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「男の子って、何の事でしょうかぁ?」
「へぇ?」
この美少女は何を言っているのでしょうか?
「いやいや、男の子は男の子でしょう。僕は男の子、あなたは女の子、そうでしょう?」
「男の子、女の子?」
僕と自分を指さしながら、リンジュさんが首を傾げている。
「あ、そう言うことですか! 男の子とは異世界人様のことですね。そして、こちらの世界にいるわたくしが女の子。つまりは、そういうことですね!」
納得したとばかりに両手をポンと打ち鳴らした。
「そういうことじゃないよぉぉ!!」
「はふぅ、違いましたか? では、男の子のとは何なのですか?」
リンジュさんって、もしかして超箱入り娘なのかな?
見たところ、お嬢様ぽいし、部屋も広いし天外突きベットなんて庶民とは縁のなさそうなものまで備え付けられている。
それなら、生まれてから今まで男の子を知らずに生きてきたなんて事もあり得るのかな?
男の子、女の子って考えてみれば生まれたときからごく当たり前のように存在していた常識だからね。
男の子を知らない人に男の子を説明しようとすると難しいかもしれない。
「う~ん、リンジュさんは、子供がどうやって産まれてくるか知っているの?」
ちょっと待って、僕。
僕は一体、何をするつもりなの、まさかこのまま保健体育の授業を初めようなんていうじゃないよね。
それも相手は、男の子すらないような超箱入りお姫様なんだよ。
まずいって、それって絶対にまずいって!
ここは急いで軌道修正しないと………中学生の僕は出演も出来ないような展開になっちゃうって。
「子供とは自然妊娠で生まれてくるものですわ。アタシが常識知らずのお姫様だからって侮らないで下さい。それぐらいは存じておりますわ」
あ、やっぱりリンジュさんは、お姫様だったんだ。
えっへんと言わんばかりに大きく胸を張って、ふくよかな双球が綺麗に揺れ動いた。
それにしても、自然妊娠って何それ。
その回答は、赤ちゃんはコウノトリが運んでくるっていわれるよりも質が悪いよぉ。
もしかして、このリンジュさんって厨二病………。
「伝令申し上げます。ラグナロ・タダナ、自然妊娠が確認されました。この吉報、まずは姫様にお伝えいたしたく、参上つかまつりました」
対応に窮していると、ポニーテールの和服美人さんが突然と部屋に入ってきた。
細身の体つきに切れ長な瞳が特徴的だった。手足は長く、和服の帯には日本刀のような武器が差し込まれている。
このべっぴんさんは一体誰だろう。
リンジュさんよりは年上みたいだけど、その凛とした瞳が敬愛を秘めた目で、リンジュさんを見上げている。
「まあ、ラグナロが、自然妊娠を、それはおめでたいことですぅ」
「恐れ入ります、姫様。不詳ラグナロ、ずっと母になりたいと願っておりましたが妊娠適齢期を迎えても、妊娠する兆しは見えず、もはやと半分めていたところに、ついに自然妊娠を迎えることができました、これもひとえに、姫様のお力あってことです」
ラグナロって名乗った和服べっぴんさんはおでこと額がつくんじゃないのかってぐらい深々と頭を下げている。
「そんなことはありませんですよ。アタシは何もしておりませんもの。自然妊娠は、ラグナロの想いが届いた結果ですよぉ」
「ありがたきお言葉。しかし、自然妊娠がため。これで姫様の警護が出来なくなるのが、心残りであります」
目を見張るような美女二人がそろって妊娠、妊娠って連呼している場に居合わせた男の子の僕はどうすればいいんだろう。
これって、ものすごく気まずいんですけど。
それに自然妊娠なんて単語、お姫様の脳内設定じゃなかったの?
「大丈夫ですわぁ、警護の件はご安心下さい、ラグナロ。アタシには彼女がついておりますから」
そう言って、リンジュさんは僕の手を取った。
って、ちょっと待ってよリンジュさん。
彼女って、今言ったよね、彼女って。
僕は女の子みたいな華奢な体つきだけど、正真正銘の男の子なんだからね!
男の子なんだよ!
「はて、姫様、少々おかしな衣装を身に纏っているお方はどちら様でしょうか?」
あれれ、おかしいな。
僕は何もしていないはずなのに、今、ラグナロさんから視線だけで果物がきれそうなほど鋭い目つきでにらまれちゃったよ。
背中に冷たい汗がだらだらと垂れ流れる中、リンジュさんが場の空気を壊すような甘い声で言った。
「アタシが異世界からお招きしました、お友達ですわ」




