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2-12


 世界の創造主が教示してくれた情報が、真実か偽りかは、分からない。

 でも、僕たちに縋ることの出来る情報はこれぐらいしかない。

 それに、どちらにしても、試してみれば分かることだよね。

 僕の掌に載っているのは、ルルルちゃんが、オトメから消える前に唯一この世界に残していった向日葵の髪飾りだった。

 燦々と降り注ぐ太陽の光に照らされて、僕たちの最後の希望が光り輝いてくれる。


「それじゃあ、やるよ」


 向日葵の髪飾りを握り締めて、僕は白い石塔に近づいていく。

 リンジュとラグナロさんとタロウさんが見守るように、縋るように、僕を見てくれている。

 小さく深呼吸して、創造主の言葉を思い出す。『彼女を思い、その柱に触れろ』と彼女は言っていた。

 オトメにやってきて、僕が寂しい思いをしないで済んだのは、いつも元気なルルルちゃんがすぐ側にいてくれたからだ。

 向日葵の髪飾りであんだ金髪のツインテールがいつも元気な犬の尻尾のように揺れていた。

 小さいからか、好奇心といたずら心が旺盛で、じっとしていることが苦手な女の子。

 ルルルちゃん、今から、君が帰ってくるための道を作るから、もう少しだけ待っていてね。

 向日葵の髪飾りに残されていたルルルちゃんとの思い出を胸に、僕は白い石塔に触れた。

 二つの世界が結ばれた。


「出来た………」


 僕の前あるのは、全てを飲み込むブラックホールのような白い渦だった。

 この先は何処に繋がっているのだろうか?

 やはり、僕が生まれた世界なんだろうか?

 ルルルちゃんも、僕たちと同じ世界から来たのだろうか、それとも別の世界から?

 思わず、足が一歩前にでしまった。

 そんな僕の手をリンジュがギュッと握り締める。

 これ以上、行かないでと懇願するように。

 分かっているよ、リンジュ。

 約束だもんね。

 僕は、この世界、オトメからいなくなったりしないよ。


「ルルルちゃん、僕たちはここだよ。だから、戻っておいで!!」


 僕は力の限り叫んだ。

 渦の向こう柄、きっといるはずの少女に向かって精一杯の声を届けた。

 振り返って、みんなを見る。

 ラグナロさん、タロウさん、そして僕の手を握り締めたままのリンジュ。

 みんな、思いは一緒。ルルルちゃんにこの世界に返ってきて欲しいんだよ。


「そうでござる、皆まっておる。はやく戻ってきてござれ!」

「ルルルちゃん、早く戻ってきて、一緒に遊びましょうよ! 今度はね、一緒に海に生きましょうよ!」


 僕たちは叫んだ。


「ルルルっ、何をしているのデスか! 早く帰ってくるなのデスよ! あなたがいないと、オトメは、オトメじゃないのデスよ!」


 想いを乗せる。

 僕は手をギュッと握り締める。リンジュも力強く握り返してくれる。

 重なり合った手を通じて、彼女の優しい想いが伝わってくるようで、合図もするとなく僕とリンジュの声が重なりあった。


「「ルルルちゃん!!!!!」」


 この声、思いは、きっと届いてくれるはずだ。

 みんなの絞り出した声は、世界と世界を繋ぐ渦に飲み込まれていく。

 僕達は信じて、渦の先にあるはずの異世界を凝視する。


「ああ、あああ、あ」


 渦の向こうから、聞き間違えるはずのない声が返ってきた。


「みんなぁぁぁぁぁぁ!!」


 世界と世界を繋ぐ渦から吐き出されるように、金髪の少女が世界に戻ってきた。

 咄嗟に体が動いて、地面にぶつかりそうになる少女を抱きしめた。

 この太陽のような笑顔、見間違えるはずなんかあるわけがない。


「タロウお姉ちゃんぁ、ツバサお姉ちゃん、リンジュお姉ちゃん、ラグナロお姉ちゃん。みんな会いたかったよ~~~。わ~~~ん。戻って来れたよ~~~~」


 僕たちの顔を見るなり、ルルルちゃんは大粒の涙を流して泣き出した。

 本当に良かった。

 僕は安堵の吐息を吐き出しながら、優しくルルルちゃんの頭を撫でて上げた。

 いつもはツインテールにあんでいた髪は、向日葵の髪飾りの片側をこちらに落としていったからか、結ばれることなく流されてた。


「お帰りなさい、ルルルちゃん。本当に………良かったです」


 リンジュの眼にもうっすらと輝くモノが浮かんでいる。

 とりあえず、コレにて、やっと一件落着だ。

 またルルルちゃんに振り回される日が始まるだろうけど、彼女いない寂しい日に比べたらそんなの何百倍もマシだ。



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