表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

性夜を楽しむリア充共に鉄槌を!

作者: 山木 深

 雪降る街に、黒い影が蠢く。

 片手にトランシーバーを持ち何事かを呟くと路地裏に消えていく。そんな光景が、都内のあらゆる場所で散見された。

 たくさんの人が外出するクリスマスともあって、その情報を寄せられた警察はあわただしく動いていた。

 ただ、不審な影は何をしたわけでもなく、また、不確定情報で警察が大々的に動くわけにも行かなかった。

 そんな中、警視庁に一通の手紙が届いた。


【性夜を楽しむリア充共に鉄槌を!】


 内容はシンプルに、テロ宣言。その一言に尽きる。

 警察も、本気で受け取った。内容がまともだったら、だが。

 想像してみよう。

 

 聖夜を性夜にしているリア充たちにいやがらせを決行する。標的は、リア充集いし全ての地。


 そんなことが書いてある手紙を、信じる酔狂な人はまずいない。わざわざ筆で、やたら丁寧に書いてるあるとなればなおさらだ。

 万が一を考えて申し訳程度に割り振られる人材が選ばれているそのとき。

 すでに都内では、不審な影が動き出していた。


*  *  *  *  *  *


「α部隊よりΩへ。こちらの準備は完了した」

「Ωよりα部隊へ。了解した。これでαからζまでの全部隊の任務は完了した。……………ご苦労だったな。あとは我々に任せたまえ」

「はっ。お願いします!

 リア充に鉄槌を!」


 合言葉を最後に、通話が途切れた。

 Ωと呼ばれていた男は、ふぅ、と息を漏らした。

 目の前に広げた地図を眺めながら、思う。

 長かった、と。一年前の同じ日、たった一人ですごしたクリスマス。心の中で、シングルベルが鳴り響いていた。

 そのとき決めたのだ。全てのリア充に鉄槌を下してやる、と。

 それから一年、同志を集め、計画を練った。性夜をぶち壊す。ただそのことだけを胸に抱き、過ごしていた。

 そして、ようやく今日が訪れた。

 あとは、その手に持ったスイッチを押す。それだけであらゆるリア充を絶望へと誘うこととなる。

 男は、少しためらい、そして、押した。

 同時、都内のおよそ考えられる全てのカップル御用達の施設に悲鳴が響いた。


*  *  *  *  *


 プルルー! プルルー! 

 プルルー! プルルー!


「はい、はい、わかりました!」


 プルルー! プルルー! プルルー!

 プルルー! プルルー! プルルー!


「はい、はい、あー、はい。わかりました」

「あっ、そっちもですか! いえすいません他でも同じようなことがたくさんありまして…。はい、はい。すみません!」


 ひっきりなしに鳴る電話の音。何度も何度も同じ対応を繰り返し、少しずつミスが出てきた電話係。

 その状況は、簡易的に作られていた不審な影対策本部にも届いていた。数人しか居なかった対策本部には、数十人もの人が集まっていた。


「さて、みんなに集まってもらったのは他でもない、現在発生中の『カップルを標的としたテロ事件』を解決するためだ。

 今入っている情報は、標的がカップルなこと。非常に綿密な下調べがされていたであろうこと。そして、手口が実に嫌らしいこと、です」


 右済警部補が資料を読み上げると、会議室のいたるところで話し声がする。行われたことを細かく調べれば調べるほど、不可解なことがあるからだ。

 まず、規模に対してやってることがしょぼい。被害者が通報をし、警察が警戒度を跳ね上げたにも関わらず、まるで捕まらない。

 このことから、内通者がいるのでは、という話も出ていた。

 そうして会議を続けている間にも、被害は無くならない。むしろ、ますます増えてすらいた。


*  *  *  *  *


 東京スカイツリーには、かなりの数のカップルが集まっていた。イチャイチャイチャイチャしているカップルばかりだ。

 実にけしからんそこに、忍び寄る黒ずくめの集団がいた。


「Ω。いや、雄二。やろう」

「ああ、やろう。俺たちの妬み嫉み恨み怨みをぶつけてやろう。

 みんな、準備はいいか」

「「「ああ! やってやろうぜ!!」」」


 円陣を組み、気合いを出すと、一斉に来ていた服を脱ぎ捨てた。

 瞬間、東京23区一のカップル御用達の地に、全身肌色タイツに褌の変態が出現した。

 数十人ほどの変態たちは、持参したカバンをあさり、道具を取り出した。2つのボールに一本の棒が挟まれたものや、母性の象徴のかたちをしたそれらを、体に引っ付ける。

 唖然として呆けるカップルたちが正気に戻ると、 阿鼻叫喚の騒ぎに。

 ギャーギャー喚くカップルや、すかさずスマホを構え撮影をしだすカップルと、反応は様々だった。

 一様に言えるのは、彼ら彼女らが、そのときはまだ、ただのイベントだと思っていたことだ。

 その反応を見て、変態たちは、にやりとした。未だお遊び気分のカップル共に、絶望を、破局を与えてやる、と。

 彼女持ちの男には、百戦錬磨のホモが向かい、彼氏持ちの女には、変態という名の変態が向かう。

 ヤらないか? と耳もとで囁かれながら尻を触られ発狂するイケメンや、ハァハァと荒い息遣いをしながらセクハラを仕掛けられ泣き出す美女が、そこかしこで発生した。

 止めに入ろうとする警察には、突如飛び出してきた女が妨害を仕掛ける。色仕掛けとかそんなちゃちなものじゃあない。

 容赦なく殴るし蹴る。ヘッドロックもかけるしコブラツイストだってかける。

 婚期を過ぎた女の、鬼気迫る猛攻にたじろぎ、二の足を踏む。

 何より、まともな感性を持つ警察は、相手が女性の形をしているせいで実力行使に出れずにいた。

 なんとか押し退けてたどりついたときには、すでに変態は撤収した後であった。

 妨害をしていた女たちもその間に消えており、誰一人として検挙することができなかった。

 そして、その騒ぎを最後に、一気にテロ活動は収束した。

 のちに、この事件はこう呼ばれる。


 『非リアの怒り』


 と。


 なお、被害にあったカップルの大半が別れたことを、ここに記しておく。

深夜テンションです

オチはなくもちろんプロットもありません。

友人たちとLINEをしててやることになって作ったやつです。

リア充になれなかった無念でできています。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ