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目が覚めるとまぶしい太陽に目を射抜かれた。
ここは何処だろう?
もしあの白い渦が再現されていたというのなら、僕はオトメじゃない、生まれた世界に戻ってくることが出来たのかな?
ここで、リンジュに色んなことを教えて上げていきたいな。
手を握り締めようとしたら、そこにリンジュの手がないことに気づいた。
「リンジュっ!」
背中に冷たい汗を流しながら、慌てて飛び起きると、僕はそこに女神を見た。
白い石塔が等間隔に配置されたこの場所において、彼女が立つステージは一段高くせり上がっていた。
女神は、太陽の光を両手を拡げながら浴びている。
まるで輝いているかのように、彼女は微笑んでいた。
「これが、外の世界………」
言葉が現実であるかのように噛みしめている。
チョコレートのような甘い声が、僕の全てを包み込み、僕を変えていく。
やっと僕は、自分の気持ちに気づくことが出来た。
「あ、ツバサお姉ちゃん。お目覚めだね」
太陽の光を浴びて煌めく金髪をツインテールに結っているルルルちゃんが笑って近寄ってくる。
「もう、空からツバサお姉ちゃんと、お姫様が落ちてきたときはルルル、ビックリしたんだからね」
頬をふくらせて怒っていたけど、その顔はすぐに好奇心に満ちた顔にへと変わった。
「でもでも、驚きだよね。あの渦の中って通ることが出来るんだね」
「そうだよ、僕はこの渦を通って、こっちの世界にやって来たんだからね」
ルルルちゃんに感謝の気持ちを込めて、頭を撫でると、少女は子猫のようにくすぐったそうに眼を細めていた。
「本当に、ありがとうね、ルルルちゃん」
「うん? 何のこと、ツバサお姉ちゃん?」
「こっちの事だよ」
僕はリンジュの元へと歩いていく。
「やりましたよ、ツバサぁ! 外です。外の世界なのですよ!!」
胸元で両手を会わせながら兎のように飛び跳ねている。
絹のようにきめ細かい髪と絢爛なドレスの裾が飛び跳ねるたびに舞い上がっている、その姿を見ているだけでは僕はどうしようもなく幸せな気持ちに満たされていく。
ああ、きっとコレが恋って感情なんだろうね。
これが外に出た彼女を見たときに気づいてしまった僕の正直な思いだ。
照れとか、恥ずかしさかとか、リンジュを前にしたら全てがその甘い声で溶かされてしまう。
だから、今なら素直に気持ちを打ち明けることが出来るはずだ。
「ねえ、リンジュ。僕は……キミのことが好きみたいだ」
それまで跳ね上がっていたリンジュがピタリと止まった。
答えを待つ僕の胸が時間が経つたびに高鳴っていく。
そして、初めて外へ出た王女様は、首を傾げながら、僕を奈落に突き落とす一言を呟いたのだった。
「ねえ、ツバサ、好きってなんですか?」
僕は、忘れていた。
この世界は女性しか存在していない世界。
男が存在せず、女性達だけで生きている世界。
男なんて概念がそもそもこの世界には存在していない。
そんな世界には当然………恋愛なんて感情は存在している訳がなかった。
ここで、第一部完です。
序破急でいう所の”序”が終わった所です。
閉じこめられた外の世界に出たリンジュがこれからどうなっていくのか。
【第二部:次元を超える少女達】は、9/14から更新再開しようと思っております。




