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ラグナロの光が一切ない瞳からこの世界を見ている人物こそ、この世界の創造主と名乗る存在。
創造主というのは本当かは分からないけど、リンジュを城に閉じこめていたのは彼女の力によるモノだし、ラグナロさんや他の住民の意志を奪い取って操れる力から、彼女がこの世界の法則に干渉できる力を持っていることは間違えない。
「なるほど、まんまと君達の罠にはまった訳か」
僕たちの顔を見て、この作戦の狙いが創造主と名乗る彼女をラグナロさんから出現させることだったことに気づいたみたいだ。
悔しがっているのか、あるいは楽しんでいるのか、その声からは判別することが出来ない。
「どうしてなのかは分からないけど、あなたがリンジュを大切に思っているのは、リンジュをお城に幽界していたことからも明らかだ。だから、リンジュを危険にさらす一芝居打って、こうして再会させてもらった訳だよ」
「はいぃ。どうでしたか、アタシの演技は?」
リンジュはそう言って、右腕から血糊をいれていた袋を取り出した。
僕がナイフを持って奇襲をかけて、ラグナロさんに避けられて、右腕の袋から血糊を流すのまでは計画だったけど、それから先のことは予想外の事態で僕もヒヤヒヤとしたものだよ。
世界の創造主は、光彩の無くなったラグナロさんの瞳を通じて、僕とリンジュを交互に見て、
「願いは、ルルルか」
すべてを察してくれた。
「話が早くて助かります。僕には世界と世界と繋ぐあの渦を生み出すことが出来なかった。でも、あなたなら出来るのではないですか? 悔しいけど、僕が導き出せる作戦は、これぐらいしかなかった」
世界の創造主が見極めているかのように僕を見てくる。
ラグナロさんの姿が消えたかと思うと、その姿が僕の目の前に現れて、気が付いたときには頬を殴られ、僕は地面に這いつくばっていた。
「こんな事のために、リンジュを利用したことは許さない」
表情の読めない色彩のない瞳が僕を見下ろしてくる。
表情のないその瞳を前にするだけで足がすくんでしまいそうになる。
でも、リンジュのため、ルルルちゃんのため、みんなのため、僕はここで怯む訳にはいかない。
負けじと、ラグナロさんを通じて世界の創造主とメンチを切る。
「だが、リンジュが哀しむのも、本意でもない」
世界の創造主を名乗っている存在は、青い空を見た。
「この世界は完結しているはずのだが、外との繋がりを断ち切れずにいたのは、弱さなのだろうな」
それはどういう意味?
女の子だけが存在し、女の子だけで完結しているこの世界、オトメ。
創造主はどうして、こんな世界を作ったというのだろうか?
問いかける余裕はなかった。
見れば、色彩を無くしていたはずのラグナロさんの瞳に光が僅かずつ戻っていく。
「ちょっと待て、まだルルルちゃんを救い出す方法を聞けていないよ!」
「あの娘が付けていた向日葵の髪飾り。それがこのシステムの起動キーだ。後は彼女を思い、その柱に触れろ」




