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「ははははぁぁぁぁぁぁぁ」
案内された部屋のドアを閉めるなり、僕はベットの上に倒れ込んだ。
あああ、良かったよ。
ベットの柔らかさは異世界でも共通なんだね。
羽毛で包まれるようなこの寝心地。
目を閉じたら、このまま眠りの世界に落ち込んでいきそうだよ。
うとうと。
ああ、気持ちいい。
このまま眠って、目が覚めたら自分のベットの上で、これは悪い夢だったなんてことないかな。
『アタシを助け出して下さい』
リンジュさんの顔とチョコレートのような甘い頭を過ぎる。
一気に眠気が覚めた。
そう言えば、返事をしていないことに気づいたからだ。
白い渦の向こうから聞こえてきたのは、救済を求める言葉だった。
こちらの世界に来たことに動揺して忘れていたけど、渦の向こうから聞こえてきた言葉の真意はなんだったのだろう?
僕のことをラグナロさんに託して、一人お城に残ったリンジュさんは今頃、何をしているのかな?
「わ~~い、ルルルが一番乗り~~~」
「ちょっと、ルルル、廊下は静かにしなさいデスよ」
しんみりとしたら、廊下らから元気の良い声が響いてきた。
何事だろうと思ってドアを開けてみると。
「うわあ」
素っ裸のルルルが、走ってきていた。
本当に素っ裸。
タオルも巻いていないから、ぺったんこな両胸の先端にあるモノだって丸見えだ。
なんだろう。
その気は全くないよ。
でも、さっきリンジュさんのパンツを見てしまった以上にやばいモノを見てしまった気がするのはどうしてだろう?
「ちょっと、ツバサお姉ちゃんあぶないよ!」
「え?」
素っ裸なルルルちゃんに見とれていたのが間違えだった。
ガルン。
鈍い音と同時に、言葉にすら出来ない、悲鳴を上げることも出来ない衝撃が、下半身……より正確に言えば、僕の股間から全身に伝播した。
「ぅぅぅっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっ!!」
歯を食いしばって、悶絶するしかない。
ルルルちゃんは小さいから、丁度彼女の頭の位置と、男の子である僕の弱点の高さが同じ位置に来てしまったんだ。
「わああ、ごめんなさい、ツバサお姉ちゃん。でも、ルルル、そんなに強く当たっていないよ」
涙目のルルルちゃんに何とか手を振って答えようとするけど、まだ痛い。
「ツバサ君は、ルルルには持っていないものを持っているのデスよ」
「え? それってなんなの、タロウお姉ちゃん?」
「さあ、何デスかね? 多分、一緒のお風呂にでも入れば、分かるんじゃないデスか」
え~と、僕が涙を浮かべながら、悶絶している間になんか変な方向に話が進もうとしていませんか?
「わあああ、そうなんだ。じゃあ、ツバサお姉ちゃんも、ルルル達と一緒にお風呂に入ろうよ」
僕の意見なんて聞かれることなく、ルルルちゃんに早速手を引っ張られる。
「ちょっと待ってよ、僕は男の子なんだよ。一緒にお風呂はまずいって!」
「男の子? 何ソレ、ルルル分からない~~~!」
まただよ。
どうして、この世界の人はみんな男の子に対して、こんなにも無防備なの?
「無駄デスよ、この世界には残念ながら、男の子って概念がないのデスからね」
「え?」
僕の肩を叩きながら、タロウさんが首を振っている。
そんなゴスロリ姿の彼女を僕は、マジマジと見返してしまう。
「タロウさんは男の子を知っているの?」
「……その答えは、お風呂場で教えて上げるデスよ」
シニカルな笑みを浮かべながらタロウさんは無慈悲に僕の背中を押した。
「ルルル。自分は少し用意してからお風呂に行くデス。ツバサ君と先に入っているのデス」
「は~~い。分かったよ」
前方のルルルちゃん。後方のタロウさん。
僕はもう素っ裸のルルルちゃんに引きつられて歩いていくしかなかった。




