良いかな?」
「明らかに生徒に聞く質問じゃ無いですよ?」
そんな会話をあるのも知らず、カイリは周辺の男子連中の注目を集め…。
「不潔ね…」
「まともな人だと思ってたのに…」
自分は周囲の女子連中の批判的な視線を集め…。
いや…。
カイリがこっちを向いた途端、殺意に近い視線が男子連中から!!
「なあなあ、シュロ、話に聞いたのだけど、あれがモンスターなのか?」
「そうですが?」
逃げるように視線を合わせるがカイリは、さっさとそのモンスターの元に歩こうとするのを慌てて止める。
「ちょ、ちょっとカイリさん」
「なんだよ?」
「あの、不味いですって…」
「なんだよ、ただ見に行くだけだろ?」
カイリはケラケラと、そこに向かおうとするが慌てて止める。
理由は簡単である。
前にカジノに行った時の事。
二人の魔王が目の前に現れただけで、闘技場のモンスターが命がけで戦ったのだ。
カイリとしては、激励のつもりだろうが、魔界とは力関係の強い、縦社会である。
相手が小型モンスターであれ、どんな状況になるかわかったモノじゃないので、
「良いですか、挨拶にとかで『絶対に行かない』で下さいよ?」
これは振りではない。
「おっ、それは地上で『行け』って意味だよな?」
そして、振りに感じたのか、
「貴女は、一体、どう介錯したのですか!?」
全力で引き離そうとするが、無理な話である。
シュロ
ちから 110
セリカ
ちから 230
他の魔王
ちから 255
カイリ
ちから 255~250000
カイリは三桁がこの世界のステータスの限界を、余裕で突っ切っているのだ。
全力で引っ張るが、ズルズルと純粋に力でカイリは自分を引っ張り。
「うわ、アイツ、これ見よがしにくっ付いたぞ?」
シュロは非難を更に浴びて、膝まづく。
「天よ、まだ私に罰をあたえますか?」
そう嘆くしかなかった。
「なに言ってんだ、この後に及んで」
「そうだよ、不潔だよ」
何も知らないゲンタやクライトも、今は敵である。
「セリカさんというモノがありながら、他の女性に手を出すなんて最低だよ」
カイリをちょうど背中にしているから、彼等は見えないのか…。
足止めを喰らっている間、
「ようし、今日はよろしくな?」
とうとう魔王カイリは格下モンスターの頭を撫でる。
他からはうりうりと、小動物と戯れる様に見えるだろう。
「……」
魔界にて、魔王とモンスターのやり取りを見ているからわかる。
この状態をなすがままというのだ。
「何か起こる…。
絶対、何か起こる…」
雲の無い晴天を眺め、風雲を探しそうになる。
しかし、そんな中でもセリカの姿は無く。
祭りの本番、自分達の出番となった時、事件は起きた。
「ぴぃぃぃ!!」
その叫びは、あのモンスターが上げていた。