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「はっ」
息苦しいよ。
あれ、僕はどうなったの!?
目を開けようとも真っ暗で何も見えないし、口が柔らかい何かで覆われているし、鼻も何かで押しつけられている。
これってつまり………息が出来ないって事だよ!!
何、何、なんなの、この状況は。
息が、息が、息がぁぁぁぁあ。
「きゃあぁつ」
「がはぁぁぁ、はああああああああああああ」
口から柔らかい何かが離れて、やっと息が出来るようになった。
一秒でも早く酸素を体中に送り込みたくて、僕は勢いに任せて落ち上がって……ゴツンと頭を打ち付けた。
「いたたたた」
「たたたた」
ひりひりとするおでこを撫でながら、前を見た僕は……痛みなんて忘れて目を見張った。
だってそこには、とびっきりの美少女がいたんだよ。
陶器のように白い肌は一目見ただけでその柔らかを確信出来る。スラリとした顔つきに、流麗な黒髪がサラサラと触れる姿はもはや芸術品としか思えない。
でも、美しすぎる故の近寄りがたさは感じない。
それは、瑞々しい桃色の唇が僅かにへの字に曲がり、クルリとしている瞳にはうっすらと涙が浮かんでいて、彼女がとても人間らしく思えてしまうからかな。
「もうぅ、今日は、すっと、頭を打ってばかりなのですぉ」
それはとても甘い声だった。
まるでチョコレートを溶かし込んだような、いつまでも聞き続けていたいと思ってしまう甘美な声色だった。
『アタシを助け出して下さい』
あの白い渦から聞こえてきた声とてもよく似て………
「ぁああああああああああ!!」
もう、今さらだけど、ここって何処なの!?
確か僕は、人気のない神社にいたはずだよね。
でも、あそこにはこんな美少女はいなかったし、
「回りは白い大理石で、天外突きのベットに、たくさんのひよこのぬいぐるみ」
ここは何処かの部屋みたいだった。
慌てて、ベランダに出て、開けた景色を一望すると、
「うっっそ…………」
僕は言葉を失ってしまった。
ここは本当に何処なの?
僕がいるのはどうやら、丘の上に立つ建物みたいだった。
視界を遮るものは何もない。
ビルなんて高層物は何もない。
見える建物は精々3、4階建てぐらいだった。
しかも、コンクリートで作られた建物なんて一つもない。
みんなレンガ造りの屋敷で、通りを走っているのは、馬車だ。
まるで中世の街並みだ。
こんなの絶対、日本な訳がない。
「まさか……異世界だとでも言うの?」
思わず、ベランダの上にお尻からへたり込んでしまった。




